総括
FX「2024年第一週は冴えないスタート」南アランド見通し
「通貨11位、株価19位」
「予想レンジ 南アランド円7.5-8.0」
(ポイント)
*2024年は第一週は冴えないスタート
*12月の購買担当者景気指数(PMI)は悪化
*不安は停電
*2024年成長見通しは
*今年は大統領選挙の年
*ズマ元大統領がANCを離脱、来年の選挙は混迷
*11月消費者物価は低下
*10月小売売上は弱い
*電力問題でロシアの協力を受ける
*3Q・GDP、消費者信頼感指数は弱い
*トレーダーは2024年3月の利下げを予想
*資金の海外流出が進む
*中国と南アの関係は強化されている
*S&P格付け据え置き
*AGOA結論は
*選挙前で財政支出増加したいが、財政赤字も大きい
*グレイリストには2025年まで残る
*人口は増加、白人は減少
(2024年は第一週は冴えないスタート)
2024年初、第一週は冴えない展開となった。かろうじて円より強かった(0.26%高)、南ア全株指数は3.13%安、10年国債利回りは昨年末の9.77%から9.87%へ上昇した。
米金利の上昇でドル高ランド安が進んだ。金利上昇で株価も下落。
(年初の経済指標)
S&Pグローバルの12月の購買担当者景気指数(PMI)は49.0と、11月の50.0から低下した。 東部ダーバンの港湾で業務が滞り、供給網・在庫・生産・需要全てに悪影響が出た。納期は過去2年近くで最大の長期化を記録した。
「港湾の混乱は2024年初めの経済をさらに圧迫する可能性が高い。企業は原材料不足の拡大に直面している」と指摘。
計画停電も12月の生産・販売の重しになった。今後も計画停電が問題になる見通しという。
国営鉄道・港湾会社トランスネットは、長年の過少投資に伴う設備不足やメンテナンスの遅れにより、国内で適切な鉄道貨物・港湾サービスの提供が難しくなっている。
(2023年の成績は)
対円では年初来0.13%安、今年は月間最強通貨となった月が4度もあったのに12通貨中11位である。株価指数(全株指数)も年初来5.26%高と他市場と比べると強くはない。10年国債利回りは9.77%で年初の10.19%からは低下した。
(不安は停電)
2023年は頻繁に起きる停電が通貨ランドの足を引っ張った。年間332日間の負荷軽減(停電)があったが、冬の153日間(4月1日から8月31日まで)は毎日停電に耐え、最大で55日間がステージ3であった。ステージ4では42日。また5日間のうち1日はステージ6レベルの負荷軽減があった(ステージが高いほど停電が広範囲で長い)。これでは正常な経済活動に支障が出る。高金利であることや、資源価格の上昇も、停電がランドの上昇を抑えた。
(2024年成長見通し)
成長見通しは2023年が0.6%、2024年が1.1%。
インフレ見通しは2023年が5.8%、2024年が5.0%
(需給)
需給面でも中銀のデータからは弱くランドの下落を誘った。2023年11月までの1年間の南アの株式と債券からの純流出額は981億ランドに達し、前年同期の流出額434億ランドの2倍以上となった。南ア国債の非居住者保有率は現在25.4%にとどまっているが、4年前はほぼ40%だった。
(外交)
外交では、BRICSのメンバーであり、中でもロシアと親密なことが、対米関係を悪化させた。ロシア船に武器を供給していた疑惑で米国から対米輸出免税特権を剥奪されそうになったこともあった。今も原発建設にロシアの協力を得ている。
テクニカル分析(ランド/円)
かろうじて円より強くスタート
日足、陽線続くが大きくは反発していない。ボリバン中位。雲の下。
1月4日-5日の上昇ラインがサポート。12月21日-1月5日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線上向き。
週足、ボリバン下位で推移。2週連続陽線。雲の上に出る。12月24日週-1月2日週の上昇ラインがサポート。12月17日週-1月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線上向き。
月足、11月は長い上ヒゲで陰転。12月も陰線。6月-12月の上昇ラインがサポート。11月-12月の下降ラインが上値抵抗。5か月線上向、20か月線下向き。
年足、2023は円とデッドヒートを繰り返しほぼ同位の10位。21年-23年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
大統領選挙
政局は不安だ。今年は大統領選挙があるが、元々過半数を割ると見られていた与党ANC、資金力のある野党第一党DA、過激な言動・活動を行うマレマ氏率いるEFF、そして与党ANCを離脱したズマ元大統領のMKなどの争いとなる。