総括
FX「ペソ調整続く、対ドルで弱い。CPI低下も利下げは来年始めか。株下落、金利上昇」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.1-8.6
(ポイント)
*為替ヘッジプログラム縮小後はメキシコトリプル安、ペソの調整続く
*中長期のファンダメンタルズは悪くはないが、直近の指標は悪化
*ペソ高懸念は?
*8月消費者物価は低下、ただ政策金利は年内維持か
*ペソ円はボリバン2σ上限から下限へ下落
*次期大統領選挙は女性の争い、ただ
*2Qの経常収支が黒字化
*中銀が2023年の成長見通し引き上げ
*IMFも成長率予想を引き上げ
*1-6月の郷里送金は過去最高
*米国の輸入相手国は中国を抜いてメキシコがトップに
*日本からのメキシコへの6月の輸出は前年比40.3%増
(ペソ下落続く、為替ヘッジプログラム縮小後の、各市場の動きは)
為替ヘッジプログラム縮小後は対円で3.9%、対ドルで4.9%下落、ボルサ株価指数は1.67%安、10年国債は9.71%から9.92%へ上昇。
(中期的なファンダメンタルズは悪くはない)
中期的なファンダメンタルズは悪くはない。中銀は、2023年の成長率予想を従来の2.3%から3%に上方修正した。2024年の成長率は前回予想の1.6%に対し2.1%とした。インフレ率を目標に戻すために金利を過去最高の11.25%に維持するという中銀のコミットメントにもかかわらず、成長率の引き上げは驚きだロドリゲス中銀総裁は、米国への輸出がメキシコ経済の「回復力に貢献している」と述べた。また外国企業のメキシコへの投資も好調で、今年上半期は過去最高の290億ドルとなった。
(ペソ高懸念)
前回、お伝えしたようにペソ高懸念は1ドル16ペソ台あたりで出てきた。
ドルの債権者である輸出業者、郷里送金の受け取り手、ドル建てが多い国境を越える運送業者などペソ高で手取りが減少している。
(直近の指標は弱い)
ただ直近の指標は弱い、8月製造業PMIは51.2と7月の53.2から、8月企業信頼感指数は53.5と7月の53.6から、7月失業率は3.1%で6月の2.7%からそれぞれ悪化した。8月消費者信頼感指数は46.7、7月は46.3、予想は47。
(8月消費者物価は低下、政策金利は年内維持か)
8月消費者物価は4.64%、7月の4.79%から低下、予想は4.61%。コアは6.08%、7月は6.64%、予想は6.12%。
インフレ率は2021年2月以来の低水準となった。コアは2021年12月以来の低水準。
7カ月連続のインフレ率低下にも関わらず、メキシコ中銀は年内は基準金利を現行の11.25%に維持すると予想されている。中銀は過去3回の会合で政策金利を据え置き、インフレ率を目標の3%に戻すためには長期間据え置くとの見通しを示した。
今週実施した調査では、銀行の過半数が2024年に最初の利下げを予想している。これまでは大多数が中銀が今年4Qに緩和を開始すると予想していた。
中銀ヒース理事はコアインフレ率が鈍化するには長い時間がかかるとの見方を示した。
(シティ調査ではペソは?)
シティ調査ではペソは2023年末までに対米ドルで17.70ペソに達すると予想されている。
既に近い。
テクニカル分析
まだ下落止まらず
日足、8月28日に8.776をつけ2008年10月以来の高値更新。ただ上ヒゲもでて反落していたところに為替ヘッジプログラム縮小報道がありさらに下落。ボリバン2σ下限へ。
。8月4日-9月7日の上昇ラインがサポート。9月6日-7日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向くき20日線を下抜く。20日線も下向く。
週足、連続陰線となるか。7月31日週-8月7日週の上昇ラインを下抜く。8月28日週-9月4日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、5か月連続陽線後、今週はここまで陰線。6月-7月の上昇ラインを下抜く。7月-8月の上昇ラインがサポート。5か月、20か月線上向き。
年足、22年の長い上ヒゲを上抜く大陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
次期大統領選挙は女性の争い、ただ
メキシコの与党(MORENA)は、2024年6月の大統領選の公認候補にシェインバウム前メキシコシティ市長を指名した。
一方、野党は3党が連合を組み統一候補を出した。国民行動党(PAN)と制度的革命党(PRI)、民主革命党(PRD)が、PANのガルベス上院議員を公認候補に指名した。
大統領選は与党が優勢で、左派政権による保護主義が続く可能性が高まっている。
(ただ与党候補のエブラルド前外相は選出プロセスに問題があったと指摘し、世論調査の再集計を求めている)