外為どっとコム トゥデイ
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。

作成日時 :2024年8月1日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼31日(水)の為替相場
(1):RBAの8月利上げ期待消滅
(2):日銀 観測報道通りの利上げ
(3):日銀総裁 追加利上げに前向きな姿勢
(4):ユーロ圏HICP 予想を上回る
(5):米労働関連指標は悪化
(6):FOMC 金利据え置き
(7):FRB議長 9月に利下げの可能性

▼31日(水)の株・債券・商品市場

▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:一段安のリスクを意識/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント

31日(水)の為替相場

外為どっとコム トゥデイ
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期間:31日(水)午前6時10分~1日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム

(1):RBAの8月利上げ期待消滅

豪4-6月期消費者物価指数(CPI)は前年比+3.8%と、市場予想通りに1-3月期の+3.6%から伸びが加速した。一方で、コアCPIにあたるCPIトリム平均値は+3.9%と、1-3月期の+4.0%から横ばい予想に反して伸びが鈍化。同時に発表された豪6月小売売上高は前月比+0.5%と市場予想を上回ったが、コアインフレの鈍化を受けて僅かに残っていた豪中銀(RBA)による8月利上げの期待が消滅したため豪ドルは下落した。

(2):日銀 観測報道通りの利上げ

日銀は、前回の会合で予告していた国債買い入れの減額を決定。「原則として毎四半期4000億円程度ずつ減額し、2026年1-3月に3兆円とする」と、概ね市場の想定に沿った計画を発表した。さらに、政策金利を従来の「0~0.1%程度」から「0.25%程度」へと引き上げた。その上で、今後の金融政策運営については「現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、今回の「展望レポート」で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」と表明。9名の委員のうち2名が利上げに反対したことも明らかになった。日銀の利上げを受けて初動は円買いに傾いたが、前日に3社の国内メディアが報じていた観測報道通りの決定だったことから、材料出尽くしとして円売りに反転するなど乱高下した。

(3):日銀総裁 追加利上げに前向きな姿勢

日銀の植田総裁は、利上げの理由について「経済・物価がオントラック(見通しに沿っている)」であることを挙げ、「円安は必ずしも今回の利上げの最大の要因ではない」とした。ただ、「円安による想定以上の物価押し上げは、重要なリスクと認識している」と述べた。また、今後の追加利上げについて「経済・物価見通しに沿って動けば、引き続き金利上げていく」とした上で「0.5%という政策金利水準(を壁として)、特に意識しているわけではない」と述べた。総裁会見が追加利上げに前向きなタカ派的な内容だったとの見方が強まり円買いが優勢となった。

(4):ユーロ圏HICP 予想を上回る

ユーロ圏7月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.6%と市場予想および前回(+2.5%)を上回った。エネルギーや食品などを除いたコアHICPも前年比+2.9%と市場予想(+2.8%)を上回り、前回と同じ伸び率だった。

(5):米労働関連指標は悪化

米7月ADP全国雇用者数は12.2万人増と市場予想(15.0万人増)を下回った。その後に発表された米4-6月期雇用コスト指数は前期比+0.9%と市場予想(+1.0%)に届かず1-3月期の+1.2%から伸びが鈍化した。

(6):FOMC 金利据え置き

米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通りに政策金利を5.25-5.50%に据え置いた。声明で「ここ数カ月間、委員会の2%のインフレ目標に向け、さらにいくらかの進展が見られた」などとして物価の上振れに対する警戒姿勢をやや弱めたが、「委員会は、インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない」との文言は維持した。また、前回「委員会はインフレのリスクを引き続き大いに注視している 」としていた一文を「委員会は2つの責務(物価安定と雇用最大化)の両面に対するリスクを注視している」に変更した。

(7):FRB議長 9月に利下げの可能性

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はFOMC後の記者会見で「労働市場が冷え込むにつれてインフレが予想外に加速するリスクは低下した」としつつ「労働市場の下振れリスクは、今や現実のものとなっている」と述べた。金融政策に関しては「今後の会合について何も決めていない」としながらも「9月に利下げが検討される可能性がある」との認識を示した。また、「金利引き下げの段階に近づいている」「広い意味では近づいているが、まだその段階には達していない」とした。FOMCの政策金利発表後に151円台を回復していたドル/円は、パウエル議長の会見を受けて3月19日以来の安値となる149.61円前後まで下落した。