メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「パウエル議長のタカ派発言が金利据え置き・CPI低下のペソを揺るがす」メキシコペソ見通し

予想レンジ 8.2-8.7

 (ポイント)
*政策金利は予想通り11.25%に据え置き
*インフレは徐々に低下する見通し(中銀)
*パウエル議長の発言でペソが下落、ドルが上昇
*米墨金利差は常に焦点(昨日は縮小)
*10月消費者物価は低下
*市場は24年3月の利下げを予想
*中銀のインフレ予想は以下の通り
*大統領は「スーパーペソ」の復活を歓迎
*自動車業界は好調
*メキシコは米国の最大の貿易相手国
*ペソの高が輸出に悪影響を与えるという懸念なし、財務副大臣
*介入円高には気をつけたい
*3Q・GDP堅調、他の指標も堅調
*郷里送金も増加傾向続く
*IMFは成長見通しを上方修正も財政支出拡大に警戒
*大統領は為替ヘッジプログラムの縮小を支持
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり

(メキシコ政策金利は据え置き、同時に行われたパウエル議長発言で下落)
 昨日のペソは下落した。対円で1.51%、対ドルで1.79%下落。メキシコの政策金利は予想通り11.25%に据え置かれ、声明も想定内であったが、同時に行われたパウエル議長の講演で議長が、「政策金利が十分に制約的であるとはまだ確信していない」と発言したことで、ドルが買われペソが下落した。米10年国債利回りは4.495%から4.632%上昇(+0.137%)、メキシコ10年国債は10.03%から10.1%(0.07%)へ上昇、上昇率は米国が高かった。米株は下落したが、メキシコ株は上昇したことから、米国側のショックが大きくドルが上昇、ペソが下落した。

(メキシコ中銀声明など)
 政策金利据え置きは5会合連続。5人の委員が全会一致で決定した。インフレ低下が鮮明になっているためで、市場では2024年3月にもメキシコ中銀が利下げに転じるという見方が強まっている。
 中銀はヘッドライン・インフレ率は低下したが、コア・インフレ率の低下が緩やかで「3%とする目標への秩序ある収束には、金利をしばらくの間は現在の水準で維持する必要がある」とした。

(10月消費者物価低下、利下げの時期は)
10月の消費者物価指数は、前年同月比4.26%上昇した。9月は4.45%上昇だった。前月を下回ったのは9カ月連続で、7月以降の4カ月は連続して5%を下回っている。バナメックスが7日に公表したリポートによると、市場参加者の利下げ予想時期は24年3月が最多で、5月が続いた。

(メキシコ中銀のインフレ見通し)
 ヘッドラインインフレ、コアインフレともに2024年後半に目標の3%へ近づくと予想している。

(大統領は「スーパーペソ」の復活を歓迎)
 ロペスオブラドール大統領は、先週メキシコペソが対米ドルで上昇したことを受けて「非常に強い」と述べた。いわゆる「スーパーペソ」の復活を歓迎した。「これは私たちにとって助かります。デメリットもあるが、それ以上にメリットがある」と語った。
大統領は、また「経済の状態は信頼感と大きく関係しているため、マクロ経済の数値が良好な国は投資を呼び込むため、有利な国である。通貨切り下げがなく、インフレが抑制され、過剰債務がなく、経済成長があれば、非常に助かる」と述べた。「そしてメキシコは現在公共投資で非常に高い評判を得ており、多くの外国投資が流入している」と付け加えた。

(自動車業界は好調)
 10月の自動車生産台数は37万8129台と、前年同月比36%増えた。単月のプラスは18カ月連続。国内販売シェア1位の日産自動車が前年の2倍超に生産を増やしたのを筆頭に、大手自動車メーカーが増産基調を維持している。
 
メーカー別では日産(約117%増)、ホンダ(85%増)、マツダ(31%増)と日本メーカーが増産を続けた。23年1〜10月でメキシコから海外への輸出は14%増加。米国消費の堅調、メキシコの国内需要も旺盛だ。メキシコ国内の10月の販売台数は11万3672台と、前年同月比23%増加した。

テクニカル分析

ボリバン上限から下落、雲の上は維持

 日足、ボリバン上限から下落、雲の上は維持。10月26日以来、5日線下向く。20日線上向き。10月26日-31日の上昇ラインがサポート。9月20日-11月9日の下降ラインが上値抵抗。
 週足、10月30日週の上ヒゲ越えられず陰転。10月16日週-23日週の下降ラインを上抜き上昇。10月23日週-30日週の上昇ラインがサポート。8月28日週-10月30日週の下降ラインが上値抵抗。5週線。20週線上向き。
 月足、10月は陰線、9月の「陽の陽はらみ」で下落した。ただ後半は戻し、11月の上昇スタートに繋がった。5月-10月の上昇ラインがサポート。8月-9月の下降ラインが上値抵抗。
 年足、22年の長い上ヒゲを上抜く大陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。

メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

VAMOS MEXICO

メキシコは米国の最大の貿易相手国

 メキシコは2023年1-9月でメキシコがカナダと中国を抜き米国の最大の貿易相手国となった。貿易額は約6000億ドルに達した。メキシコと米国間の貿易は、今年最初の9か月における米国とすべての経済パートナーとの貿易総額の15.7%を占めた。
 米国向け輸出では15.5%のシェアを獲得した。2023年最初の9カ月でのシェア13.7%だった。メキシコは、自動車、自動車部品、原油、電子機器、果物や野菜、肉、ビールやテキーラなどの飲料を含む幅広い商品を米国に輸出している。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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