南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「今週はGDP。電力負荷制限は続く」南アランド見通し

「通貨10位、株価14位」
「予想レンジ 南アランド円7.6-8.1」                                           

(ポイント)
*3つの要因で弱かった11月の南アランド
*今週は3Q・GDPの発表あり
*トレーダーは2024年3月の利下げを予想
*中銀は抑制政策続けるか
*10月貿易収支も4か月ぶりに赤字
*11月製造業PMIは改善も詳細は悲観的
*資金の海外流出が進む
*中国と南アの関係は強化されている
*今年は月間最強が4回、最弱が5回とボラタイル
*10月消費者物価は上昇、インタゲ上限に迫る
*停電拡大
*S&P格付け据え置き
*AGOA結論は
*選挙前で財政支出増加したいが、財政赤字も大きい
*グレイリストには2025年まで残る
*世銀は、電力市場改革を支援するため10億ドル融資
*人口は増加、白人は減少
*2024年の選挙では初の連立政権か

(3つの要因で弱かった11月の南アランド)
 6月から堅調な動きを示していた南アランドだが、財政赤字の拡大、タカ派の中銀がCPI上昇にも拘わらず政策金利を据え置いたこと、停電の規模拡大で対円ではボリバン2σ上限から下限へ反落した。11月は12通貨中11位と弱かった。

(10月貿易収支も4か月ぶりに赤字)
 10月貿易収支は4か月ぶりに赤字に転じた。126.6億ランドの赤字であった。輸出は、野菜製品(-31%)、卑金属(-11%)、貴金属および石材(-4%)の売上減少により、前月比1.8%減の1,704億ランドとなった。貿易相手国では、オセアニア(-14.2%)、アメリカ(-9.8%)、アジア(-9.3%)への出荷が減少した一方、アフリカ(6.9%)への出荷は増加した。輸入額は13.3%増加して1,830億ランドとなった。これは主に鉱物製品(42%)、機械・電子機器(12%)、自動車・輸送機器(12%)の購入増加によるものである。輸入はアフリカ(53.8%)、アジア(11.8%)、アメリカ(9.6%)、ヨーロッパ(9.5%)から増加したが、オセアニア(34.4%減)からは減少した。

(11月製造業PMIは改善も詳細は悲観的)
 11月の製造業PMIは48.2と、前月の45.4から上昇した。景況拡大・悪化の分かれ目となる50は依然下回っている。 業況見通しを示すサブ指数はさらに低下し、新型コロナウイルス流行によるロックダウンが最も厳しかった2020年以来最も低い水準となった。港湾の混雑という物流の問題だけでなく、停電が最近拡大したことも先行きのセンチメントを押し下げた可能性があると指摘されている。
 
(今週はGDPに注目)
 今週は12月5日発表の3Q・GDPがあるが予想もやや弱めだ。 

(資金の海外流出データ)
 中銀のデータによると、11月までの1年間の南アの株式と債券からの純流出額は981億ランドに達し、前年同期の流出額434億ランドの2倍以上となった。南ア国債の非居住者保有率は現在25.4%にとどまっているが、4年前はほぼ40%だった。

(トレーダーの利下げ予想は早まる)
 中銀より市場のほうが利下げ予想が強まっているのは南アだけでなく、欧米もそうだ。
南アのトレーダーらは中銀が予想よりも早く利下げすると予想している。南ア経済に流入する資金と民間部門への融資額がほぼ2年ぶりの低い伸びを記録したことを受け、トレーダーらは利下げへの賭けを2024年3月に前倒しした。

 10月のマネーサプライと民間信用供与の伸びはそれぞれ前年比6%、3.9%と予想を下回った。予測中央値はそれぞれ7.1%と4.3%の増加だった
借入コストを推測するために使用される先物金利契約は、トレーダーが現在、大方のエコノミストの予想よりも早い3月の0.25%利下げを織り込んでいることを示している。統計発表前は、5月の利下げに賭けていた。

両指標の鈍化は、金利上昇による家計や企業の財政へのひずみを示している可能性がある。中銀の金融政策委員会は、7月とその後の2回の会合で借入コストを抑制する前に、インフレ抑制のため2021年11月以来累計4.75%金利を引き上げた。

クガニャゴ総裁は先週、金利が8.25%となっており、政策は抑制的であり、インフレ見通しやインフレ期待の上昇と一致していると述べた。「インフレ見通しに対する深刻な上振れリスクは依然として残っている」とし、リスクが現実化し始めた場合には行動する用意があると述べた。
 物価圧力は2年以上にわたり、中銀が期待を定着させることを好む中銀のインフレ目標範囲である3%から6%の中間点を上回っている。

テクニカル分析(ランド/円)

ボリバン2σ上限から下限へ、5日線、20日線下向き

 日足、ボリバン2σ上限から下限へ反落。下限で下げ止まり。雲上。
11月30日-12月1日の上昇ラインがサポート。11月29日-12月1日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。 
 週足、ボリバン3σ上限から反落。2週連続陰線。雲の上は維持。10月2日週-11月27日週の上昇ラインがサポート。11月20日週-27日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向く、20週線上向き。
 月足、10月の下ヒゲの長い陽線で11月は上昇スタートも長い上ヒゲで陰転。8月-10月の上昇ラインがサポート。22年6月-23年11月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線下向き。
年足、今年は円とデッドヒートを繰り返す、12月1日までは陽線。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。

南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

喜望峰

中国と南ア

① 南アのKZN州で、電力設備に対する中国の第1期支援の引き継ぎ式が行われた。 中国側は南アでは電力不足が広がり続けていると述べた。中国は直ちに、電力危機緩和を支援するため、非常用電力設備、技術専門家、専門コンサルティング、人材訓練、その他の支援を提供することを決定した。

②ヨハネスブルグで中国銀行ヨハネスブルグ支店主催の人民元ビジネスセミナーがあった。「一帯一路」の共同構築、人民元の国際化が中国と南アの二国間経済・貿易交流の深化に与える影響、二国間現地通貨の利用を拡大して支援するという南アのビジョンが焦点となった。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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