総括
FX「今週はここまで最弱、その要因は。11月は3位、年間は最強維持」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.2-8.7
(ポイント)
*円高で小緩むも11月は12通貨中3位
*ヒース中銀理事が利下げ示唆
*懸念は財政赤字と大統領選挙
*メキシコ経済自体は強い。ただ2024年は23年からは減速
*3Q・GDPなど指標は改善
*今夜は11月企業信頼感指数、製造業PMIなどの発表
*対ドル1.6台突入はペソ高懸念にも注意
*11月前半消費者物価はコアが上昇
*9月小売売上、伸び幅縮小も31か月連続の増加
*日本産ホタテもメキシコ・ニアショアリング経由か
*年内利下げなし、中銀総裁
*大統領は「スーパーペソ」の復活を歓迎
*メキシコ大統領選挙は2024年6月
*ニアショアリングは強化
*インフレは徐々に低下する見通し(中銀)
*市場は24年3月の利下げを予想
*ペソの高が輸出に悪影響を与えるという懸念なし、財務副大臣
*郷里送金も増加傾向続く
*IMFは成長見通しを上方修正も財政支出拡大に警戒
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり
(11月27日のペソ反落のきっかけは)
今週は概ねドル安の流れだが、メキシコペソは11月27日、対ドルで反落、ペソ円も下落した。11月は月間3位となった。ペソ下落のきっかけは、ヒース中銀理事が、インフレの低下が続けば、2024年2月か3月までに金利を「調整」する可能性があると述べたからだ。中銀はタイトな金融政策スタンスを長期間維持する意向であり、早期の利下げは利下げサイクルの始まりではなく「若干の調整」とみるべきだと述べた。1-2回の利下げが行われる可能性があるが、「非常に段階的に」かつ「細心の注意を払いながら」行われると付け加えた。11月の中銀会合の議事要旨でも金融緩和サイクルの開始について議論を開始し、一部の中央銀行は最初の利下げが2024年第1四半期に実施される可能性を示唆していることが明らかになっている。FRBとのの金融政策の際について注視すべきだろう。
(メキシコ経済自体は強い。ただ2024年は23年からは減速)
もちろんメキシコ経済自体は強い。IMF、メキシコ中銀、ムーディーズなどが今年、来年の成長見通しを上方修正している。今年は3%半ば、来年も2%半ばの成長が見込まれている。ニアショアリングでの投資拡大による人手不足で賃金も上昇せざるを得ない。メキシコが利下げする時には世界中も同じような状態になっているので、ペソ安が長期に及ぶことはないだろう。
最新の予測では、OECDが2024年の経済見通しを発表し、経済成長率は2023年の3.4%成長率から2.5%鈍化すると予想している。 米国経済の減速がメキシコの輸出を鈍化させる可能性があると指摘している。OECDは、インフレ率が2024年と2025年にそれぞれ3.9%と3.2%に低下すると予想、メキシコ中銀の金融政策は引き続き制限的なものでなければならないと示唆している。
(メキシコ中銀四半期報告書)
報告書では、インフレ率が中銀目標まで下がる時期が後ずれするとの見通しを示した。ただ、来年の早い段階で利下げが議題に上りそうだとしている。
総合とコアのインフレ率が中銀目標の3%に近づくのは2025年2Qとなる見通し。前回の報告書では24年4Qと予想していた。
今年4Qの総合インフレ率の予想は4.4%と、前回の報告書で示した4.6%から小幅に下方修正した。一方、来年4Qの総合インフレ率は3.4%と、前回の3.1%から上方修正した。
「インフレ環境は依然、複雑で不透明だ。パンデミックや地政学上の紛争に伴うショックが、予想よりも底堅い経済活動と相まってインフレに影響し続けている」とした。
インフレ率を中銀目標まで下げるには、「しばらくの間」政策金利を据え置く必要があるとしている。中銀は今月、5会合連続で政策金利を過去最高の11.255%に据え置いた。
ロドリゲス総裁は、12月の会合で利下げを行う可能性は低いが、来年初めには利下げが議題に上りそうだとの見解を示した。「ディスインフレ過程の進展という重要な点を踏まえると、来年初めにはレファレンスレートの引き下げを開始できるかどうかについての議論を始められる
(3Q・GDPなど指標は改善)
3QGDP確定値は前年比3.3%。9月経済活動指数は前年比3.3%、3Q経常収支は26.28奥ドルの黒字。10月貿易収支は2.52億ドルの赤字に改善、10月失業率は2.7%で前月の2.9%から改善した
(本日の指標は)
今夜は11月企業信頼感指数、製造業PMIなどの発表がある。
テクニカル分析
ボリバン2σ下限を一時下抜いて小反発
日足、ボリバン2σ下限を一時下抜く。雲に入らず。10月31日-11月30日の上昇ラインがサポート。11月29日-30日の下降ラインを上抜く。11月24日-27日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、6週ぶり陰線となるか。10月30日週-11月20日週の上昇ラインを下抜く。
10月13日週-30日週の上昇ラインがサポート。10月16日週-23日週の下降ラインを上抜き上昇。8月28日週-11月13日週の下降ラインが上値抵抗。5週線。20週線上向き。
月足、11月は上ヒゲは長いが陽線で終えた。10月は9月の「陽の陽はらみ」で下落した。。10月-11月の上昇ラインがサポート。8月-11月の下降ラインが上値抵抗。
年足、22年の長い上ヒゲを上抜く大陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
メキシコは赤字を繰り返せば投資適格を失うと警告
2024年と同様に2025年にも財政不均衡を再現する高い圧力がかかると見られている。ミランダ・レーティング・アドバイザリーのパートナー、エレーラ氏は、2024年並みの財政赤字が2025年にも再び提案されれば、同国は投資適格を剥奪されるだろうと警告した。
次期財務長官は状況を説明するために国際市場で動ける人物でなければならない。連邦議会が承認した2024年の財政赤字の規模を考慮すれば、短期的には投資水準を失うことはないが、「これは物事が正しい方向に進んでいないことの表れだ」と述べた。
政府の言うとおりになるかどうかはまだ分からないが、それは一度限りの状況になるだろうと同氏は述べた。「2回も再発すれば、格付けが引き下げられる可能性が最も高く、投資適格を失う方向にさえなっている」と警告した。
エレーラ氏は、来年承認される国内総生産(GDP)の5.4%に相当する財政赤字について言及したが、その規模はいかなる仕事も残さない必要があるため、財務省は一度限りであると保証している。エレーラ氏は、赤字が5%を超えるということは、ブラジルとコロンビアで起こったことを思い出させると強調した。