1969年東京都生まれ。1993年3月東京大学工学部卒。
1993年4月 新卒で株式会社博報堂に入社し、イベント事業に従事。
TELECOM99、ダービーフェスティバル、沖縄サミットなどを担当。
2000年同社を退社。同年8月に株式会社アルファポリスを設立。
これまでの事業の変遷について教えてください。
新卒で広告会社に入社し、その後インターネットの普及と共に、元々の独立志向やエンターテインメント領域への興味から、2000年に当社を起業しました。当初から小説やエッセイ、漫画などインターネット上の人気のあるコンテンツを書籍化するビジネスを行っており、中にはメディア化した作品やヒット作といわれる作品も生み出すことができました。その後、2014年にはマザーズ市場(現、グロース市場)に上場し、直近では、約10年前に立ち上げていた漫画事業が電子書籍市場の拡大と共に順調に成長し、当社の業績も大きく伸長しております。
一番感銘を受けた書籍とその理由は?
感銘とは少し違いますが、一番影響を受けた書籍は、高校生の頃に読んだ「ティファニーで朝食を」(トルーマン・カポーティ著/龍口直太郎 翻訳)です。この本は、アメリカを舞台にした自由奔放に生きる女性の周りで起こるさまざまな出来事を描く小説で、オードリー・ヘプバーン主演で映画化(映画は当たり前ですが書籍と異なりラブロマンス作となっています)、その後に村上春樹氏による日本語訳版の出版もされている作品です。
当時、私はこの主人公の自由な生き方や自分らしさに憧れを抱き、私の独立志向や人生の価値観に多大なる影響を及ぼしたと思います。また、ビジネス書も広く読みますが、立場や状況などが異なり、実際に行動するのは自分自身であるため、活かせるところを活かすようにしています。
読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。
今までの読書や体験を通して、「とりあえずやってみなければわからない」という考えのもと行動を起こし続けてきたと思います。歴史があり大手と言われる会社もひしめく出版業界に挑戦したので、周りからさまざまな意見をいただきましたが、実際に起業する際に、迷うことはなく、相談することもなかったです。逆に業界を知らなかったからこそ、これまでの慣習にしばられることなく、外部環境の変化を上手く捉え、厳しい状況にあった出版業界の中で成長することが出来たのだと思います。
また一人ではじめた時から、最初の1人を採用し、5人、10人、30人、100人と社員が増え、売上も1億、5億、10億、50億、そして100億近くになっていく、その都度、各々の段階で異なった問題が出てきました。その課題解決のためのヒントとして、書籍を常に参考としてきました。様々な書籍から自分に、あるいは当社に合う方法を導き出す。書籍は常にそうした宝の山であり、アイデアの宝庫でしたね。それは今も変わっていません。
社員に対して大切にしている考え方を教えてください。
各々、得意不得意が異なる社員が当社に集まっていますが、そのなかで共通して社員に求めていることは二つあります。一つ目は、他者に敬意を払うことです。当たり前かもしれませんが、部下や上司など全ての人間関係において重要で、それぞれの立場の意見や主張を尊重することはとても大切だと考えております。
二つ目は、自分で考え動くことです。変化の多い業界、企業なので、何事においても自ら考え、自分から行動を起こせることが事業を推進する上で重要だと考えております。この二点は社員にも常に共有していますし、採用時にも重要視しており、全社的に良い方向に向かっていると思います。
最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。
二つのEーーEntertainment & Engineeringをスローガンにし、現在の出版事業にとどまらず、エンターテインメント領域での挑戦を続けていきたいと考えています。そのためには、先ほど述べた他者に敬意を払い、自走できるという二つのポイントに加え、視座が高い人材の確保が重要になってくると思います。視座が高いとは、現状にとどまらず、既存事業である出版での大きくダイナミックな成長やエンターテインメント領域において社会的なムーブメントを起こせるような新規事業の立ち上げなど地平線の果てに目線を向けることのできるという意味です。そのようなメンバーが増えることで、当社のビジョン達成により近づくことができると考えています。
- 氏名
- 梶本 雄介(かじもとゆうすけ)
- 会社名
- 株式会社アルファポリス
- 役職
- 代表取締役社長