総括
FX「S&P格付け据え置き、今週はCPIと政策金利。海外投資家が債券買い」南アランド見通し
「通貨10位、株価14位」
「予想レンジ 南アランド円7.9-8.4」
(ポイント)
*S&P格付け据え置き
*その理由を本文で網羅
*今週はCPIと政策金利
*海外投資家が債券買い
*AGOA結論は
*貿易を依存する中国景気は減速
*選挙前で財政支出増加したいが、財政赤字も大きい
*グレイリストには2025年まで残る
*停電は改善している
*世銀は、電力市場改革を支援するため10億ドル融資
*中銀副総裁が辞任
*人口は増加、白人は減少
*2024年の選挙では初の連立政権か
(年初来高値を更新8.333円をつけた)
先週は3位、月間ではここまで7位、年間では10位で推移。11位の円を少し引き離して年間では対円で5.84%高。 年初来高値を更新8.333円をつけた。6月の弊リポートの買い推奨の7円前半から伸びてきた。米10月CPIの低下での米金利低下も高金利の南アランドを支えた。3Q・失業率は31.9%で過去3年間の最低水準となった。
(S&Pが格付据え置き)
中期予算は、主要財政赤字が2023年の予算推計と比較して547億ランド増加。赤字が対国内総生産(GDP)比4.0%と予想されていたのに対し、4.9%になる。増税やその他の歳入重視の政策は通常、2月の本予算の対象となる。ムーディーズは、予想通りとしていたが、S&Pは予算案について財政目標を達成できないリスクは高いとした。ただそのS&Pは週末に、南アフリカの外貨建て債務の格付けを「BB-/B」、現地通貨建て債務の「BB/B」を据え置いた。
(格付据え置き理由と成長インフレ見通し)
S&Pは、民間部門による発電により、2025年から南アの電力不足が緩和される可能性が高いと予想している。今年の実質GDP成長率は0.8%に鈍化すると予想されているが、その後、電力量の増加により2024年から2026年にかけて平均1.6%に回復するとみられる。
柔軟な為替レート、活発に取引される通貨、充実した資本市場、信頼できる中銀といった南アの継続的な強みを強調した。中銀の「積極的な」利上げがインフレ抑制に貢献していると評価しており、インフレ率が中銀の目標レンジである3-6%にとどまると予想している。
(不安な財政をどう見る)
政府財政は逼迫しているものの、充実した国内資本市場と、世界銀行、アフリカ開発銀行、新開発銀行(いわゆるBRICS銀行)などの国際機関からの融資の増加が助けになる可能性がある、とS&Pは述べている。
銀行の政府債務へのエクスポージャーは、2015年の総資産の10%未満から15%に上昇した。しかし、この水準はブラジル、メキシコ、トルコどの同業諸国より依然として低い。
S&Pは「銀行が追加の政府債務を吸収し続ける余地はまだあると考えている」と述べた。外貨建て債務も政府債務総額の10%未満にとどまっており、乱高下するランドの影響は限定的となっている。
(グレーリスト問題)
S&Pはまた、グレーリスト化により小規模金融機関のコストが若干上昇したものの、南アの信用力に大きな影響を与える可能性は低いと指摘している。
(選挙は)
ANCが来年の選挙で過半数を失うと考えているが、たとえそうなったとしても「広範な政策の継続」を期待している。
「効果的な改革の実績が改善し、公的債務や偶発債務の削減とともに経済成長の構造的な強化につながるのであれば、(SAの信用)格付けを引き上げる可能性がある」と指摘した。しかし、改革が停滞し、成長が悪化、政府財政が悪化すれば、格下げにつながる可能性がある。
(南ア財務省の反応)
S&Pの発表後の声明で財務省は次のように述べた。
今後3年間、政府は電力と物流の供給を改善し、インフラストラクチャーの提供を強化し、効率的で目的に合った国家を再構築することによってGDP成長率を高めることに重点を置く。財政政策は、債務と債務返済コストを安定させることによって、このアプローチを引き続き支援する。さらに、歳出削減、政府全体の効率化策、適度な税収策を通じて財政健全化が実施される。
SAの債務に対するS&Pの格付けは、南アをBB-と格付けしている信用機関フィッチと一致している。
(今週の予定)
今週は10月消費者物価と政策金利の決定がある。10月消費者物価は5.4%の予想で前月と変わらず。政策金利は8.25%に据え置きの予想だ。南アは原油の生産国ではないが、最近の原油価格の下落でタカ派の中銀も据え置きを選択すると見られている。
(南アへ資金流入)
先週の国債入札では地元銀行からの需要が2021年7月以来で最も強くなり、海外投資家も市場に戻ってきている。決済取引を追跡するJSEデータによると、今四半期の流入額は175億ランド(9億6500万ドル)に達する。
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン2σ上限から反落
日足、ボリバン2σ上限から反落。ボリバン中位は割らず。
11月14日-17日の上昇ラインがサポート。16日-17日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン3σ上限から反落。上ヒゲ長い。雲の上は維持。10月30日週-11月13日週の上昇ラインがサポート。22年6月6日週-23年11月13日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、10月の下ヒゲの長い陽線で11月は上昇スタート。8月-10月の上昇ラインがサポート。22年6月-23年10月の下降ラインを上抜く。5か月線が20か月線を上抜く。ただ20か月線は下向く。
年足、今年は円とデッドヒートを繰り返す、10月は陽転。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
ジンバブエの首都、コレラ流行で非常事態入り
ジンバブエの首都ハラレ市長のイアン・マコネ氏は11月17日、ハラレがコレラ発生で非常事態に入ったと発表した。南アにはジンバブエ難民が多いので要注意だ。