総括
FX「日銀介入に勝つ、年間最強維持。政策金利は据え置き」メキシコペソ見通し
予想レンジ 9.0-9.5
(ポイント)
*膨大な円買い介入にお金を使わず、年間最強維持
*株価指数もプラテンで0.8%高。10年国債利回りは10.0%
*最近はやや経済指標は弱いが、ニアショアリングは健在
*郷里送金も水準が高い
*政策金利はインフレ加速もあり、中銀示唆通り据え置き
*米国向け輸出は1Qも世界一
*4月自動車生産2割増
*サムライ債発行予定、為替はどうなる
*IMFに下方修正されたGDPが重し
*ヒース中銀副総裁は追加利下げに慎重
*米企業のメキシコ投資は加速している
*USMCAでの為替介入は原則なし
*失業率は大幅改善
*米とメキシコ、半導体サプライチェーンで連携
*フィッチ、メキシコの2024年の成長予測を2.2%に下方修正
*政府の24年成長見通しは2.5-3.5%
*気になるのは財政支出拡大と財政赤字拡大
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり
(ついに日銀介入前の水準を上抜く)
推定8兆円とも言われる円買い介入で、一時9円割れ(8.97)もあったが、徐々に回復し、介入前の水準(4月26日終値の9.22)を抜いて5月9日の終値は9.25となった。驚くべき回復だ。同じく高金利の南アランドもメキシコに次いで介入前の水準を上抜いた。
最近、やや経済指標が弱いが、ニアショアリングを背景としたファンダメンタルズの中長期的な強さはある。
ボルサ株価指数もプラテンで0.8%高。10年国債利回りは10.0%。
(政策金利はインフレ加速もあり、中銀示唆通り据え置き、11%)
メキシコ中銀は昨日、先月インフレが再加速したことを受けて、連続の利下げの可能性を排除し、政策金利を11.0%に据え置いた。
ヒース中銀副総裁が、前もって「前回の利下げは、実際に金融スタンスを緩和したわけではなく、現状を維持するために小幅な調整を行っただけである」と示唆した通りの結果だ。
インフレ圧力を考慮して、今後6四半期のヘッドラインインフレ予測とコアインフレ予測を上方調整し、現在は2025年の最終四半期には目標の3%に達するとみている。以前、バンシコはインフレ率が2025年の第2四半期には目標に達すると見ていた。
中銀は声明で、「インフレに関してこれまで維持されてきた制限的な政策スタンスを維持する」としている。現状では次回6月会合で利下げを期待すべきだという明確なシグナルを発する十分な議論が存在しない。
海外在住のメキシコ人からの送金で国内消費が引き続き堅調なことから、ラテンアメリカ第2位の経済におけるインフレ高止まりが浮き彫りになった。 2桁の借り入れコストが経済を減速させるにもかかわらず、物価上昇率はほぼ4年間目標を上回っている。
グルポ・フィナンシエロ・ベースの経済分析ディレクターのシレール氏は、政府支出と「高水準の」財政赤字が、今年上半期のインフレの上振れリスクとなっていると見ている。「今年下半期には圧力が弱まり、利下げしやすい環境が整うだろう」と述べた。
(4月の消費者物価は)
4月の消費者物価は4.65%上昇し、予想の中央値4.63%や前月の4.42%上昇を上回った。 インフレ目標は3%プラスマイナス1% 。コアインフレ率は、3月の4.55%から4.37%に鈍化した。 中銀はサービスインフレが予想よりも頑固になると予想しており、コア指標は依然として物価の上向きリスクであると繰り返した。一方で、は世界経済活動の最終的な減速を下方リスクと見ている。
(米国向け輸出は1Qも世界一、ニアショアリング)
2024年1Qのメキシコは米国に1198.5億ドルの商品を輸出した。2位はカナダ、3位は中国。2023 年にメキシコは中国を抜き、米国への最大の商品輸出国になった。
メキシコは自動車、コンピューター、機械などを輸出したが、ほとんどが外国企業によって製造されている。これがニアショアリングだ。
(4月自動車生産2割増)
4月の自動車生産台数は35万8575台で前年同月と比べ21.7%増えた。米国向けを中心に輸出が好調で、イースター休日の時期の違いによる3月からの反動もあって急増した。4月の輸出台数は28万9756台で14.3%増。
(3月のメキシコへの郷里送金は、約4年ぶり減も高水準)
3月の海外からの送金額は約50.2億ドルと、前年同月比3.3%減少した。単月のマイナスは2020年4月以来、3年11カ月ぶり。米国、メキシコの金融政策にも関連してドル安・ペソ高が定着し、送金額の水準は高い。1〜3月の累計では、送金額が約141億ドル。メキシコ人の出稼ぎ労働者は米国に多く、対ドルでのペソ高局面では送金時の目減り分を見越し、留守家族への送金額を増やす傾向がある。