総括
FX「ペソ、フィッチ格付けコメントで昨日はトリプル安、月間3位」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.5-9.0
(ポイント)
*フィッチ格付けコメントで昨日はトリプル安
*フィッチでペソは月間最強から3位へ後退
*IMF成長見通し下方修正
*今後の指標の流れ、8月8日の政策金利決定までは
*なぜ大統領の任期が6年で1期限りか
*ニアショアリングのためのビジネス諮問委員会を設置
*中銀ヒース副総裁発言はペソを押し上げ
*対米輸出好調。郷里送金もまずまず、ニアショアリング好調
*2026年USMCA改定への議論開始、米国大統領選挙でも言及されよう
*4Qには米大統領選。トランプ不安はある
*メキシコの格付けはジャンク債の手前
*米墨インフレ格差、金利差、景況感格差の指標でデコボコな動き
*フィッチ、メキシコの2024年の成長予測を2.2%に下方修正
(ペソは昨日はトリプル安。フィッチの格付けコメントで)
7月17日まで、推定6兆円の日銀円買い介入に負けず、月間最強であったが昨日18日に、トリプル安でペソは月間3位に後退。年間では10位で対円5.54%高。ボルサ株価指数は昨日は1.31%安、年間では7.57%安、10年国債は前日の10.09%から売られ一気に10.26%へ上昇
(ペソの天敵フィッチ、格付けは維持したがコメントがネガティブ)
年初からフィッチはメキシコに対してネガティブだ。早々に成長見通しを引き下げ、新政権に対しては財政赤字の拡大を危惧していた。今回の格付けと声明は以下の通り
=フィッチ、メキシコのBBB-格付けを安定見通しで再確認=
フィッチは、メキシコの長期外貨格付けをBBB-に再確認し、同国の慎重なマクロ経済政策を強調した。
さらに、堅調な対外財政もこの評価を後押ししている。それにもかかわらず、ガバナンス指標の弱さと長期的な成長の低迷に対する懸念は残っている。
さらに、財政リスクを予測している。最近の分析では、次期大統領が提案した憲法改正の潜在的な悪影響について論じた。
これらの改革には、司法制度の大きな転換となる最高裁判所判事の国民投票の実施が含まれる。
さらに、今後の米国選挙はさらなるリスクをもたらす。特に、トランプ氏は、輸入品に関税を課す計画を示唆している。
メキシコの輸出の80%が米国向けであることを考えると、貿易摩擦の激化は特にメキシコに影響を及ぼす可能性がある。
経済予測に関しては、P成長率が2024年に2.0%に減速すると予想している(IMFは2.2%)。
その後、2025年には1.8%までさらに減速する可能性がある。これらの予測は、米国の潜在的な景気後退と財政・金融政策の引き締めを考慮に入れている。
それでも、フィッチはニアショアリングに潜在的なチャンスがあると見ている。具体的には、多国籍企業は生産チェーンを主要な消費者市場に近づくように再構成している。
この戦略的転換は、今後数年間でメキシコの経済状況に利益をもたらす可能性がある。
(中銀議事要旨では利下げ示唆も、消費者物価上昇でインフレ懸念が再燃)
メキシコ中銀は、6月27日の金融政策決定会合の議事要旨を公表し、今後は利下げ再開を検討する可能性を挙げて議論していたことを明らかにした。
3月に利下げに転換し、政策金利を11.0%に引き下げた。その後は据え置いている。6月会合ではメヒア副総裁1人が反対し、0.25%の追加利下げを提案していた。
議事要旨は、世界的にインフレのもたらすショックが弱まっている可能性や景気が予想よりも不調な状況に言及し、「今後のインフレを巡る環境を見渡すと、金利調整を議論する余地があるかもしれない」と踏み込んだ。 ただ、サービス分野のインフレに強い懸念を表明し「依然として明確な鈍化傾向は見られない」と指摘。引き続きデータに基づき「慎重に金融政策を運営する必要がある」と強調した。
その後6月消費者物価が予想以上に加速した(前年比4.98%上昇し、予想の4.87%上昇を上回った)。ヒース副総裁は6月のデータを「非常に懸念される」と述べた。8月の政策金利決定はFRBの動向も考慮しながら微妙な状況となってきた。
(IMF見通し改定)
IMFは今月メキシコの経済見通しを公表した。2024年は2.2%(0.2%下方修正)、2025年は1.6%(0.2%上方修正)、2023年の3.2%から減速する。
(直近の指標、今後の焦点)
6月消費者信頼感指数は47.5と5月の46.9から改善した。5月鉱工業生産は前月比で0.7%増、4月の0.4%から改善した。
今後は7月22日の5月経済活動指数、小売売上、7月24日の7月前半消費者物価、7月30日の2Q・GDP、8月8日の7月消費者物価を経て同日の政策金利決定となる。