主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年11月1日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼31日(火)の為替相場
(1):中国製造業PMI 予想外の50.0割れ
(2):日銀決定を受けて円売り
(3):植田日銀総裁 定例記者会見
(4):財務省 10月の為替介入実績ゼロ
(5):ユーロ圏GDPマイナス成長に転落
(6):米消費者信頼感指数 予想ほど悪化せず
▼31日(火)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:ドル高主導で高値を更新する可能性/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
31日(火)の為替相場
期間:31日(火)午前6時10分~1日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国製造業PMI 予想外の50.0割れ
中国10月製造業PMIは49.5と市場予想(50.2)を下回り、活動拡大・縮小の分岐点である50.0を2カ月ぶりに下回った。これを受けて中国の景気回復期待がやや後退した。
(2):日銀決定を受けて円売り
日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用をさらに柔軟化することを決定。長期金利の上限について目途を0.50%から1.00%に引き上げた上で、「粘り強く金融緩和を継続する方針である」と表明した。YCCの運用については、1.00%の利回りでの指値オペを「毎営業日、実施する」としていた従来の文言を削除し、「機動的にオペなどを実施する」とした。同時に発表した展望リポートでは2023年度と2024年度の物価見通しをともに2.8%へ上方修正。ただ、2025年度は1.7%への小幅な引き上げにとどめた。ほぼ事前に報じられた観測報道どおりの内容だったことから、より踏み込んだ緩和修正を期待していた市場は円売りで反応した。
(3):植田日銀総裁 定例記者会見
植田日銀総裁が定例会見を行い、YCCの柔軟化について、長期金利に「厳格な上限は設定しない」が、それでも「1%を大幅に上回るとはみていない」と話した。足元の円安については、為替変動が景気に影響を与えないか、政府と緊密に連携をしつつ「注視していきたい」と語り、為替の動きが物価見通しを大きく変えるような場合には「政策変更に結びつきうる」との見解を示した。
(4):財務省 10月の為替介入実績ゼロ
本邦財務省が公表した「外国為替平衡操作の実施状況」で10月は為替介入を行っていないことが判明。10月3日の一時的な円急伸は政府・日銀による円買い介入によるものではなかったことが明らかになった。
(5):ユーロ圏GDPマイナス成長に転落
ユーロ圏7-9月期域内総生産(GDP)・速報値は前期比-0.1%と市場予想(±0.0%)を下回った。同時に発表されたユーロ圏9月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.9%と前月(+4.3%)から鈍化し、予想(+3.1%)を下回った。食品やエネルギーなどを除いたコアHICPは前年比+4.2%だった(予想+4.2%、前月+4.5%)。
(6):米消費者信頼感指数 予想ほど悪化せず
米10月消費者信頼感指数は102.6と5カ月ぶりの水準に低下したが、予想(100.5)ほどには悪化しなかった 。発表元のコンファレンス・ボードは「消費者は引き続き物価全般、特に食料品とガソリンの上昇に頭を悩ませている。また、政治情勢や金利上昇に対する懸念のほか、最近の中東情勢を受けて戦争や紛争に関する懸念も高まった」と指摘した。
31日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:ドル高主導で高値を更新する可能性
昨日のドル/円は年初来高値を更新して151円台へ大幅続伸。日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を再び柔軟化して長期金利(10年債利回り)が1.00%を超えることを事実上容認した。しかし、「粘り強く金融緩和を継続する方針」をあらためて表明しており、より踏み込んだ緩和修正を期待していた市場は円売りで反応。東京市場で150円台を回復すると、その後もほぼ押し目なく上昇を続け、NY市場では151.71円前後まで上伸した。昨年10月に付けた151.94円前後に迫っており、これを超えれば1990年以来約33年ぶりの高値となる。日本政府・日銀による円買い介入も警戒されるが、本日は米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融政策を発表するだけに、本邦当局としては介入には踏み切りにくいだろう。なお、本日はFOMC以外にも米9月JOLT求人件数、米10月ISM製造業景況指数などの米重要指標が発表される。ドル高主導で33年ぶりの高値を更新する可能性は十分にありそうだ。
注目の経済指標:米FOMC
注目のイベント:パウエルFRB議長講演
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経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
経済指標カレンダー
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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