ハイリスク・ハイリターン投資というと、「危険なので手を出してはいけない」というイメージをお持ちの人も多いのではないでしょうか。一方で、資金の一部をハイリスク・ハイリターン投資に回すことで、「運用効率を上げる」効果も期待できます。ここでは、ハイリスク・ハイリターン投資の代表的な方法やポートフォリオの考え方などについて解説します。
金融商品において「ハイリスク=危険」は間違い
まずは、ハイリスク・ハイリターンの意味について簡単におさらいしましょう。
一般的にリスクという言葉には「危険」という意味があります。そのため、「ハイリスク投資=避けるべき」というイメージを持ちやすいのですが、金融商品におけるリスクとは「振れ幅(値動き)の大きさ」のことを指します。
これを踏まえると、ハイリスク(振れ幅が大きい)ということは、値上がり幅が大きい可能性がある一方、値下がり幅も大きい可能性があるということになります。投資をする人自身がこのことを認識していれば、ハイリスク・ハイリターン投資は選択肢の1つになります。
ローリスク:値上がり幅と値下がり幅の振れ幅が小さい(×安全の意味ではない)
ハイリスク:値上がり幅と値下がり幅の振れ幅が大きい(×危険の意味ではない)
ミドルリスク:両者の中間
ハイリスク・ハイリターン投資5選
ハイリスク・ハイリターン投資には、次のような種類があります。
- 注目テーマのアクティブファンド
- 小型株投資
- エンジェル投資
- 暗号資産
- レバレッジ型の投資商品
それぞれの特徴やどういった銘柄があるのかを確認していきましょう。
※本稿はこれらの商品や銘柄を推奨するものではありません。購入により元本割れ、または元本を上回る損失が発生する可能性があります。ご自身の判断と責任に基づいて慎重に運用をしてください。
1.注目テーマのアクティブファンド
投資信託は分散投資の効果があるため、ローリスク・ローリターン(またはミドルリスク・ミドルリターン)の商品と考える人も多いかもしれません。しかし、選択する銘柄によってはハイリスク・ハイリターンのファンドもあります。
ハイリターンな銘柄で目立つのは、アクティブファンドです。投資信託は投資手法によって、インデックスファンドとアクティブファンドに大別されます。
インデックスファンド | ・指数(インデックス)に連動することを目指す ・手数料が安い傾向 |
---|---|
アクティブファンド | ・指数を上回ることを目指す ・手数料が高い傾向 |
アクティブファンドの中でも注目度の高いテーマを設定した銘柄は、リターンが年率50%を超えるケースも散見されます。以下は、その一例です。
ファンド名 | 運用会社 | 年率リターン |
---|---|---|
野村世界業種別 (世界半導体株投資) | 野村アセット | 70.38% |
日経平均高配当利回り株ファンド | 三菱UFJアセット | 61.65% |
iFreeNEXT FANG+インデックス | 大和アセット | 58.91% |
2.小型株投資
「テンバガー(10倍株)」の言葉がある通り、ハイリスク・ハイリターンの代表である株式投資では短期間で株価が急騰するケースも少なくありません。株価が急騰しやすい銘柄の条件でよく挙げられるのは「小型株であること(時価総額が少ないこと)」ですが、他にも以下のような条件が聞かれます。
・営業キャッシュフローが多い
・創業からの年数が少ない
・経営者が創業者で若手(40〜50代) など
ただし、「どんな条件だと株価が上がりやすいか」については他人の意見を鵜呑みにせず、ご自身でリサーチして判断するのが賢明です。リサーチは証券会社が提供しているスクリーニング(銘柄条件検索)を使えば手軽にできます。検索の一例(直近1年の値上がり率上位の銘柄)は次の通りです。
銘柄名(証券コード) | 市場 | 値上がり率 |
---|---|---|
アジャイルメディア・ネット (6573) | 東証グロース | 812.00% |
ニチリョク (7578) | 東証スタンダード | 406.96% |
内海造船 (7018) | 東証スタンダード | 376.87% |
ビューティー花壇(3041) | 東証スタンダード | 355.64% |
海帆(3133) | 東証グロース | 313.70% |
3.エンジェル投資
ハイリスク・ハイリターン投資の選択肢では、自身が注目するベンチャー企業(未上場株)を見つけて投資を行うエンジェル投資もあります。
投資した企業が急成長して、まとまった配当金を出せるようになったり、上場(IPO)に成功したりすれば、金融商品のリターンをはるかに上回るメガリターンを得ることも可能です。
エンジェル投資は、未上場企業への投資をテーマにした「株式投資型クラウドファンディング」のプラットフォーム(ファンディーノなど)を利用すれば比較的手軽にできます。
4.暗号資産
暗号資産に対して「オワコン」のイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、暗号資産は、多くの人が忘れた頃に高騰して再び注目されることを繰り返しています。この波を利用するなら、価格が下落した時に仕込んでおいて再燃を待つ戦略も考えられます。
ちなみに直近のチャートでは、2023年1月に1Bitcoin 220万円を切りましたが、本稿執筆時点(2023年10月22日時点)では450万円まで急騰しています。
参照:ビットフライヤー 「ビットコイン(Bitcoin)/日本円のチャート」
今後の暗号資産のトピックスでは、世界最大の資産運用会社ブラックロックなどがSEC(米証券取引委員会)にビットコインを使ったETF(上場投資信託)の申請を行っています(執筆時点)。この申請が承認されれば、「暗号資産に大きな値動きがあるのでは?」との見解もあります。
5.レバレッジ型投資商品(FX、レバレッジETF、信用取引など)
FX、レバレッジETF、信用取引はいずれも「担保となる証拠金(保証金)にレバレッジをかけられる」という共通点のあるハイリスク・ハイリターン商品です。 投資におけるレバレッジとは証拠金よりも大きな倍率で取引ができることで、商品ごとに投資倍率が異なります。
投資商品 | 最大のレバレッジ率 |
---|---|
FX | 25倍 |
レバレッジETF | 銘柄によって異なる 例:日経レバETF=日経平均の騰落率の2倍 |
信用取引(株式) | 3.3倍 |
レバレッジ商品を利用する際の注意点は、レバレッジ率や投資金額に余裕をもたせることです。一例では、レバレッジ型の商品で運用するのは、金融資産の総額の数%程度に抑えれば暴落しても損失のダメージは限定的です。
ハイリスクハイリターン投資はポートフォリオの一部にするのが賢明
ハイリスク・ハイリターンの投資商品は、まさに「諸刃の剣」です。うまく利用すれば運用効率を高める反面、利用の仕方を誤ると資産を失う、さらには借金を抱えるという結果になりかねません。
ハイリスク・ハイリターン投資の賢い考え方は、ローリスクやミドルリスクの商品を交えながら、ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ、資産配分)を組むことです。一例は次の通りです。
分類 | 投資商品例 | 全体に占める割合例 |
---|---|---|
ローリスク・ローリターン | 定期預金 個人国債 | 60% |
ミドルリスク・ミドルリターン | インデックスファンド REIT 不動産クラウドファンディング | 37% |
ハイリスク・ハイリターン | 小型株投資 暗号資産 | 3% |
上記のようにハイリスク・ハイリターン投資の割合が低ければ、仮に小型株投資の対象企業が破綻したり、暗号資産が急落したりしてもポートフォリオ全体に与える影響は限定的です。
上記の投資商品に補足をすると、通常、リスクとリターンは相関関係にありますが、「不動産クラウドファンディング」に限っては、その法則が当てはまらないケースもあります。空室や売却損で損失が発生しても、その一部を軽減してくれる「優先劣後方式」を採用しているファンドが多いからです。
この方式を採用しているファンドは、「ミドルリスク・ハイリターン(またはローリスク・ミドルリターン)」のケースもあります。「優先劣後方式」について、詳しく知りたい人は下記の関連記事もご参照ください。
関連記事:不動産クラウドファンディング選びで「優先劣後方式」を重視すべき理由
(提供:YANUSY)
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