長野県松本市で百貨店を運営する井上は4月24日、松本駅前の「井上百貨店本店」を2025年3月31日で閉店すると発表した。J.フロント リテイリングの連結子会社であるパルコが松本市で運営している「松本パルコ」も2025年2月末で閉店することが決定している。
井上は、明治18年に呉服業として創業し、「井上百貨店本店」は松本市で唯一の百貨店。包装紙デザインは「週刊新潮」の表紙画家、成瀬政博氏が手掛けている。
「井上百貨店本店」は、2019年9月にECモールのストライプデパートメントが立ち上げた百貨店向けEC支援サービス「ダース(Daas)」と業務提携し、オンライン上での幅広い商品サービスの提供を目指していた。しかし、ストライプデパートメントが2022年2月末日で営業を終了し、これに伴い「ダース」もサービス終了となった。EC拡充を目指していた「井上百貨店本店」にとっては少なからず打撃であった。
2024年に入っても地方百貨店の閉店が続いている。1月14日に広島を代表する地元百貨店の福屋が「尾道福屋」を閉店、島根県を地盤にする一畑百貨店も同日に閉店し、さらに1月31日には名鉄百貨店が愛知県一宮市の「名鉄百貨店一宮店」を閉店している。日本百貨店協会によれば、2024年3月8日時点で百貨店協会加盟店舗数は167店舗あり、ピーク時の1991年の268店舗から101店舗が消滅している。