主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年10月27日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼26日(木)の為替相場
(1):RBAの利上げ観測がやや後退
(2):ドル/円 年初来高値更新
(3):ECB 11会合ぶりに金利据え置き
(4):米四半期GDPは高い伸び
▼26日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:やや上値が重い展開となりそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
26日(木)の為替相場
期間:26日(木)午前6時10分~27日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):RBAの利上げ観測がやや後退
豪中銀(RBA)のブロック総裁は議会証言で、前日に発表された7-9月期消費者物価指数(CPI)が前年比+5.4%と市場予想を上回ったことについて「ほぼ想定の範囲内」との認識を示し、「まだ数字を分析中だ。金融政策に関するわれわれの見解を変えるに十分かどうか見極める必要がある」と述べた。CPIを受けて高まっていた11月の利上げ観測がこれを受けてやや後退した。
(2):ドル/円 年初来高値更新
米10年債利回りが再び5%に接近したことを受けてドル/円は年初来高値を更新。150.78円前後へと上伸した直後に149.80円台まで急落するなど日本政府・日銀による円買い介入への警戒感が高まる中で神経質な値動きとなった。クロス円でも一時円買いが強まった。ただ、介入の形跡はなかったとの見方に傾くとすぐに円買いは収束した。
(3):ECB 11会合ぶりに金利据え置き
欧州中銀(ECB)は主要政策金利を4.50%に据え置いた。据え置きは11会合ぶり。声明では「金利水準が十分に長い期間維持されれば、インフレ率がタイムリーに2%の中期目標に戻ることを確実にするために大きく貢献する」との見解を改めて示した。予想通りの金利据え置きで声明にも目立った変化はなかったことからユーロ相場に大きな反応は見られなかった。その後、ラガルド総裁が会見を行い、焦点のひとつだったパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の再投資を前倒しで終了させる量的引き締めについて「今回は議論されなかった」と明らかにした。これを受けてユーロが売られる場面もあったが一時的だった。ラガルド総裁は「ECBが金利を据え置いたという事実は、二度と金利を引き上げないという意味ではないと言っておきたい」「利下げについて討議することさえ、完全に時期尚早だ」などと述べた。
(4):米四半期GDPは高い伸び
米7-9月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比年率+4.9%と市場予想(+4.5%)を上回り、4-6月期(+2.1%)の2倍以上となる高い伸びとなった。7-9月期個人消費・速報値は予想通りに前期比年率+4.0%となり、2021年以来の大幅増だった。ドルは一時上昇したが、同時に発表された米7-9月期コア個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)が前期比+2.4%と予想(+2.5%)を下回り4-6月期(+3.7%)から鈍化したことを受けて米長期金利が低下に転じたため失速した。なお、米新規失業保険申請件数は21.0万件(予想20.7万件、前週20.0万件)、米9月耐久財受注は前月比+4.7%(予想+1.9%、前回-0.1%)だった。
26日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:やや上値が重い展開となりそう
昨日のドル/円は年初来高値更新後に伸び悩んだ。前日の海外市場で進んだドル高・円安の流れを引き継ぎ、東京市場で約1年ぶりに150.78円前後まで上昇したが、直後に149.80円台へと急落するなど日本政府・日銀による円買い介入への警戒感から値動きは神経質だった。その後も、米7-9月期国内総生産(GDP)・速報値が予想を上回ったことを受けてドル買いに傾く場面はあったが、米長期金利が低下に転じたため150円台半ばで伸び悩んだ。米10年債利回りは節目の5.00%を前に再び失速。米7-9月期GDPと同時に発表された7-9月期のコア個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)が予想以上に鈍化したことで、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ終了観測が浮上した。
本日のドル/円はやや上値が重い展開となりそうだ。150円台後半に上昇すればあらためて介入警戒感が高まるだろう。一方、米長期金利の低下が続けば150円台を割り込んで調整することも考えられる。なお、本日のNY市場では米9月PCEデフレーターの発表が予定されており、前年比+3.4%に伸びが鈍化すると予想されている。
注目の経済指標:米PCEデフレーター
注目のイベント:特になし
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経済指標カレンダー
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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