1971年3月9日生 和歌山県伊都郡かつらぎ町出身 1994年に地元かつらぎ町でサーフショップを創業。
2006年当社を設立し、代表取締役社長に就任。 EC事業から始まり、2014年には実店舗の「アウトドアショップ Orange」を開設。
現在は協業店舗を含め、全国で8店舗を展開している。 2019年には「アウトドアスパイス ほりにし」の販売を開始。
2021年に子会社のエストレード株式会社を設立。
新しいアイテムに敏感に反応し、お客様に喜ばれる商品を数多く扱うことで、アウトドア業界の発展に今後も一役かっていきたいと考えています。 当社グループは、eコマース・Orangeブランドの店舗運営・卸売の「アウトドアスポーツ事業」と、「工業用製品事業」の2事業を行っています。
当社グループの主力事業であるアウトドアスポーツ事業では、自社で立案、企画を行い、プライベートブランド「MIKAN」の商品をはじめとして、アウトドアやアパレルブランドとコラボした別注商品や幅広いユーザーに応えるアウトドアセレクト商品を取り扱うことが強みとなっています。
今後もeコマース事業や卸売などの販売チャネルを充実させていきたいと考えております。
創業から現在に至るまでの事業変遷
―まずは、ミモナ社のこれまでの事業展開についてお伺いしたいと思います。
株式会社ミモナ・池田 道夫氏(以下、社名・氏名略)::創業は1994年で、サーフショップを開業したことから始まり、長らく実店舗で商売をしていました。ただし、私たちの店が位置する和歌山県のかつらぎ町は、人口が16,000人弱しかいないため、商売としては厳しい状況に直面していました。
そんな中、何度も試行錯誤を重ねた結果、eコマース事業に進出することを決めました。そして、実店舗と並行してオンラインショップを運営することとなり、その規模が拡大したため、2006年に法人化を行いました。
当初はスノーボードやスケートボードなどの横乗り系の商品を主力にしていましたが、市場が縮小する中で、私自身が和歌山県かつらぎ町という自然豊かな場所で育ったことからアウトドアに目をつけ、事業拡大に至りました。
ミモナ流ブランディング
―その当時は、まだキャンプブームが始まる前だったと思いますが、その状況下で、どのようにしてブランドを育てていったのですか?
最初は、運営しているECサイトでキャンプ用品やアウトドアの関連商品を取り扱い始めました。しかし、自分自身がキャンプが大好きで、もっと深く関わりたいと思い、約10年前に「アウトドアショップOrange(以下、Orange)」という店名の実店舗を開業したことが始まりです。
開業当初、Orangeの強みは商品の豊富な品揃えでした。しかし、お客様のニーズに応えて事業を展開していく中で、約16,000人しかいない田舎でどうやって集客するかという仕組みづくりに力を入れました。売上目標は設定せず、商品の品揃えや情報量、新しい選択肢を提供する力などをキャンプに特化していきました。最も重要であると感じていたのは、お客様に対するホスピタリティの精神です。顧客満足度を最大の目標とし、それを追求し続けました。
その結果、ありがたいことに現在Orangeはアウトドア業界で幅広く支持していただいており、 ECでも実店舗でもほぼ同規模の売上を立てることができています。
―その事業の変遷の中で、どのようなポイントに着目して事業を展開してきたのですか?
Orangeのブランディングを推進する際、ただ単に商品を仕入れて販売するだけでは難しいと感じ、自身で商品やブランドを開発し、Orangeというプラットフォーム上から発信することを重視しました。
具体的には、衣食住に関する商品の開発として、アパレル、食品、キャンプ用のテントなどに力を入れてきました。特に、食に関するコンテンツは、誰もが関わる部分であると考え、その中で、キャンプに行く際に持ち運ぶ調味料を少なくできる調味料を開発しようとし、アウトドアスパイスという商標を取得しました。当時、スパイス業界は大きく分けて2社の製品がほとんどで、これを超えるような商品ができれば、アウトドア業界というニッチなマーケットの中ではトップを取れると考えていました。
そこから、メーカーや実店舗からのフィードバックを元に開発と改良を繰り返し、万能調味料「アウトドアスパイスほりにし(以下、ほりにし)」が完成しました。その後、テレビ出演やイベント出店を繰り返し、スパイスの分野ではトップを取ることができました。
実際に全国のアウトドアショップや、ブランドイメージを高めるためにセレクトショップなど、ファッションに敏感なお店でも商品を取り扱っていただき、直営店舗やECだけでなく、おしゃれな雑貨屋さんやキャンプ場、一部の飲食店、特にバーベキュー店などでも商品を取り扱っていただきました。その結果、Orangeというブランドが広く認知され、さまざまな商品を提供することができています。当初は、Orangeが提供するブランド商品でしたが、今ではOrange自体がブランドとなっています。
自社事業の強みについて
―それでは次に、自社事業の強みについて教えていただけますか?
最大の強みは、Orangeというアウトドアショップのパイオニアと呼ばれるほどのブランディングに成功したという実績と経験です。
ブランドを築くということは、単に売上だけでなく、情報の発信やおもてなしの精神も含め、多くの要素が詰まっていると考えています。例えば、私たちの店舗は和歌山にありますが、その魅力を十分に伝えることができているため、遠方からも多くのお客様が訪れてくれます。私たちの企業では、何よりもまず考えるのはお客様が喜ぶことです。私たちは、お客様からの喜びや笑顔を引き出すことで、自社の成長を促進しています。その結果、お客様からの喜びは私たち自身の喜びとなり、それがまた自社の成長につながるという良い循環を作り出しています。
また、その過程で私が実践しているのは、自分が信じる道を突き進むことです。信念を貫くことは、困難な状況に直面することもありますが、重要なのは、自分たちが何を提供しているのか、それが顧客にとってどれだけ価値があるのかを理解し、それを伝え続けることです。自分たちが提供する商品の価値を理解してもらうことが大切だと感じています。
他には、私たちの店舗内には「オールドコールマンミュージアム」という世界でも類を見ないほど多くのColemanのビンテージ製品を展示しているミュージアムがあります。そのため、全国や海外からも多くの人々がこのミュージアムを訪れてくれます。これは他のアウトドアショップにはない、私たちの強みの一つです。
思い描く未来構想・ビジョン
―次に、5年から10年の長期的スパンで思い描いている未来構想や具体的なビジョンがあれば教えていただけますでしょうか。
今までの取り組みやブランディングを推進し、「どこで買うのか」という問いに対して、「私たちの店で買いたい」と思ってもらえるような店舗になることを目指しています。
また、私たちがこれまで行ってきたこと、つまり、マニュアルに縛られない方法で、地方創生に関する取り組みができればと考えております。実際に現在、私たちは47都道府県と提携し、各都道府県から一つの自治体を選び、その自治体と郷土料理や特産物を活用した共同プロジェクトを推進しています。
具体的には、自社製品「ほりにし」と郷土料理や特産物とのコラボレーションにより、ご当地料理や地域の特産品の良さを今まで以上に引き出し、イベントや企画、オーディションなどを通して、地方を盛り上げる取り組みになります。
この過程では、私たちのこれまで培ったブランディング力を最大限活かし、その取り組みの一つとしては、あえてコラボ商品同士を競わせるなど地域同士で切磋琢磨し、結果的にさまざまな地域の魅力を引き出せればと考えております。
また、今後はグローバルにも展開していきたいと考えていて、実際、二年ほど前からいろいろな国で商標登録を進めており、現在12カ国で登録を出願しています。
現在重点的に取り組んでいること
―最後に、思い描く未来に向けて、現在重点的に取り組まれていることについて教えていただけますでしょうか。
会社が成長するにつれて、より強い組織化を進めています。その一環として、人材の確保と育成に力を入れています。
人材確保については、このご時世で特に難しい問題ですが、外部から優秀な人材を迎え入れ、組織を強化しています。その一方で、各個人の役割に応じた育成方法にも力を入れています。各ポジション毎に必要なスキルや知識は異なるため、それぞれの育成方法を考えています。
この問題を解決するために、信用力向上及び人材不足解消を目指し、当社は2023年1月にTOKYO PRO Marketに上場いたしました。これまで人口約16,000人という田舎でビジネスを展開していましたが、これからは外部情報もたくさん取り入れて行きたいと考えています。また、この地から上場を達成したことを胸に、これからも自分が新しい道を切り開いて、後継者ではなく、若い人たちにも新しい可能性を示していきたいと考えています。それが私の地元、かつらぎ町のためにもなると思っています。
プロフィール
- 氏名
- 池田 道夫(いけだ みちお)
- 会社名
- 株式会社ミモナ
- 役職
- 代表取締役社長