総括
FX「年初来高値を上抜けず反落。1ドル17ペソが抵抗。成長見通しは上方修正も」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.3-8.8
(ポイント)
*ペソ快進撃一服 年初来高値上抜けず
*1ドル17ぺソがペソ上伸を阻む
*財政赤字拡大で金利上昇ペソ高
*財政赤字拡大は経済成長あってこそ
*メキシコ政府、OECD、フィッチが成長見通しを上方修正
*7月鉱工業生産、小売売上もまずまず
*来週の政策金利は11.25%で据え置きか
*中国移民急増に見る中国景気の悪化と弾圧
*米国の中絶希望者はメキシコを目指す
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり
*緊縮派の大統領が支出拡大に至った背景は次期大統領選挙
*ニアショアリングは今も続く
*中国の迂回輸出防止で輸入関税引き上げ
*IMFも成長率予想を引き上げ
*1-6月の郷里送金は過去最高
*米国の輸入相手国は中国を抜いてメキシコがトップに
*日本からのメキシコへの6月の輸出は前年比40.3%増
(ペソ快進撃一服)
ドル高を防ぐ為の為替ヘッジプログラム制度縮小で下げたペソを、AMLO大統領の財政支出拡大による金利上昇でペソは反転上昇したが、年初来高値の8.776には届かなかった。
財政赤字に踏み込んだのは次期与党大統領候補のシェインバウム氏を応援する意味もあったが、メキシコの力強い経済成長も拠り所となったのだろう。
(来週は政策金利決定)
既に中銀は年内、政策金利を11.25%で維持すると示唆している。大きな変動要因はこのところないので、やはり据え置きか。その他、8月貿易収支、失業率の発表がある。
(OECD成長見通し上方修正)
OECDはメキシコの2023年の成長見通しを6月の2.6%から3.3%へ上方修正した。OECDは米国のGDP成長予測を引き上げているので、メキシコにも好影響を及ぼす。
(フィッチも成長見通しを上方修正)
フィッチはメキシコの2023年の経済成長率予想を2.5%から3.1%に上方修正した。
その理由として、堅調な個人消費と民間投資の驚くべき増加を挙げている。
また「堅調な雇用市場が成長を促進する」と指摘した。世界的なサプライチェーンの変化に伴い、メキシコには新たな成長のチャンスがあると見ている。
2024 年の成長率を1.8%、2025年を2.3%と予想している。
(小売売上まずまず、今夜は消費者物価と経済活動指数)
今週の指標では、7月小売売上が前年比5.1%増となった。6月の5.9%には及ばなかったが、依然、高水準で予想の4.9%増を上回った。
今夜は9月前半の消費者物価、7月の経済活動指数が発表される。
(中国移民急増、中国景気悪化や政治的弾圧から逃れ)
過去1年間、米国とメキシコの国境で亡命を求める中国人月平均件数は1000%以上増加した。この予期せぬ突然の展開は、米国の移民政策と外交政策の両方に重要な影響を及ぼす。経済見通しの悪化や国内の政治的弾圧から逃れる中国人移民に対する米国の対応も、中国との地政学的競争の激化に重大な影響を与えるだろう。
2020年1月から2021年12月まで、南部国境で亡命した中国人は月平均わずか54人だった。中国の新型コロナウイルス感染症による規制が緩和された後の2022年5月頃、月間の亡命数が初めて200人を超え、傾向は変わり始めた。2022年12月に900人を超え、さらに顕著になった。それ以来、月当たり平均 2145 件になっている。
(米国の中絶希望者はメキシコを目指す)
カトリック教徒主体のメキシコで、以前ならほぼ不可能に思えた判決が出た。人工妊娠中絶をした女性が投獄されてきた同国で、最高裁判所の裁判官が全員一致により、連邦政府が中絶を犯罪とすることを違憲と判断した。厳しい制約のある法律を逃れようとする米国の中絶希望者にとって、メキシコという行き先が存在感を増してくる可能性もある。
テクニカル分析
反転急上昇も年初来高値には届かず
日足、ボリバン2σ下限と雲の上限から反発。ただ年初来高値の8.776、いや8.70には届かず下落。9月21日は大陰線。9月11日-21日の上昇ラインがサポートだが下抜けか。9月20日-21日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向く。
週足、連続陰線の後、先週は大陽線。今週は小安い。8月28日週-9月4日週の下降ラインを上抜く。7月24日週-9月11日週の上昇ラインがサポート。5週線、20週線上向き。
月足、5か月連続陽線、9月もここまで陽線。ただ8月の高値は上抜いていない。7月-8月の上昇ラインがサポート。5か月、20か月線上向き。
年足、22年の長い上ヒゲを上抜く大陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
メキシコに立ちはだかる男
トランプ前米大統領は、2024年の大統領選で勝利した場合、海外に駐留する数千の軍隊をメキシコとの国境に移動させると表明した。 トランプ氏は、任期中に導入していた複数のイスラム圏からの入国規制措置を拡大する方針も表明した。
バイデン政権下でメキシコとの国境を越える不法移民が記録的水準となっている状況を「侵略」と表現し、現政権に問題の責任があると非難した。
「私の就任と同時にバイデン政権のあらゆる国境開放政策を直ちに廃止する」と表明。
「現在海外に駐留している数千の軍隊の移動を含め、侵略を阻止するために必要なあらゆる資源を活用しなければならないことを明確にする」と述べた(ロイター)
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