ゴルフ関連企業によるM&Aが相次いでいる。ゴルフ場運営最大手のアコーディア・ゴルフ(東京都品川区)は2024 年3月 21 日に、ミオス菊川カントリークラブ(静岡県掛川市)をグループ化した。
2023年2月に取得した小田急西富士ゴルフ倶楽部(現・西富士ゴルフ倶楽部、静岡県富士宮市)に次ぐもので、同社172カ所目のゴルフ場となる。
ゴルフ場の一人予約サイトなどを運営するバリューゴルフ<3931>は2024年5月1日に、デジタル技術で生活やビジネスを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)化を支援するノア(東京都江東区)を子会社化する。
こちらは2023年12月に発表した、国内外のゴルフツアーを中心とした旅行サービスを手がけるエスプリ・ゴルフ(東京都武蔵野市)と、フリーペーパー「ゴルフマガジン九州」事業の取得に次ぐもので、この3カ月間で3件目のM&Aとなる。両社の戦略を見てみると。
優良なゴルフ場の取得で成長目指す
アコーディアは優良なゴルフ場の取得を成長戦略の一つとして位置付けており、今回のミオス菊川カントリークラブの取得もこの一環。
同ゴルフ場は1974年の開業で、東名高速道路の掛川と菊川の両インターチェンジから約10分、JR掛川駅から約15分のところにある。
コースは戦略とテクニックが必要な一方、全体的に平坦でOB(プレーできる区域外に出てしまったことによって発生するペナルティ)ゾーンが少ないため、初心者や女性もプレーしやすいという。
今後、アコーディアブランドのゴルフ場として運営し、アコーディアのポイントプログラムなども導入する予定だ。
アコーディアは2022年10月に、同業のネクスト・ゴルフ・マネジメントを吸収合併し、日本で最大手のゴルフ場運営会社になった。同社の成長戦略に変更がなければ、今後もゴルフ場の買収は続きそうだ。
事業資産を活用して領域を拡大
一方のバリューゴルフは、ゴルフ業界のDX化を進めており、ノアが持つDXやSES(システムエンジニアリングサービス=システムやソフトウエアの開発や運用で技術者の労働力を提供するサービス)などの技術やノウハウが、ゴルフ業界のDX化に大いに役立つと判断した。
同社はゴルフ場予約サービスのほか、フリーペーパーの発行やゴルフ用品のネット販売、広告メディア制作などの事業を展開している。
これら事業の資産を相互活用して事業領域を拡大することを成長戦略の一つとしており、ノアの子会社化もこの戦略に沿ったものといえる。
アコーディア同様、バリューゴルフでもM&Aの活用は続きそうだ。
文:M&A Online