企業名アイキャッチ
(画像=株式会社リプロセル)
横山 周史(よこやま ちかふみ)
株式会社リプロセル代表取締役社長
大阪府出身。東京大学工学部を経て、1996 年同大学院にて工学博士号を取得。
在学中は米国短期留学を経験し、卒業後はマッキンゼーアンドカンパニーに入社。
その後、事業会社を経験したいと考え、1997 年にスリーエムジャパンに転職。
新規ビジネスのプロジェクトマネージャーとして 7 年間ほど勤務した後、2004 年株式会社リプロセルに取締役として入社。
翌 2005 年には代表取締役社長に就任。
株式会社リプロセル
株式会社リプロセルは、iPS 細胞用の研究試薬事業をはじめ、創薬支援や再生医療関連の事業を行う東大・京大発の大学発ベンチャー。
日本発のグローバル企業を目指して積極的に海外展開しているだけでなく、国内外の研究機関と提携しており、台湾の企業である Steminent Biotherapeutics Inc. とともに再生医療製品『Stemchymal(ステムカイマル)』を共同開発し、脊髄小脳失調症の患者への臨床試験を実施している。
2021 年には個人向けiPS 細胞作製サービス「パーソナル iPS」や郵送 PCR 検査など、一般消費者向けサービスの提供も開始した。

これまでの事業の変遷について教えてください。

私が当社に参画した2004年当時、再生医療という産業はまだ困難な状況で、まだ大学の先生が会社を立ち上げたばかりでした。そんな中で私が代表に就任し、事業をゼロから立ち上げましたが、やはり様々な困難がありました。特にバイオベンチャーの場合、開発が先行しなければならないので、研究開発に先立つ資金調達が必要となります。リーマンショック時には、深刻な資金調達難に見舞われましたが、社会貢献や新規事業立ち上げへの強い思いから逆境を乗り切ることができました。そして、創業から10年後には上場を果たし、現在では会社設立からは20年が経ちますが、テクノロジーの進化とともに、私たちは絶えず新製品と新規事業の開発に取り組んできました。

一番感銘を受けた書籍とその理由は?

一番感銘を受けた書籍は、ジム・コリンズ氏の「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」です。本書に出会ったのは10年以上前のことですが、今でもこの書籍の学術書のような側面が印象に残っています。私が本書を学術書と感じた理由は、いわゆるビジネス書や経営書というのは根拠が薄くて筆者の成功事例だけを書いた本が多いのですが、この本では、事実を元にした比較と対照がしっかりなされていたからです。具体的には、ある業界において15年連続で伸びている企業と、同じ業界で伸びることができなかった企業を、それぞれ複数社ピックアップし、様々な要素とデータから徹底的に比較して、伸びる企業の共通した特徴を結論づけていました。

また、企業にとって経営者は重要だということも本書から再認識できました。コリンズ氏は、経営者を5段階に分類し、伸びている企業には、謙虚さと不屈の精神を兼ね備えた第5水準の優れた経営者がいるということを主張していました。私自身、当社を継続的に成長できる会社に育てていきたいと考えているので、優れた経営者になるために真似しなければならないと感じました。

読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。

私は自身の経営スタイルを形成する上で、この本から大きく影響を受けています。特に、「調子が良いときは窓の外を、調子が悪いときは鏡を見る」という経営へのアプローチは、とても参考にしています。つまり、成功を達成したときには、それがチーム全体や外的要因の成果であり、個々の貢献によって形成されたものであると認識する一方で、課題や困難に直面したときには、その解決策の責任を自分たちが持つべきであり、内的要因に依存するという認識を持っています。

また、経営と言うものは1日にして完成するものではなく、突然転機が訪れるものでもない、という部分にも大変共感しました。先ほどの謙虚さにも通ずる部分でもありますが、困難や厳しい状況でも、現実を直視して決めたことを最後までやり抜く姿勢というのは、私自身や当社のスタンスになっています。

経営において重要としている考え方を教えてください。

当社は再生医療や新しいバイオ技術など、これまで誰にもできなかったようなことに対して、挑戦をし続けるということをミッションに掲げています。そのため、私が経営で重要視しているのは、ミッションの実現を目指して、あくなき追求を続けることです。当社の事業は、技術的には難しい領域ですが、成長産業であり、また社会に与えるインパクトも大きいので、各々が現状で満足することなく、謙虚かつひたむきに事業に取り組むことが大切だと考えています。

株式会社リプロセル
(画像=株式会社リプロセル)

最後に、御社の未来構想や社員への期待について教えてください。

当社の長期的な目標は、次世代の医療ビジネスを創造することです。再生医療やパーソナルiPS、個別化医療など、様々な分野に取り組んでいますが、それら全てが次世代の医療に寄与すると考えています。社員に対しては、このような当社の経営方針に対して、自ら積極的に挑戦し、楽しみながら取り組んでほしいと期待しています。

氏名
横山 周史(よこやま ちかふみ)
会社名
株式会社リプロセル
役職
代表取締役社長