生産能力に目を向けたM&AはUSスチールの成り行き次第か

グローバル粗鋼生産能力1億トン体制に向けてM&Aの活用を掲げる同社だが、USスチールを手に入れても、1億トンには1400万トン足りない。ただし、今後の能力増強プロジェクトで年産300万トン、AM/NS Indiaでのハジラ製鉄所の2025年、2026年の能力増強で年産600万トンの増産が見込まれている。さらに、インド東部での新製鉄所構想もあり、目標達成にかなり近づきそうだ。

だが、それは今回のM&Aが成功した場合の話。2024年3月頃開催予定のUSスチール株主総会での承認後、関係当局の許認可を取得し、2024年9月までに完了させる方針だが、現地ではすでに反発が相次いでいる。全米鉄鋼労働組合(USW)から反対され、米連邦議会でも野党・共和党の上院議員3人が買収阻止を米政府に要求。与党・民主党にも経済安全保障上のリスクを指摘する声があり、M&Aの成立は不透明のまま。仮にブレイクすれば、引き続き、M&Aを積極的に模索していきそうだ。

この記事は企業の有価証券報告書などの公開資料、また各種報道などをもとにまとめています。

文:M&A Online