総括
FX「消費者物価は高止まり、生産者物価は大幅低下。正統派政策にかすかな改善の兆しか」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.8-5.8
(ポイント)
*消費者物価高止まり、生産者物価は大幅低下
*正統派経済政策はリラ上昇につながらない
*金利を引き上げても上昇しないリラ
*財務相 経済効果が出るのは1年かかる
*外交不安多い(仲介外交の失敗)
*トルコ、スウェーデンのNATO加盟批准か
*パレスチナ紛争は、強いトルコの株も一時大きく下落させた
*国民の預金が再び海外へ流出している
*リラはメキシコペソや、南アランドのようには反発しない
*恒常的な貿易赤字や国民の外貨選好がリラ安を招く
*為替介入原則なし=中銀
*中銀=インフレ見通しが改善するまで段階的な引き締めは強化
(アドバルーンを掲げるが、結果は出ず、失望のリラ売りが続く)
今月は最弱スタート、年間でも最弱で一向に上昇しない。大統領や新経済チームは明るいアドバルーンを掲げるが、結果は出ず、失望のリラ売りが続く。
トルコ繊維輸出協会のムスタファ・グルテペ会長はインフレが低下するにつれてリラは下落するはずだ、と述べた
(直近の経済指標 マチマチ)
10月経済信頼感指数は96.5、前月は95.4、予想は97.5であった。
9月貿易収支は50.01億ドルの赤字。恒常的な貿易赤字によるリラ安で消費者物価が上昇するサイクルが続く。10月貿易収支速報値は67億ドルの赤字。
10月製造業PMIは48.4で前月の49.6を下回る。
今週は9月鉱工業生産、失業率の発表がある。
(10月消費者物価)
10月消費者物価は61.63%で前月の61.53%とほぼ変わらずであった。
衣料品・靴、住宅・ホテル、レストランの価格上昇が月次データを押し上げたが、予想62.12%を下回った。
(10月生産者物価は大幅低下)
10月生産者物価は前年比39.39%と、前月の47.44%から鈍化した。電気、ガス、蒸気、空調の価格の大幅な下落により、2021年5月以来の低下となった。さらに、鉱業・採石業と製造業でもインフレが緩和した。対照的に、水道、下水道、廃棄物管理および修復サービスの価格は上昇した 。月次ベースでは上昇率は1.94%と、9月の3.4%上昇から鈍化した。
(エルカン中銀総裁)
エルカン中銀総裁は、今年と来年の年末インフレ率見通しをそれぞれ65%と36%に引き上げ、緩やかな金融引き締めを継続すると表明した。
3カ月前の前回インフレ報告ではそれぞれ58%、33%と予想していた。エルカン総裁は「高くて不安定なインフレを抑制するのは長く困難なプロセスだ。ディスインフレを確実にするため、断固とした態度で、利用可能なあらゆる手段を活用し続ける」と述べた。インフレ率が来年5月に70-75%程度でピークに達した後、ディスインフレが始まるとし、目に見えて改善するまで金融引き締めは続くと指摘した。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
依然浮上せず
日足、陽線が多いが弱い。
ボリバン3σ下限も何度か割り込む。雲の下で推移。5日線、20日線下向く。
ボリバン3σ下限がサポート。11月3日-4日の下降ラインが上値抵抗。雲中。
週足、小動きだがジリ安。7月17日週-10月30日週の上昇ラインがサポート。10月16日週-30日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線下向き。
月足、2σ下限近辺で推移。7月-8月の上昇ラインを下抜く。5月-6月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から5円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。
メルハバ
EU加盟に対するトルコ国民の支持が高まる
EU加盟に対するトルコ国民の支持が高まる。トルコ国民がEU加盟プロセスをより支持していることが判明した。世論調査会社メトロポールがトルコ輸出議会(TİM)と経済開発財団(IKV)の支援を受けて実施したこの調査では、EU加盟への支持率が66%に達していることが示された。IKVのアイハン・ゼイティノール会長は、2019年に実施された同様の調査よりも5ポイント高いと述べた。