本間貴志
本間貴志
住宅/不動産ライター。WEBライティング実務士(CPAJ)。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオ勤務を経て2016年に独立。自身で賃貸経営、住宅購入の経験あり。税金をテーマにした記事の実績も多数あります。

金融広報中央委員会の統計によると、30代の平均資産額は約710万円でした。この金額を見て「多すぎるのでは?」と感じる人もいるのではないでしょうか。実際に、統計を読み込むと一般的な30代の資産額はこの半分程度です。本記事では、その詳細と限られた資産を増やしていくための注意点を解説します。

目次

  1. 「一般的な30代の資産額」と「統計の資産額」にギャップがある理由
  2. 一般的な30代が老後資金を準備するのに毎月必要な貯金額は?
  3. NISA頼みの資産形成は避けよう!大事なのはバランスのよいポートフォリオ
  4. 資産額が限られる30代が債券や不動産をムリなく購入する方法

「一般的な30代の資産額」と「統計の資産額」にギャップがある理由

30代の平均資産710万円?限られた資産を増やすときの注意点
(画像=NINENII/stock.adobe.com)

金融広報中央委員会の統計を見てみると、30代の平均資産額(総世帯)は約710万円です。ちなみに、同データでは「2人以上世帯」「単身世帯」「総世帯」の平均資産額(金融資産保有額)を示しています。それぞれの結果は次の通りでした。

属性資産額の平均値
2人以上世帯約697万円
単身世帯約741万円
総世帯約710万円
出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)
※金融資産保有世帯をもとにした統計

同じ30代でも「単身世帯」は「2人以上世帯」に比べて資産額が約44万円多い結果です。これは、子どもの教育費などがかからない分、出費が抑えられていることが想定できます。いずれにしても、これら30代の平均資産額を一般的な30代の資産額と比べると大きなギャップがあります。なぜならこれらの平均資産額は、一部の富裕層の資産額に引っ張られて高額になっているからです。

調査対象者の真ん中を示す「中央値」で見ると、30代の資産額は以下のように大きく下がります。

属性資産額の中央値平均値との差
2人以上世帯390万円307万円
単身世帯270万円471万円
総世帯350万円360万円
出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)

一般的な30代の資産額という観点では、こちらの中央値のほうが実感に近いのではないでしょうか。例えば総世帯で見ると平均値(710万円)の約半分が中央値(350万円)となります。

一般的な30代が老後資金を準備するのに毎月必要な貯金額は?

総資産が中央値や平均値のいずれかに近かったとしても、老後資金は充分とはいえません。具体的に老後資金は、いくら準備すればよいのでしょうか。一例として全国銀行協会の公式サイトでは、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)」の内容をもとに老後資金は公的年金のほかに「2,500万円程度(毎月の不足額5万円×30年間、予備費)」を目安にするのがよいとしています。
参考:一般社団法人全国銀行協会「 Q.老後資金はいったいいくらあれば安心……?

仮に35歳の人が30年後にリタイアする場合、老後資金2,500万円を用意するために必要な毎月の貯金額は次の通りです。

現在の資産状況老後資金の不足額必要な貯金額
中央値以下(100万円)2,400万円約6万7,000円
中央値(350万円)2,150万円約6万円
平均値(710万円)1,790万円約5万円
※中央値、平均値は総世帯

しかし、リタイアするまでの間には、子育て・転職・中高年以降の年収低下などによって家計が苦しくなるタイミングもあるかもしれません。上記の金額をコンスタントに貯めていくのは大変です。

NISA頼みの資産形成は避けよう!大事なのはバランスのよいポートフォリオ

近年は、インフレ圧力が強まっています。2023年1~9月の消費者物価の上昇率(総合)は3~4%程度で推移しています(前年同月比)。このままインフレが続くと現金の価値が目減りするため、2,500万円以上の老後資金を用意しなければなりません。若い世代が十分な老後資金を用意することは、高いハードルです。

この厳しい現実を打開するために2024年からスタートする新NISAを有効活用したいと考えている人も多いのではないでしょうか。もちろん新NISAを活用して株式や投資信託などの金融資産を保有することは大切です。しかし資産が金融商品に偏り過ぎると株式市場が長期低迷した場合、資産形成が停滞するリスクがあります。

このリスクを回避するために、債券や実物資産(金プラチナ、不動産など)を含めたバランスのよいポートフォリオ(さまざまな資産の組み合わせ)が大切です。

資産額が限られる30代が債券や不動産をムリなく購入する方法

とはいえ、債券や実物資産は一般的に最低購入金額が高い傾向のため、資産額が限られる30代には手を出しにくい一面もあります。例えば一般的な社債は1口100万円、不動産は首都圏の区分(新築・築浅の場合)でも千万円単位の資金が必要です。

一方で、以下のような方法を使えば資産額が限られる30代でも債券や不動産を組み入れたバランスのよいポートフォリオを実現することができます。気になる人は情報収集してみてはいかがでしょうか。

投資商品金額の目安特徴
国債1万円~指定の金融機関経由で毎月発行されている
1口金額の少ない社債10万円~SBI証券など1口金額の少ない社債も発行されている
REIT5万円~上場株式と同じ感覚で売買できる
不動産クラウドファンディング1万円~数多くのインターネット上のプラットフォームで買付けられる

(提供:YANUSY

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