コロナ禍の2020年を境に反転

TOB件数はリーマン・ショック翌年の2009年に79件を数えた後、40~50件台で推移し、2014年には30件台まで低下した。反転したのは新型コロナ禍が広がった2020年で、前年から14件増えて60件となった。

非公開化につながるTOB増加の背景には、中堅クラスの上場企業を中心に上場維持のハードルが一段と高まっていることが考えられる。

東京証券取引所は今年3月、上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請。低PBR(株価純資産倍率)の企業には改善計画の開示を求めている。東証の市場区分見直しでは流通株式時価総額や株主数などで厳しい基準が設けられた。さらに近年、物言う株主の台頭が著しいとう事情もある。

文:M&A Online