Facebook株式公開の勝者③グラフィックアーティスト、デビッド・チェ氏


Facebookの株式公開から生まれた、最も驚くべき勝者はデビッド・チェ氏でしょう。2005年にFacebookは、本社オフィスの壁に絵を描いてくれとチェ氏に依頼しました。

「ショーン・パーカー氏(Facebookの初代CEO)から6万ドルで依頼を受けた」と、チェ氏はラジオパーソナリティのハワード・スターン氏に語りました。彼はその代わりに、後にすばらしい先見性とわかるのですが、株式を要求したのです。どれくらいの株を受け取ったかは明らかにしませんでしたが、Facebookが未公開企業だった時に、セカンダリー市場(未上場株式が売買できる市場)でその一部を売りに出しています。

チェ氏の保有額、また売却したのかどうかを正確に知る者はいません。チェ氏はメディアへのコメントを拒否していますし、売買の公表義務を負うほどの額は保有していません。しかし、2012年2月にFacebookが株式公開書類を提出した直後に、ニューヨーク・タイムス誌は2億ドル相当を保有していると推定しています。


Facebook株式公開の引き分け組:株主代表訴訟


Facebookの新規株式公開(IPO)から5日しか経たないのに、株主らが株式公開に関する集団訴訟を起こしました。

今回の訴訟は、引受主幹事を務めたMorgan Stanley社のアナリストが、上場前に財政に関する内部情報を受け取っていたのではないかとのロイター通信記事を受けたものです。ロイター通信の別の記事には、米Morgan Stanley社と他の引受幹事会社3社(Goldman Sachs, JPMorgan, Bank of America)が、株式公開に先立って、Facebookの売上見通しを近似水準にまで下方修正していたと報じています。

この訴訟について、Facebookは「メリットが無い」とし、Morgan Stanley社も「他社の新規株式公開の場合と同じ手順」を踏んだまでだと述べています。しかし、今回の訴訟は、Facebookが新規株式公開前に収益の脆弱性について十分な情報公開をしなかったことなど、さまざまな疑惑に関する株主訴訟の始まりに過ぎません。その他の申し立ては、ナスダックの技術的問題を標的としています。

3月の一件を含め、昨年起こされた多数の訴訟情勢は変化しています。50件以上の訴訟が併合され、マンハッタン地区連邦地方裁判所のロバート・スイート判事が審理をおこないます。スイート判事は2月にその一部を棄却しましたが、ほとんどの訴訟は審理中です。


Facebook株式公開の敗者:セカンダリーマーケット(Secondary Market)


2009年4月に、株式を保有する従業員と、買付に関心のある投資家間の取引を活性化するための未公開株市場セカンダリーマーケット(市場)が始まりました。特に、Facebook株への要望が高まっていたので、セカンダリー市場は注目を浴びました。長期に渡って、Facebookがセカンダリー市場の取引総額の40%を占めていたからです。

Facebookへの比重がそれほどまでに高かったので、Facebookが株式公開するや否や、セカンダリー市場は今後も生き残れるのかという疑問が沸き起こりました。Facebookが株式公開してしまった後では、セカンダリー市場の必要性はあるのかという疑問です。
セカンダリー市場の取締役であるアダム・オリヴェリ氏は2012年2月の会議で、ジョークを交えながら、そうした懸念を否定しました。「ビーニー人形が去った今でも、eBayは生き残っているよ。」

しかし、その1ヶ月後、セカンダリー市場は10%の人員削減をしました。「Facebookの株式公開後に備え、当社の長期ミッションの核とならない職位を一部廃止しました」とは会社側の言い分。大量解雇はそれではおさまらず、先月も人員削減をおこないました。

CEO兼創業者のバリー・シルバート氏は自身のブログで責任は自分にあると述べています。「失敗を犯してしまいました。費用構造管理がなっていませんでした」と。しかし、「SecondMarketの将来にはとても楽観的な見通しを持っている」とも言っています。

以上、 Facebook IPO: Winners & losers (Facebookの勝者と敗者)からのまとめをお届けしました。参考となれば幸いです。

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