総括
FX「評価は高くなってきたが、結果出ず投資家の不安残る」トルコリラ見通し
(通貨9位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.3-5.3
*リラの年初は最弱ではない(9位)、株価は首位スタート
*中銀総裁は利上げ終了を示唆
*中銀総裁はNYで投資家に講演
*経済指標冴えず
*焦点は政策金利
*ムーディーズ、S&Pが見通し上方修正
*対ドルで30リラにのせる。史上最安値。
*消費者物価、23年12月は64.77%上昇に拡大
*スウェーデンの NATO 加盟は
*正統派経済政策は評価が高いがリラ上昇に繋がらず
*リラ安の最大要因は外貨預金が全預金の40%もあることだ
*政府は2026年にインフレが一桁となると主張
(リラの年初は最弱ではない、株価は首位スタート)
年初は最弱通貨を逃れて9位スタート、下には円、南アランド、豪ドルなどがいる。株価は首位で日経平均より強い7.68%高。10年国債利回りは26.30%。
(経済指標冴えず)
・11月失業率は9%で前月の8.6%から上昇、15歳から24歳までの若者の失業率は16.5%
・11月鉱工業生産は前年比で0.2%増、前月の1.3%増から鈍化
・11月小売売上は12.8%増、前月の13.4%増から鈍化
・11月経常収支は27.22億ドルの赤字で、前月の0.1億ドルの黒字から悪化
(焦点は政策金利)
次の焦点は政策金利決定(1月25日、予想42.5%で据え置き)。トルコ中銀エルカン総裁はニューヨークでの会合で投資家に対し、金利はインフレ解消コースの確立に必要な水準に近く、引き締めサイクルはできるだけ早く完了すると述べた。
中銀は、9月時点でインフレ期待の大幅な改善と基調的な傾向の低下が観察されたと発表した(前月比ベース)。
エルカン総裁は投資家に対し、政策は機能しているが、物価安定が達成されるまで「われわれの仕事は終わらない」と語った。また、準備金を蓄積し、銀行システムにおけるリラ預金の割合を増やすための銀行の取り組みについても議論した。
(投資家の懸念)
投資家らは、トルコ資産へのさらなる配分を妨げる要因として、為替リスクのヘッジコストが高いことや経済チームの政策が維持されるかどうかなどの懸念を挙げている。JPモルガンは、投資家はリラ債への投資を検討する前に、トルコ利回りが上昇するかインフレが低下するのを待つべきだと述べた。
エルカン総裁はこれまで、年末に向けてインフレと金融政策の両方がより「穏健」になる可能性が高いことを理由に、投資家は地方債を購入すべきだと主張していた。
インフレ率は先月、年率換算で65%に加速しており、中銀は今後数カ月でインフレ率がさらに上昇するとみている。同銀行の予測では、減速は2024年後半に始まるとしている。
(S&Pに続き、ムーディーズも格付見通し引き上げ)
ムーディーズは1月12日、トルコの格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げた。金融政策の変化を理由に挙げた。格付けは「B3」に据え置いた。
エルドアン大統領が昨年5月に再選を果たして以来、当局は低金利政策をやめ、急激な引き締めに舵を切った。
ムーディーズは、こうした政策の変化により、現在の非常に高いインフレ率をより持続可能な水準に引き下げる見込みが高まったと指摘。
「総合インフレ率が当面さらに上昇する可能性は高いが、潮目が変わり始めている兆候はある。金融政策が信頼性と有効性を取り戻しつつある証しだ」と分析した。
S&Pは11月30日に、トルコのソブリン格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に修正した。双子の赤字が抑制されていることが背景。格付けは「B」に据え置いた。
両社の格付は依然、ジャンク債格付けで投資適格に戻るには長い道のりがある。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
日足がボリバン中位
日足、ボリバン2σ下限から反発、中位に近づく。1月12日-15日の上昇ラインがサポート、1月11日-15日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。
週足、ボリバン下位で推移。1月8日週-15日週の上昇ラインがサポート。12月18日週-1月8日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、2σ下限近辺で推移。7月-8月の上昇ラインを下抜く。11月-12月の下降ラインが上値抵抗。
年足、9年連続陰線。その間52円から4円台へ沈む。去年当初は僅かに陽転していたが3月から陰転。 今年もここまでは陽線スタート。
メルハバ
トルコリラは、対ドルで過去5年間で80%以上を失った
トルコリラは、過去の一連の利下げで打撃を受け、昨年その価値の3分の1以上、過去5年間で80%以上を失った後、先週、1ドル=30リラを超える新記録安値を記録した。経済政策のUターンにより見通しが明るくなったと言っているにもかかわらず、年初からこれまでのところ1.6%下落している。
通貨は依然としてシムセク財務大臣らにとって重要な戦いであり、安定化が成功するかどうかの試金石だ。インフレ率が65%に達している中でリラを固定させるのは依然として難しい。
昨年5月にエルドアン大統領が再選されて以来、当局は異例の低金利政策を放棄し、急激な政策引き締めを支持している。
トゥルキエの年間インフレ率は12月に64.77%に上昇し、最低賃金の大幅な引き上げ後も今後数カ月は続くと予想される上昇傾向を維持している。
エルドアン大統領が大部分の金融緩和政策を監督し、外国為替、債券、信用市場に対する当局の支配を強化し、市場の大半が国家管理のままになったため、外国投資家は主にトルコを見捨てていた。