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(画像=東洋ライス株式会社)
雜賀 慶二(さいか けいじ)
東洋ライス株式会社代表取締役社長
1934年和歌山県生まれ。中学卒業後、家業の精米機ディーラーに就く。1961年、コメの中から石粒を取り除く石抜選穀機を開発。それを機に㈱東洋精米機製作所を設立。60年以上に亘り、精米機器及びコメやその加工に関する研究など技術発明に従事し、その他の代表的な発明品には、トーヨー味度メーター、BG無洗米、金芽米、金芽ロウカット玄米など。東京農業大学客員教授、一般社団法人日本SDGs協会名誉会長、公益財団法人医食同源生薬研究財団名誉会長を兼任。
東洋ライス株式会社
コメに関する総合メーカー。1961年の創業以来、独創的な精米機器およびコメの開発により、食生活向上とSDGsに先駆けた環境負荷の低減、持続可能な循環型社会の形成に取り組んでいる。代表的な製品は、BG無洗米、金芽米、金芽ロウカット玄米など。

東洋ライスの強みとは

ーそれでは、インタビューを始めさせていただきます。まず、御社の強みについて教えてください。

過去を振り返ってみると、創業以来62年間、一度も赤字になったことがありません。また、営業マンのノルマはなく、売上や利益にこだわらず、経営してずっと続けてこられたことが一つの強みです。

ーなるほど、意識しなくても、自然と強みが発揮できているということですね。例えば、従業員の方々と、想いが共有できているとか、同じ方向に進んでいけるとか、そういった組織上の強みも構築されているのでしょうか?

はい、役職の有無、入社歴の長短にかかわらず、従業員一人一人の意見に耳を傾け、尊重するようにしています。従業員が接している取引先でのやり取りのなかなどからも、新しい気づきが見つかることもあるんですよ。もちろん、会社の売上や利益にも関心を持っていますが、それよりも世の中の困りごとに関心を持ち、社会の利益のために何をしているかということに重きを置いています。私は自分自身も大事にし、家族も大事にし、会社も大事にしていますが、それと同じレベルで社会の利益も大事にしているのです。

ー企業の経営者として、どのように問題解決に取り組んでいるのですか?

私は自分が生きている間に少しでも社会の問題解決に貢献したいと考えています。そのため、社会的責任の一つとして納税による社会貢献と事業による社会貢献の両方に取り組んでいます。

地域での取り組み

ー ありがとうございます。続いて地域との関わり方についてお聞きしてもよろしいでしょうか。

まず、我が国の未来を担う子供たち、特にこれから生まれてくる子供たちが健康で健全に育ってもらうことを目指しています。そのために、今食べているコメの加工方法を変えることです。本来のコメにはたくさんの栄養素が含まれていますが、現代の加工方法ではそれらの栄養素が失われてしまっています。ですから、私たちはその栄養素を再現することが大切だと考えています。そうすれば、おいしく健康的な食事ができるでしょう。そういったコメを私たちは医食同源米と呼んでいますが、私たちは自治体と協力して学校給食へ医食同源米の導入や、妊婦に無償で医食同源米を配布する取り組みなどを推進していて、すでに7つの自治体で始まっています。他にも医療や健康に貢献できるよう、医療機関とも連携して取り組んでいます。そこで健康に良い医食同源米を提供することで、地域住民の健康寿命を延ばすことができると考えています。

私がこんなに元気でいられるのも、おいしくて栄養価の高い米を食べているからだと思います。これからも、私はそのような米を推進していきたいと考えています。

過去のブレイクスルー

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ー東洋ライス株式会社ではさまざまな事業も実施されているとのことですが、これまでに壁にぶつかった経験や、どのように乗り越えてきたのかについてお話しいただけますでしょうか。

過去には数々の発明や新しい商品開発に取り組んできましたが、経営に関して困ったことはほとんどありません。もちろん、新しい発明や開発にはチャレンジが伴いますが、一般に言われる苦労というのはあまり感じていません。

ー他社の製品開発や売り上げ状況にはあまり関心がないと言っていますが、新しい開発を進める上で何か調査はしているのでしょうか?

いえ、実は私は他社の動向にはあまり関心がなく、自分がやらなければならない仕事に集中しています。社会が絶対に必要としていると感じるものを開発することに注力しており、他の誰もが手を出していない分野に挑戦しています。

ーそれはどのような分野でしょうか?

現在や将来必要とされるであろう分野ですね。もちろん、私の目に入っていないだけで他社が開発している可能性もありますが、私は自分が何とかしなければならないと感じるものに取り組んでいます。

ーそれは社会のためになるという意識からでしょうか?

そうですね。私は自分がやるべきことを決めて取り組み、結果が出たら次の課題に進むというスタンスでやっています。他社の経営者や技術者が同じように取り組めば、うまくいくことが多いと思います。

他の人がAをやっているなら「A´」に取り組むのではなく、私はBやCをやるべきだと思います。そうすれば、オリジナルなものが生まれ、効率的に事業を進めることができると考えています。

ー日本人の気質として、流行に乗ることや横並び的な行動が多いと思いますが、その点についてはどのようにお考えですか?

確かに日本人にはそういった傾向があるかもしれませんが、私は基本的にオリジナルなものを追求する方が良いと考えています。効率性を重視し、自分の道を切り開くことが大切だと思います。

ー健康ということに関して常に最新の情報を取り入れるためにやっていることはありますか?

実際には、特別な情報収集方法は使っていません。普段から新聞やテレビを見るだけで、現在の国民が抱えている問題がわかります。例えば、厚生労働省が発表した20年後の医療費や年金、介護費の予測などがあります。今でも負担が大きいですが、20年後にはさらに増えるでしょう。働く人口が減少していく状況を考慮すると、何とか対策を講じなければならないと感じています。

ーそれでは、視点を変えて、様々な製品の開発を行っている中で、会社がうまく回る秘訣は何でしょうか?従業員への教育や育成について、どのように考えていますか?

私たちの会社では、一般的な企業に比べて、従業員への教育や育成が十分でないかもしれません。しかし、子供が親の生活ぶりを見て学ぶように、従業員も上司の働きぶりを見て学んでいくと考えています。上司が愛されるような働き方をしていれば、それが従業員に伝わるでしょう。

将来の展望

ー ありがとうございます。続いて今後の展望についてお聞かせいただけますか?

これからも全力を尽くして社会に貢献をしていきたいと思いますが、そのためには、当社だけではなく、日本全国で取り組んでいく必要があります。そのため、本年4月に産・官・学・消(消費者)が一体となった「医食同源米によって国難を解決するためのコンソーシアム」を立ち上げて推進しています。

ー 今後の取り組みについて具体的にお聞かせいただけますか?

コンソーシアムでは、さまざまな「困難」を解決していくことを目的として、さまざまな分野の専門家や関係者と連携しています。社会を変えていくためには、民間企業だけでなく、行政も一緒に取り組むことが大切だと考えています。

例えば、現在、東洋ライスでは、産官連携の形で、約10箇所の行政と「医食同源米」の普及を通じた健康増進などについて、協力して取り組んでいます。また、小さな自治体も含めて、さまざまな規模の行政と連携しています。

ーそれは素晴らしいことですね。今後の展開についてはどのようなことを考えていますか?

この取り組みをさらに広げていくために、学識経験者とも連携しています。私自身も大学の客員教授として関与しており、行政関係者とも連携して、さらなる発展を目指しています。

産業界では、御社と同じ業界の方々だけでなく、異なる業界の方々にも協力をお願いしています。

ー どのような業界の方々にアプローチしていますか?

まず、米の生産者や生産業界の方々です。彼らはこのような話をするとすぐに理解し、協力してくれます。また、米の加工業者や学者も含め、米の加工に関して本当に素晴らしい健康的なものを作っていることを理解していない方々にもアプローチしています。

ー それ以外にも、流通業者やスーパーなどの小売業者、食品を提供する業者なども含めて産業界全体に広げていくということですね。

はい、そうです。この取り組みは、社会全体で推進していく必要があります。行政も理解してくれているとはいえ、なかなか簡単には進まないこともありますが、皆で協力していくことが大切です。

読者へのメッセージ

ー 最後に、弊社のメディアの読者である次世代の経営者に向けたメッセージをお願いできますか?

私はそれほどの立場ではありませんが、企業は社会が必要とすることを行うべきだと思います。競争のない世界を目指し、自分たちが社会に貢献できることを見つけて進めていくことが大切です。

ー ありがとうございます。弊社も様々な挑戦をサポートしていく中で、雜賀代表のお話を参考にさせていただきます。それでは、インタビューはここまでとさせていただきます。今後の記事の作成についても、よろしくお願いいたします。

氏名
雜賀 慶二(さいか けいじ)
会社名
東洋ライス株式会社
役職
代表取締役社長