ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「早期のマイナス金利解除はしっぺ返しも」

ドル円=148-153、ユーロ円=159-164、ユーロドル=1.05-1.10

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨最下位(最下位)、株価2位(2位)、早期のマイナス金利解除はしっぺ返しも」
 1月2日のボリバン2σ下限の140円台から2月13日にボリバン3σ上限(150.88)まで上昇し一服。ただ過去2年の150円台とは異なり静かだ。当局は「水準より変動の大きさを懸念している」といいながら、きっちり150円台に突入してくると口先介入を行う。G7の約束では「過度な変動の時は介入も可能」としているので、「過度な変動」を強調したいところなのだろう。政府としてはインフレ抑制のために円安は避けたいところだが、一方では新NISAで海外投資(円売り)も推奨しているので自ら招いた円安とも言える。ここで円買い介入を行えば、新NISAでの利益を損なうこととなる。

 さて、日銀が4月にマイナス金利を解除する観測が強まってきたが、現在の環境はそうでもなくなってきた。23年10-12月期GDPは2四半期連続でマイナス成長(前期比0.1%減、予想は0.3%増)となり、日本は予想外のリセッションに入った。消費者物価も低下傾向にある。2月5日の日経新聞では「食品価格ピークアウト スーパー購入単価、品目54%下落」という記事が踊っている。日銀の支えは政府のガソリン価格補助金が打ち切られ価格上昇になるという思惑だが、補助金は延長も議論され始めている。

 これまでも日銀は速すぎる利上げで何度も失敗している。三重野-速水-福井各総裁(いずれも日銀生え抜き)だ。植田総裁もマイナス金利を解除しても金融緩和状況が続くとしているが、現在の景気動向はマイナス金利解除も許さない状況にもなってきた。日銀が強行突破するとしっぺ返しは大きい。

 今週の仲値動向は以下の通り。2月中旬は、上旬に続きドル円は上昇するデータがあるが、残り2日どうなるか。なお2月下旬のデータは上昇、下落マチマチ。

(仲値動向基本)

2/19(月) 仲値なし 米国祝日
2/20(火)3連休明けゴトビ
2/21(水)通常仲値
2/22(木)3連休前ゴトビ
2/23(金)東京祝日で仲値なし

*米ドル「通貨首位(首位)、株価(NYダウ)8位(6位)、日本と逆、景気堅調、インフレ反騰」
 ドルは強い。年初来、ここまで最強で対円では6.49%高、2年連続首位のメキシコ(6.02%高)を抑えている。景気の力強さと、インフレの下げ止まりからだ。ドルの強さについては米国からもG7からも不満は出ていない。 ウォーラーFRB理事は「 米ドルは今後も世界の基軸通貨であり続ける可能性が高く、最近の出来事によりこの地位が強化された可能性がる」と述べている。

アトランタGDPナウは2.9%でIMF2024年予想の2.1%を超えている。2月CPIナウは3.06%、コアは3.7%、1Qは3.39%で2%台から遠のいている。利下げ観測は後退し、サマーズ元財務長官は「最新のデータに示されたインフレ圧力の継続は、FRBの次の政策行動が利上げである可能性が高いことを示している」と述べた。賃貸料は別として、持ち家住宅の価格はインフレに伴って下落する兆候は見られず、2024年の残り期間を通じて価格圧力が続く可能性が高いと述べた。

 さて共和党大統領候補のトランプ氏は純資産誇張詐欺で3億5,000万ドル以上の罰金を科せられた。トランプ氏をニューヨークの不動産業界から永久追放し、トランプ氏の2人の息子、ドナルド・トランプ・ジュニア氏とエリック・トランプ氏に対する5年間の業界活動禁止処分に反対する判決を下した。厳しい判決だ。トランプ氏が大統領選挙から離脱することは国内外で彼の強硬策が抑制される安心感が出てくるが、トランプ氏の岩盤支持層から反発も予想したいところだ。

 今週は、FOMC議事要旨や2月製造業・サービス業PMIに注目したい。

*ユーロ「通貨6位(6位)、株価7位(7位)DAX)、景気弱いがECBの決断力鈍い。全体では中くらいの強さ」
ユーロは対ドルで2週連続下げ止まった感はあるも1.08台には乗せ切れない。ただユーロは弱いかというと12通貨中6位なので中くらいの強さは維持している。景気は回復しないが貿易黒字は維持しているからだろう。

 政策金利については様々な意見があり、決定自体が遅れるだろう。一般的には「利下げ開始は6月よりも4月になる」との意見が多い。当局者ではビルロワドガロー仏中銀総裁は、年内の利下げ開始まで長引かせるべきでない説得力のある理由がいくつかあるとした。シュナーベルECB専務理事は、欧州の低調な生産性がECBインフレ率2%への鈍化を遅らせる可能性があるとした。シクルナ・マルタ中銀総裁は欧州経済は緩やかな不況に直面している。インフレが沈静化するにつれ、3月の利下げにも前向きだとした三者三様だ。
 
ラガルドECB総裁は、ユーロ圏の最近の経済指標はインフレが予想通り目標水準に戻りつつあることを示しているが、確信するにはさらに多くのデータが必要との認識を示した。
 来週の2月消費者物価待ちか。

*ポンド「通貨3位(3位)、株価14位(16位)、リセッションも1月の強い小売売上で3位堅持」
 年初来12通貨中3位と強い。ただFT株価指数は0.28%安。経済が高金利に耐えられない部分もあるが、インフレ克服もまだ不確かだ。政策金利決定で、利上げ派と利下げ派が共存する珍しい状態だ。

2023年4QGDPは前期比0.3%減と予想を下回った。23年3Qも0.1%減少しており、23年下期に景気後退入りしたことになる。 市場では年内の利下げ観測が一段と強まった。

 しかし1月の小売売上高は前月比3.4%の増加に転じ、予想を上回った。 消費意欲が回復したことを受けて約3年ぶりの大幅な伸びを記録し、英経済が景気後退から早期に脱却する可能性が示唆された。 昨年12月は3.3%減少していた。1996年以降で最大の伸びとなった。

 英中銀のチーフエコノミスト、ピール氏の発言も迷いがある。英国の経済状況は米国に比べて若干不利に見える。英国の労働市場は逼迫しているが、供給の弱さと需要の強さの組み合わせによって動かされている。サービス価格のインフレは依然として「頑固かつ高止まり」している。インフレがインフレ目標と一致する水準に戻りつつあるという証拠は限られている。インフレの下降経路については警戒すべき理由がある。持続的なインフレの要素がなくなるまで金利制限を続けなければならないが、それ以上のことはしたくない。政策を制限的に保ちながら、金利を引き下げることは可能です。データから判断すると、利下げには「まだ道半ば」だ。

*豪ドル「通貨10位(11位)、株価11位(10位)、雇用悪化、RBAも気迷い」
 豪ドルは年初来10位と冴えない。対ドルでここ2週間は下げ止まっている。対円では円が弱いので上昇している。雇用の弱さが豪ドルの対ドの上昇を押しとどめた。1月の雇用統計は就業者数の伸びが予想を大幅に下回り、失業率は2年ぶりの高水準となった。景気減速や低調な消費者需要を背景に労働需給が緩んでいることが改めて示された。1月の就業者数は500人増にとどまった。予想は3万人程度の増加。 失業率は4.1%と予想の4.0%を上回り、2022年1月以来の高水準となった。RBAは失業率が今年6月までに4.2%に上昇すると予測している。チャーマーズ財務相は今回の結果について、金利上昇、インフレの持続、世界経済の不確実性に伴う「避けられない結果」だと述べた。

 一方、RBA経済部門トップのコーラー氏はインフレ率について、鈍化しているものの依然として高すぎ、中銀目標に戻るには時間がかかると改めて指摘した。生産性が期待通りに回復するかどうかが鍵になるとした。 コーラー氏は、インフレ率が2-3%の範囲内に戻るのは2025年終盤、2.5%の中間値に達するのは26年になるとの見通しを示した。
その上で「これほど先の予測には、かなりの不確実性が伴う」と強調した。 住宅ローン金利上昇、高インフレ、歴史的高水準の納税額が家計所得を押し下げ、経済における需要と供給がより良いバランスに戻りつつあるとした。

スワップ市場は8月に最初の利下げが実施される可能性を80%と予想。9月までの利下げが完全に織り込まれ、従来の11月から前倒しされた。
 今週はRBA議事要旨、4Q賃金指数、2月製造業・サービス業PMIの発表がある。

*NZドル「通貨8位(10位)、株価15位(8位)、2月はここまで2位。移民増がインフレ高止まりを招く」
 年初来では8位だが、2月はここまで2位と強い。ただ株価指数(NZ50)は利上げ懸念もあるので先週は1.17%安、年初来でも0.39%安とマイナス圏に沈み込んだ。
前回触れたが,ANZ銀行は、NZ中銀が2月と4月に0.25%ずつ利上げすると予想。 4月に政策金利が6%になるとした。一方、ウェストパック銀行は少しソフトで中銀が利下げに乗り出すとは考えておらず、政策金利は5.5%にとどまると予想しているとした。

 オア中銀総裁は、現在のインフレ率4.7%は依然として高すぎるとし、目標はインフレ率を約2%まで低下させることだと述べた。
NZのインフレ上昇の要因は人口増もある。2023年の推定人口は2.8%増加する。これは、1992年に遡る現代の記録の中で最速のペースであり、以前の廃止されたデータシリーズによれば、1946年以降では最高のペースである。人口は531万人となる。

記録的な移民が人口急増の圧倒的な原動力となっている。パンデミック後に2022年に国境が再開された後、労働力不足を埋めるために外国人労働者がに殺到した。中銀はは昨年末、人口増加が住宅や賃貸宿泊施設の需要に及ぼす影響について、インフレ率を目標の1-3%に戻すことがより困難になる可能性があるため懸念していると述べた。 中銀は、コアインフレを鈍化させ、インフレ期待を定着させるためにやるべきことはまだあると述べ、当面利下げへの転換を示唆するものではないことを示唆した。

テクニカル分析

*ドル円「ボリバン3σ上限から小反落」
日足、ボリバン3σ上限から小反落。2月15日-16日の上昇ラインがサポート。2月13日-16日の下降ラインが上値抵抗。5日線、.20日線上向き。
週足、3週連続陽線。ボリバン2σ中位越え維持。下ヒゲの長い陽線が続いて上昇。2月6日週-12日週の上昇ラインがサポート。11月13日週-2月12日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、1月大陽線。2月もここまで陽線。22年4月-23年1月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年11月の下降ラインが上値抵抗。5か月線上向く、20か月線は上向き。
年足、2022年、2023年と長い上ヒゲの陽線となった。151円後半がダブルトップとなる。22年-23年の上昇ラインがサポート。1985年-2022年の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロドル「週足踏ん張る、日足3日連続陽線」
日足、雲下で推移。ボリバン中位に近づく。2月15日-16日の上昇ラインがサポート。2月2日-16日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、雲中。下ヒゲの長い短い陽線が続く。10月30日週-2月12日週の上昇ラインがサポート。1月29日週-2月12日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向く、20週線上向き。
月足、11月、12月連続陽線も1月は陰線。2月も陰線スタート。7月-12月の下降ラインが上値抵抗。10月-11月の上昇ラインがサポート。5か月線、20か月線上向き。
年足、2023年は陽線。ドルより強かった。22年はボリバン2σ下限到達し長い下ヒゲでサポ―ト。今年は陰線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポートできるか。14年‐21年の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロ円「ボリバン2σ上限へ」
日足、ボリバン上限近くへ上昇。2月15日-16日の上昇ラインがサポート。23年11月16日-2月16日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン上位維持。1月29日週から2週連続下ヒゲ長く先週も続伸。2月5日週-12日週の上昇ラインがサポート。11月22日週-2月12日週の下降ラインが上値抵抗。5週線が20週線を上抜く。
月足、11月-1月の下降ラインを上抜く。12月-1月の上昇ラインがサポート。5か月線、20か月線上向き。
年足、4年連続陽線。24年も陽線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポート。08年-23年の下降ラインが上値抵抗。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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