2010年京都大学法学部卒業、同年、旧司法試験合格、2012年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。
2013年森・濱田松本法律事務所入所、M&Aや企業間紛争解決に従事。
2017年、法律事務所の同僚である小笠原匡隆(現・LegalOn Technologies代表取締役共同創業者)と共に独立し、
株式会社LegalOn Technologiesと法律事務所ZeLo・外国法共同事業を創業。
LegalOn Technologiesの代表を務める(現任、ZeLo副代表弁護士も兼任)。
弁護士の法務知見と自然言語処理技術や機械学習などのテクノロジーを組み合わせ、企業法務の質の向上、効率化を実現するソフトウェアの開発・提供をしています。
京都大学との共同研究をはじめ、学術領域へも貢献しています。
2019年4月よりAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」、2021年1月よりAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」、2023年4月よりアメリカでAI契約レビュー支援ソフトウェア「LegalOn Review」を提供しています。
事業の変遷について教えてください。
私のキャリアは、弁護士として大手法律事務所に勤めていたところから始まりました。企業間の紛争訴訟、ガバナンス関連、契約書関連、M&A等、非常に幅広い案件に携わっていました。中でも契約書審査には、精神的に大きな負担を感じていました。契約は一度締結したら後戻りができない不可逆なものですので、ミスは許されません。誤字脱字の有無や該当する契約を踏まえた条文の正誤を時間をかけて確認していましたが、2015年頃にアルファ碁が話題になり、AIブームの到来とともに自身の非効率的な作業をAIに任せられないかと思い始めました。
こういった状況において、テクノロジーを活用した契約業務の効率化、高速なサービス提供が可能になると考え、2017年にLegalOn Technologiesを設立しました。現在プロダクトはAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」、AI契約管理システム「LegalForceキャビネ」を主軸に4つ投入している状況です。Saasのビジネスモデル上、最初から黒字というのは難しいので創業当初は、一番苦労をしました。資金調達を先にしていたのでプロダクトを作り上げないといけないという状況の中、先行投資という形で採用を進め、社員とともに努力することで乗り越えてきました。
一番感銘を受けた書籍とその理由は?
私が最も印象に残っている本は、「社長失格」です。一般的な経営ノウハウについて、成功談は多くの場で語られていますが、失敗した経験が共有されることは少ないと感じていました。そのため、この本は非常に価値ある読み物だと考えています。
また私が驚いたのは、この本の現実的な視点です。企業のサクセスストーリーや成功戦略を学ぶことは重要ですが、会社が危機を迎え、破滅に向かっていく過程を紐解くことも同じくらい重要だと感じました。失敗してしまった企業が、どのような選択をし、どのような戦略を取っていたかを知ることで、自社が陥らないようにする知識や洞察を得ることができました。これは、自社の事業戦略や意思決定において非常に役立つ情報だと感じています。
読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。
「社長失格」を読むことで、私たちの会社が何か重要なことを見逃しているか、もしくは何か間違った方向に向かっているかを常にチェックする必要があることを再認識しました。また、ビジネスの世界で失敗する要因やうまくいかない戦略について実例を知ることで深い洞察力を得ることができました。
これにより、私たちの経営戦略や意思決定を再評価し、入念に分析するきっかけとなりました。現在のアプローチが正しいかどうかを確認し、必要に応じて新たな戦略を開発するうえで非常に有益でした。
経営において重要としている考え方を教えてください。
私は経営者の主な役割は、ビジネスを成長させ業績を伸ばし続けることであると考えています。特に、外部から資本を調達している場合、私たちは株主からの信頼を勝ち取り、お客様からも信頼を得て業績を伸ばす責任があります。私たちの目標は、一過性の成功ではなく、長期的な視点から見た業績の拡大です。成長は絶えず進行し続けるべきだと感じているので、そのような意思決定をする必要があると考えています。
最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。
私たちは「法とテクノロジーの力で安心して前進できる社会を創る」というパーパスを掲げ、事業を行っていますが、日本の顧客だけでなく、世界中の潜在的な顧客にも価値を提供していきたいと考えています。そのために必要なのは、世界に通用するユニークなプロダクトの開発と、それを提供するための強い組織です。
私達の強みの一つは、スキルの高い人材が各分野で揃っており、多様な経験や能力を活かした強いチームであることだと思っています。多様性を活かし、共通の目標に向かって動くことで、より大きな成功を達成できると信じています。各々が持つスキルを最大限活かして大きな目標に向かって進んでいきたいです。
- 氏名
- 角田 望(つのだ のぞむ)
- 会社名
- 株式会社LegalOn Technologies
- 役職
- 代表取締役 執行役員・CEO兼弁護士