主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年9月13日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼12日(木)の為替相場
(1):田村日銀審議委員講演
(2):ECB 市場予想通りの利下げ
(3):米PPIは小幅加速
(4):50bp利下げの可能性上昇
▼12日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:大きく下値を広げる公算は小さい/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
12日(木)の為替相場
期間:12日(木)午前6時10分~13日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):田村日銀審議委員講演
日銀の田村審議委員は岡山県で講演を行い「(展望リポートの見通し期間である)2026年度後半には少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え物価安定の目標を持続的・安定的に達成する上で必要だ」と語った。午後の会見では、今後の利上げについて「過剰に市場が不安定な状況にあるときは、期間を置くことが必要なケースもある」と指摘。年内利上げの可能性は「あるかもしれないし、ないかもしれない」とし、そのタイミングは経済・物価・金融情勢次第で「予断を持って語ることはできない」とした。先行きのパス(経路)は「欧米とは異なり、ゆっくりとしたペースになる可能性が高い」とも述べた。
(2):ECB 市場予想通りの利下げ
欧州中銀(ECB)は市場予想通りに利下げを決定。預金ファシリティ金利を3.75%から3.50%へ、主要リファイナンス・オペ金利を4.25%から3.65%へと引き下げた。引き下げ幅も予想通りだった。声明では「賃金が依然高いペースで上昇しており域内のインフレ率は依然として高い」と指摘。「だが、労働コスト圧力は緩やかになり、賃金上昇がインフレに与える影響を利益が部分的に緩和している」とした。ラガルド総裁はその後の会見で、今後の利下げについては「データ次第」だと強調。「金利の道筋は事前に確約しない」「進む方向は明確だがペースも規模も未定だ」と言質を与えなかった。
(3):米PPIは小幅加速
米8月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.2%と市場予想(+0.1%)を上回り、前年比では+1.7%と予想通りの伸びとなった。食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+2.4%と前月の+2.3%から小幅に加速した。同時に発表された米新規失業保険申請件数は23.0万件と予想(22.6万件)を上回り、前週(22.8万件)からやや増加した。
(4):50bp利下げの可能性上昇
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、米連邦準備制度理事会(FRB)が来週の会合で利下げを行うことは確定的だが、どの程度引き下げるかについては微妙な情勢だとし、「当局者は今後数カ月間に複数回の利下げを実施できるという自信を深めていることから、従来ペースの25bp(0.25%ポイント)の利下げにするか、それとも50bpの利下げにするかという問題に直面している」と報じた。これを受けて米金利先物が織り込む9月の50bp利下げの確率は前日の14%から28%に上昇した。