炭焼きステーキのブロンコビリー<3091>が、とんかつ事業に本腰を入れることになった。

同社は2021年9月に「とんかつ かつひろ」をオープンし、とんかつ業態に参入したが、その後店舗数は伸びず、3店舗に留まっていた。

これが、2024年4月に愛知県で「とんかつ かつ雅」など、とんかつ専門店を運営するレ・ヴァン(名古屋市)を傘下に収めることで、店舗数が一気に14店舗に増えるのだ。

2022 年7月に買収した松屋栄食品本舗(愛知県犬山市)の食材調達力や工場加工力を活用することで、レ・ヴァン自体の収益力の向上も期待できるという。

とんかつはステーキと並ぶ経営の柱に育つだろうか。

とんかつ事業の営業基盤を強化

レ・ヴァンは愛知県内で「やわらかとんかつ かつ雅」9店舗、「とんかつの和くら」1店舗、「とんかつ かつまさ伏見」1店舗の合計11店舗を展開している。

帝国データバンクによると、2023年3月期の売上高は12億6900万円(前年度比15.6%増)、当期利益は4400万円(同61.7%減)で、増収減益決算だった。

ブロンコビリーは、レ・ヴァンの大株主で社長の大藤雅夫氏らから株式を買い取り、完全子会社化する。地元に密着した高いブランド力を持つレ・ヴァンをグループに加えることで、愛知県内でのとんかつ事業の営業基盤を強化するのが狙いだ。

ブロンコビリーが運営する「とんかつ かつひろ」は1号店のあとが続かず、2年少したった2023年の11月と12月に愛知県内に相次いで2号店と3号店を出店し、現在3店舗を運営している。

2023年末の店舗数はブロンコビリーが136店舗、「とんかつ かつひろ」3店舗の合計139店舗で、2024年はここにレ・ヴァンの11店舗が加わることになる。

M&A Online

(画像=帝国データバンク調べ、「M&A Online」より引用)

とんかつソースの差別化などの効果が

2022 年7月に子会社化した松屋栄食品本舗は、たれ、ドレッシングなどの調味料や惣菜を製造しており、顧客企業のPB(プライベートブランド)商品の開発なども手がけていた。

買収の狙いは、ブロンコビリーの業容拡大に対応するための生産能力の拡充のほかに、新業態で提供するソースなどの差別化や、ソース、ドレッシング類の外部販売などにあった。

レ・ヴァンの買収は、この狙いにぴったりと合致するもので、今後とんかつソースの差別化などの効果が見込まれる。

ブロンコビリーは、2024年12月期に売上高250億円(前年度比6.9%増)、営業利益19億5000万円(同18.6%増)を見込む。

コロナ禍の中、2021年12月期に4800万円の営業赤字に転落したあとの、3期連続の増収営業増益予想だ。2024年12月期は、これにとんかつ事業の拡大や、子会社同士のシナジーなどの、プラスの影響が加わることになりそうだ。

M&A Online

(画像=2024/12は予想、「M&A Online」より引用)


文:M&A Online