投資信託の名義変更は可能?相続や生前贈与の際の手続きと注意点
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相続や贈与などの際に、投資信託の名義変更は可能です。

ただし、相続と贈与の場合では、流れや用意する書類などが異なります。

当記事では、投資信託の名義変更に関する具体的な手続きについて、専門知識のない人でも理解しやすいように注意点も含めてわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 投資信託で名義変更が必要になる2つのケース
  • 相続による投資信託の名義変更手続きの流れと注意点
  • 生前贈与による投資信託の名義変更手続きの流れと注意点

目次

  1. 投資信託の名義変更が必要となるケースは
  2. 相続による投資信託の名義変更手続きの流れ
  3. 相続による投資信託の名義変更3つの注意点
  4. 生前贈与による投資信託の名義変更手続きの流れ
  5. 生前贈与による投資信託の名義変更4つの注意点
  6. まとめ|投資信託の名義変更は金融機関に早めに連絡を

投資信託の名義変更が必要となるケースは

投資信託の名義変更は可能?相続や生前贈与の際の手続きと注意点
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投資信託の名義変更が必要となるケースには、「相続」と「生前贈与」があります。

いずれの場合も、被相続人(死亡した人)や贈与者(財産を与える人)の保有する投資信託を自身の証券口座に勝手に移すことはできません。

法定相続人の権利を持つ人が金融機関の所定の手続きをおこなうことで、相続や生前贈与の投資信託の名義変更が完了します。

相続による投資信託の名義変更のことを「移管」、生前贈与の投資信託による名義変更のことを「異名義移管」といいます。

移管 相続による投資信託の名義変更
異名義移管 生前贈与の投資信託による名義変更

以下では、投資信託の名義変更手続きの流れと注意点を解説します。

相続による投資信託の名義変更手続きの流れ

投資信託の名義変更は可能?相続や生前贈与の際の手続きと注意点
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相続が発生した際の投資信託の名義変更手続きは「移管手続き」と呼ばれます。

相続が発生した場合、相続人(代表者)は、被相続人の口座を管理する金融機関に連絡し、所定の手続きをおこなうことで投資信託の引き継ぎができます。

相続による投資信託の名義変更は、かなりの時間を要する場合もあります。

特に、遺産分割協議が必要なケースでは時間がかかりやすいため、余裕を持って進めることが重要です。

相続が発生した直後から、投資信託の名義変更が完了するまでの基本的な流れは、以下のとおりです。

※投資信託の名義変更手続きの内容は、金融機関によって異なります。ここでご紹介するのは、あくまでもその一例です。

1.金融機関に連絡する

相続人の代表者は、被相続人の投資信託の口座を管理する金融機関に連絡するか、直接訪れて相続が発生したことを伝えましょう。

この連絡によって、金融機関の相続手続きの担当者が必要書類を用意してくれるのが一般的です。

ネット証券をご利用の場合、先に公的書類を取得し、インターネット上の相続受付で書類をアップロードした後、証券会社に手続き依頼をおこなうこともあります。

2.財産調査をおこなう

相続が発生した直後は、被相続人の財産調査を優先しておこなうことが重要です。

この調査をおこたると、投資信託の名義変更手続きが進められません。

財産調査では、死亡した人の金融資産や不動産、貴金属、負債などが調査対象となります。

財産調査の中には、投資信託も含まれます。

投資信託の調査方法としては、金融機関の証券口座や取引履歴、証券会社からの郵送物(またはメール)などを確認しましょう。

3.相続の方法を決める

投資信託の名義変更手続きに入る前に、相続の方法を決める必要があります。

相続の主な選択肢は以下の3つです。

遺言書に基づく相続 遺言書の内容に沿って相続する
法定相続 民法で定められた相続人が決められた範囲で相続する
分割協議による相続 相続人全員で遺産の分割割合を話し合う

法的に効力のある遺言書が存在する場合、原則として遺言書の内容に従って相続をおこないます。

ただし、法定相続人に最低限保障された遺留分もあります。

また、遺言書が存在せず、複数の相続人がいる場合は、遺産分割協議をおこなったうえで、遺産の分割割合などを決めます。

4.金融機関に必要書類を提出(送付)する

金融機関に提出(送付)する必要書類は、遺言書や遺産分割協議書の有無によって、以下のように異なります。

以下はその一例です。

【遺言書・遺産分割協議書の両方がない場合】
・被相続人の出生児〜亡くなるまでが確認できる戸籍書類
※発行後6ヵ月以内の原本
※相続人全員が確認できるもの

・相続人全員の印鑑証明書
※発行後6ヵ月以内の原本

・金融機関所定の相続手続き書類

【遺言書がある場合】
・被相続人が亡くなったことを確認できる戸籍書類
※発行後6ヵ月以内の原本

・相続人遺言執行者の印鑑証明書
※発行後6ヵ月以内の原本

・遺言書の写し
※自筆証書遺言書原本または公正証書遺言書謄本

・検認書類の写し
※遺言書の写しが公正証書遺言書以外の場合に必要

・金融機関所定の相続手続き書類

【遺産分割協議書がある場合】
・被相続人の出生児〜亡くなるまでが確認できる戸籍書類
※発行後6ヵ月以内の原本
※相続人全員が確認できるもの

・相続人全員の印鑑証明書
※発行後6ヵ月以内の原本

・遺産分割協議書

・金融機関所定の相続手続き書類

このほか、代理人が投資額の名義変更の手続きをおこなう場合は、委任状や代理人の印鑑証明書などが必要となります。

相続人が海外に居住・未成年者・婚姻などの理由で除籍している場合は、追加の書類が必要です。

5.金融機関の口座を用意する(被相続人と同じ証券会社の口座を持っていない場合)

一般的に、投資信託の名義変更(移管手続き)においては、被相続人が利用していた証券会社以外の口座に移管できないケースが多いです。

相続人が被相続人と同じ証券会社の口座を持っていない場合、新たに口座を開設する必要があります。

相続した投資信託を別の証券会社の口座で保有したい場合、一時的に被相続人と同じ証券会社の口座に移管した後、さらに別の証券会社に移管する手続きが必要となります。

6.投資信託の名義変更が実行される

必要な書類を提出してから、投資信託の名義変更手続きが完了するまでの期間は、金融機関や書類の内容などによって異なりますが、一般的な目安は2週間から1ヵ月程度だといわれています。

名義変更の手続きが完了すると、金融機関が主体となって投資信託を相続人の証券口座に移管します。

手続き完了後、金融機関から「相続手続きの完了通知」が相続人代表者(または代理人)に届きます。

一定期間経っても完了通知が届かない場合は、手続きが滞りなく進んでいるかどうか、念のため金融機関に連絡してみるのも一案です。

7.被相続人の証券口座が閉鎖される

投資信託の名義変更の手続きが完了しても、すぐに被相続人の証券口座が閉鎖されるわけではありません。

手続き完了後、1年程度などの一定期間を経てから被相続人の証券口座が閉鎖されます。

すぐに閉鎖されない理由は、被相続人が死亡後に配当金などが入金される可能性があるためです。

閉鎖後に入金があった場合は、相続人がこれを受け取ります。

なお、証券口座の閉鎖の手続きは証券会社がおこないますので、相続人の手続きは必要ありません。

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続いては、相続による投資信託の名義変更手続きの注意点を解説します。

1.相続発生日の残高が投資信託の評価額の基準となる

投資信託を相続する場合、相続発生日時点の残高が評価額となります。

投資信託の相続・名義変更をすみやかにおこなうために、「残高証明書」を取得しておくことをおすすめします。

残高証明書とは、その時点における口座残高を証明するための書類です。

口座を有する金融機関に請求することで発行してもらえます。

2.名義変更前に投資信託を売却し現金化することはできない

相続人が投資信託を現金化できるのは、名義変更手続きが完了した後になります。

移管前に投資信託を売却することはできません。

また、複数の相続人がいる場合、投資信託の名義変更前に分割することはできないため、原則として、移管前に金銭による分配を求めることもできません。

3.遺言書や遺産分割協議書がない場合は専門家に相談をする

複数の相続人がいるにも関わらず、遺言書が存在しない場合や、相続人全員が集まらず分割協議が進まない場合などは、相続トラブルのリスクが高くなります。

そのため、早い段階で相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。

生前贈与による投資信託の名義変更手続きの流れ

投資信託の名義変更は可能?相続や生前贈与の際の手続きと注意点
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生前贈与をおこなう際の投資信託の名義変更では「異名義移管」の手続きが必要です。

生前贈与をおこなう際、贈与者(財産を与える人)は、自身の口座を管理する金融機関に連絡し、所定の手続きをおこなうことで投資信託を引き継げます。

※ただし、受贈者〈財産をもらう人〉の事前承諾が必須。

生前贈与による投資信託の名義変更に要する期間は、金融機関に連絡してから1週間程度が目安です。

生前贈与の合意から投資信託の名義変更完了までの基本的な流れは以下のとおりです。

※投資信託の名義変更手続き内容は、金融機関によって異なります。ここでご紹介するのは、あくまでもその一例です。

1.贈与者と受贈者で合意を交わす

生前贈与を理由に投資信託の名義変更をしたい場合、まずは贈与者が受贈者に対して、その意思をしっかり伝えることが重要です。

生前贈与は、贈与者と受贈者双方の合意があって、はじめて成立する契約です。

贈与者が「財産を贈りたい」と考えても、受贈者がそれに合意する意思を示さなければ契約は成立しません。

生前贈与をおこなうことで、贈与税が発生する可能性もあります。

贈与税の計算方法には「暦年贈与」と「相続時精算課税」の2種類があり、それぞれ内容が異なります。

〈暦年課税〉
・ 年間の受贈額から年110万円の基礎控除を差し引いて計算
・ 相続開始前の一定期間の贈与は相続財産に加算(相続税として計算される)
※暦年課税の生前贈与加算の期間は、2024年より段階的に引き上げられていきます。

〈相続時精算課税〉
・ 一定の要件を満たせば、累計2,500万円までの贈与は贈与税がかからない
(ただし、相続時に相続税の対象になる)
・ 税制改正により、年110万円の基礎控除枠が設けられた
(基礎控除額を超えた分の累計が2,500万円まで贈与税がかからない)

2.贈与契約書を作成する

投資信託を生前贈与する際は、贈与契約書が必須です。

この契約書には、贈与の重要事項が記載され、受贈者と贈与者の捺印がされるため、贈与が確かにおこなわれたことを客観的に証明できます。

生前贈与自体は口約束でも契約が成立しますが、投資信託の異名義移管の手続きでは金融機関に贈与契約書を提出する必要があります(株式の移管でも同様)。

贈与契約書の必要事項の例は以下のとおりです。

・贈与者と受贈者が贈与契約を締結したことを示す文章
・投資信託の銘柄や口数
・契約締結の年月日
・贈与者と従事者の基本情報(氏名、住所、捺印など)

3.金融機関に連絡する

贈与者が金融機関の担当窓口に連絡し、生前贈与による投資信託の名義変更をしたい旨を伝えます。

このときの連絡は贈与者からおこないます。

受贈者から連絡しても名義変更手続きを進められないのが原則です。

4.必要事項を記入して書類を返送する

贈与者に対して、金融機関から投資信託の名義変更に必要な書類が送付されます。

書類の送付先は贈与者の住所地が原則であり、受贈者の住所に送付してもらうことはできません。

なお、同じ金融機関でも、保有している口座が「一般口座」と「特定口座」のどちらかで必要書類が異なります。

5.金融機関の口座を用意する

投資信託の名義変更手続きは、同じ区分の口座でなければ原則できません。

受贈者が贈与者と同じ区分の口座を持っていない場合は、口座を新たに用意する必要があります。

詳細については後述の「生前贈与による投資信託の名義変更の注意点」をご参照ください。

なお、投資信託の異名義移管の手続きは、受贈者と同じ証券会社で移管できるケースとできないケースがあります。

たとえば、SBI証券の場合、金融商品の種類によって移管先の可否が以下のように定められています。

SBI証券 贈与等による異名義移管のお手続き
※△は「移管先の証券会社で取扱いを確認する」などの注意事項あり。
※出典:SBI証券 贈与等による異名義移管のお手続き

6.投資信託の名義変更がおこなわれる

投資信託の名義変更手続きが完了すると、金融機関から受け入れ書類の控えなどが送られてきます。

移管手続きが実行されると、贈与者の証券口座から投資信託が出庫され、受贈者の証券口座にその分の投資信託が入庫されます。

投資信託の名義変更手続きを完了した後に念のため、贈与者と受贈者の口座の間で適切な移管がおこなわれたかを照らし合わせるのが安全です。

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生前贈与による投資信託の名義変更4つの注意点

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続いては、生前贈与による投資信託の名義変更手続きの注意点を解説します。

1.手続きには1銘柄ごとに手数料がかかる

異名義移管の手続きには、1銘柄あたり数千円程度の手数料がかかります。

「1銘柄あたり」ですので、保有する銘柄数が多い場合は、手数料の総額がかさむ可能性もあります。

主なネット証券会社の投資信託の移管手続きの手数料例は以下のとおりです。

SBI証券 1銘柄当たり3,300円
楽天証券 1銘柄当たり3,300円
auカブコム証券 銘柄当たり2,200円
※上記の手数料はすべて税込

2.贈与契約書がないと否認される可能性がある

投資信託の名義変更が実行された場合でも、「贈与契約書に不備がある」などの理由で税務署などから生前贈与を否認される可能性もあります。

このような事態を防ぐため、異名義移管の手続きをおこなう前に贈与者と受贈者の合意の基で、適切な様式で贈与契約書を作成する必要があります。

贈与の知識が不足している場合や、贈与の規模が大きい場合は、相続に詳しい弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

3.親族でないと移管できない場合もある

生前贈与自体は、親族以外の第三者に対しておこなうことができます。

しかし、金融機関によっては受贈者が親族のみの場合、異名義移管の手続きを受け付けていることもあります。

また、投資信託の名義変更手続きをおこなう際、金融機関がその理由を確認することもありますが、贈与者の回答が曖昧だった場合、異名義移管に応じてもらえないこともあります。

4.同じ区分の証券口座でなければ名義変更できない

投資信託の売買や保有で利用できる口座には、以下の3種類の区分あります。

・一般口座
・特定口座
・NISA口座

投資信託の名義変更の手続きは、同じ区分の口座でなければ原則できません。

たとえば、贈与者の「一般口座」から受贈者への「一般口座」への移管は可能です。

しかし、贈与者の「一般口座」から受贈者の「特定口座」には移管することができません。

そのため、受贈者が贈与者と同じ区分の証券口座を保有していない場合は、区分変更(被相続人の口座)や口座の開設(相続人の口座)手続きが必要となります。

ただし、区分変更ができるのは、以下のとおりに限られる点に注意しましょう。

・「特定口座」から「一般口座」に変更
・「NISA口座」から「一般口座」または「特定口座」に変更

まとめ|投資信託の名義変更は金融機関に早めに連絡を

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当記事をお読みいただいたことで、投資信託の名義変更手続きに関する情報についてはご理解いただけたと思います。

それでも細かい部分で不明点が出てくるかもしれません。

その際は、金融機関のコールセンターや相続・贈与を専門とする弁護士などにすみやかに問い合わせましょう。

また、投資信託の名義変更手続きに要する期間の目安は、相続の場合は2週間から1ヵ月程度、生前贈与の場合は1週間程度です(書類を提出してからの期間)。

いずれにしても一定期間を要するため、金融機関に早めの連絡をするのが賢明です。

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(提供:ACNコラム

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