2001年 一橋大学在学中に有限会社(現株式会社)リアルアンリアルを創業、代表取締役/取締役CTO等経て取締役
2017年 リアルワールドゲームス株式会社を共同創業、取締役CTO/CFOを経て取締役。歩くことでもらえる「ARUKコイン」担当
2019年 日本暗号資産市場株式会社(現JPYC株式会社)を創業、代表取締役
2021年 iU情報経営イノベーション専門職大学の客員教授、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)理事(現任)
2023年 BCCC「ブロックチェーン普及推進部会」部会長
これまでの事業の変遷について教えてください。
私が初めて起業したのは大学在学中で、現在の会社が3社目の創業になります。祖業はデジタルコインの会社で、まだデジタルコインという言葉が流行るよりも前の挑戦でした。その後2社目も創業し、1,2社目では代表取締役だけでなくCTOやCFOも歴任し経験を積み重ねてきました。その後2019年に、現在私が代表を務めるJPYC株式会社を設立しました。また、現在はBCCC(一般社団法人 ブロックチェーン推進協会)の理事、情報経営イノベーション専門職大学客員教授としての職も兼務しています。
一番感銘を受けた書籍とその理由は?
私が最も印象に残り、深く心に響いた一冊は『エンジニアリング組織論への招待』です。これは新たにCTOになる方や、エンジニアに関する知識や経験はないが、その理解を深めたいバックオフィス、経営者の方へ推奨したい本になります。この本は、「不確実性にどのように立ち向かうか」をテーマにしており、この問いかけの中にリスクを理解し、戦略を立てるための重要なヒントが凝縮されています。経営者としての今までの私の経験が上手く言語化されていると感じられる内容には深く共感しました。何かを新しく始めたいと考える時やその時に生じるリスクとどのように向き合うかなど、頭に入れておいて損はない情報が書かれていており、エンジニアや経営者以外の方でも理解しやすい本だと思います。
読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。
私はこの本を読み、社員にもこの考え方を知ってもらうことで、「リスクとどのように向き合っているのか」を社内共通言語とし、より有効なコミュニケーションを取ることができるようになりました。経営者は常にリスクと向き合い、判断を下さなければいけない立場です。その中で、「なぜこのような決断をしたのか?」「なぜこのようなリスクをとったのか?」といった説明責任がある場面において、自己流の考え方を説明しても中々メンバーに受け入れてもらえないということが発生してしまいます。そこで、この本からベースの考え方を全員が学び、土台が揃った上で考え方を述べると非常に話が伝わりやすくなります。この本のおかげで、組織全体にとって有効なコミュニケーションを実現できるようになりました。
経営において重要としている考え方を教えてください。
経営で特に重要だと考えているのは、組織を「自律分散型」にすることです。大まかには、各個人が自分自身の責任を持ち、自律的に行動できる組織を目指すということです。しかし、自律分散型を浸透させようとするだけでは、組織がバラバラになってしまう危険性もあります。そこで大切だと考えているのが、「共通言語」の概念です。これにより、全員が同じ目標を共有し、一緒に目指す方向に向かって進んでいくことができます。さらに意識していることは「年齢や性別に関係なく活躍できる文化」です。私たちが行っているブロックチェーンの領域は、パソコンさえ使えれば中学生であろうと、また、資産がなくても誰でも平等に挑戦できる環境であると考えています。これらが総合され、全体のバランスを保ちつつ機能するときに、組織は最高のパフォーマンスを発揮できると信じています。
最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。
私たちの構想は、ステーブルコインの規格を統一し、安全で効率的な決済を世界規模で実現できるようにすることです。そして、私たちのミッションは、社会のジレンマを突破することです。そのために私たちが作り出すステーブルコインが世界中の取引を効率化する未来を目標にしています。また、従業員に対する期待としては、私たちの独自の企業文化を理解し、主体性を持ってそれぞれが事業を推進していくことです。思い切って動き、新しい挑戦をすることを忘れないでほしいと思っています。
- 氏名
- 岡部 典孝(おかべ のりたか)
- 会社名
- JPYC株式会社
- 役職
- 代表取締役社長