主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年6月7日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼6日(木)の為替相場
(1):豪貿易黒字拡大
(2):植田日銀総裁「少し距離がある」
(3):ECBはタカ派的な利下げ
(4):米労働関連指標は悪化
▼6日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米5月雇用統計後は上下ともに値幅が広がる可能性/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
6日(木)の為替相場
期間:6日(木)午前6時10分~7日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪貿易黒字拡大
豪4月貿易収支は65.48億豪ドルの黒字と、黒字額は市場予想(54.00億豪ドル)を上回った。輸出、輸入ともに減少したが輸入の落ち込みが予想以上に大きかったため貿易黒字が拡大した。
(2):植田日銀総裁「少し距離がある」
日銀の植田総裁は予想インフレ率を示す指標について「少し上昇してきているが、まだ2%には達していない。少し距離がある」との認識を示した。今後の利上げパス(経路)については、「中立金利次第で、そこにはかなりの不確実性が残っている。大きな間違いを犯さないように慎重に進めていきたい」と述べた。一方で、国債買い入れについては、大規模な金融緩和からの出口を進めていくうえで「減額することが適当だ」と語った。なお、中村日銀審議委員はこの日の記者会見で、13ー14日に開かれる金融政策決定会合で追加利上げや国債買い入れの減額が決まる可能性を問われ、「そういう話題も出るとは思うが、利上げは早いと思う」との認識を示した。
(3):ECBはタカ派的な利下げ
欧州中銀(ECB)は予想通りに主要政策金利を25bp(0.25%ポイント)引き下げて4.25%とした。声明で「インフレ目標を達成するために必要な期間、政策金利を十分に制限的な水準に維持する」と表明した。また、スタッフ予測で2024年と2025年のインフレ見通しを上方修正。市場は「タカ派的な利下げ」と受け止めユーロが上昇した。ラガルド総裁はその後の会見で「きょうから利上げを巻き戻す段階に移行するのかと聞かれれば、そうだとは言わない。非常に不確実なのは、我々が進むスピードとそれに要する時間だ」などと発言。ECBは引き続き、会合ごとのアプローチを取るとした上で「特定の金利の道筋をあらかじめ約束しない」と強調した。
(4):米労働関連指標は悪化
米新規失業保険申請件数は22.9万件と市場予想(22.0万件)を上回り、前週(22.1万件)から増加した。米1-3月期単位労働コスト(人件費)・改定値は前期比+4.0%と予想(+4.9%)に反して速報値(+4.7%)から下方修正された。