総括
FX「政府中銀が動くがリラ浮上せず、株安、金利急騰」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円5.0-6.0
(ポイント)
*大統領自ら積極経済外交を続ける
*財務相・中銀総裁も積極的に動くも市場は好感せず
*リラ低位で横ばい、金利急騰、株価急落
*EUとの関係悪化か
*スウェーデンのNATO加盟も難航
*貿易経常収支の赤字がリラ安を生む
*トルコの格付け見通し「安定的」に引き上げ=フィッチ
*ムーディーズはトルコの政策に前向きな評価
*2Q・GDPはまずまずだが、3Qは苦しい
*リラ買い介入は行わず
*為替保護リラ預金制度を解除へ(外貨預金残高はハイレベル)
*エネルギー問題で海外と交渉(中国とロシアなど)
*新財務大臣は合理的な政策に変わると主張、経常収支改善も目標
*今年は建国100周年
(政策金利にサプライズはもうないか)
今週は政策金利の決定がある。前回は予想の2.5%を大幅に上回る7.5%の利上げで市場を脅かせた。ただ為替相場の反応は、当日こそ5.30から5.77まで上昇したが、その後は後退し5.40台へ下落している。利上げをしても需給が伴わず、リラの上昇の持続力がない。今回は財政支出計画とインフレ加速により、5%の利上げが予想されている。サプライズでそれを上回る利上げが行われても前回同様に持続力はないだろう。大幅利上げは投機筋の短期的な動きは抑制できるが、実需の流れは変えることが出来ない。
(リラ安の根本原因は需給)
7月経常収支は54.66億ドルの赤字で6月の6.51億ドルの黒字は維持できず。7月失業率は9.4%で6月の9.6%から改善、7月鉱工業生産は前年同月比7.4%増加で6が宇野0.2%増を上回った。同小売売上は前年同月比で31%増で6月の29.3%増を上回った。
(市場失望)
一連の政府、中銀の動きもあるが、リラ低位で横ばい、金利急騰、株価急落。
(EUと決別?)
週末のエルドアン大統領は機嫌が悪かったようだ。大統領はトルコに関する欧州議会の報告書の内容についての質問に対し、トルコ政府は必要であれば欧州連合と「決別」する可能性があると述べた。今週初めに採択されたこの報告書は、現在の状況下ではトルコの加盟27カ国ブロックへの加盟プロセスを再開することはできないと述べ、EUに対しアンカラとの関係について「並行かつ現実的な枠組み」を模索するよう求めた。トルコは24年間にわたりEUへの正式加盟候補国であったが、人権侵害と法の支配の尊重に対するEUの懸念により、加盟交渉は近年行き詰まっている。
(スウェーデンのNATO加盟も??)
また大統領は、スウェーデンのNATO加盟プロセスについて声明を発表した。スウェーデンはまだ「『加盟』義務を履行していない」と述べた。単に法律を制定するだけでは十分ではなく、実行する必要があると述べ、「テロリストがスウェーデン警察の保護を受けてデモに参加するのであれば、彼らは約束を履行していないことになる」と語った。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
8月24日の高値安値を抜けず膠着
日足、8月24日の大陽線で一気にボリバン3σ上限を突破、5.77をつける。ただ、行き過ぎで反落。一時中位割り込む。5日線上向き、20日線上向き。
8月24日-9月18日の上昇ラインがサポート。8月24日-9月18日の下降ラインが上値抵抗。雲中。
週足、横ばい。8月28日週-9月11日週の上昇ラインがサポート。8月21日週-9月11日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向き、20週線下向き。
月足、8月最強もまだ2σ下限近辺で推移。23年6月-7月の下降ラインを上抜く。7月-8月の上昇ラインがサポート。5月-6月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から5円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。
メルハバ
積極的な経済外交がリラ浮上に繋がるか疑問
*アリババ=中国の電子商取引大手アリババ・グループはトルコのエルドアン大統領に20億ドルを投資する計画を伝えた。
*テスラ=エルドアン大統領は、米電気自動車テスラのマスクCEOとNYで会談し、トルコでの工場建設を要請した。
*米国投資家=シムシェク財務大臣は9月19日にNYでゴールドマン・サックス主催のイベントで外国投資家らと会う予定。