南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「南アが年間首位奪取。ただ連立政権のユーフォリアが覚めてきた」南アランド見通し

「通貨首位、株価13位」
「予想レンジ 南アランド円7.7-8.2」                                           


(ポイント)
*通貨首位を奪回も円に迫られる
*今週の政策金利決定は利下げか
*連立政権で亀裂も
*連立政権期待のユーフォリアが覚めてきた
*格付けを「BB-」に据え置き、見通しは「安定」
*2Q・GDPはプラ転も期待を下回る
*8月製造業PMIは悪化
*南アは中国に貿易不均衡改善を求む
*IMFは大胆な財政再建を求める
*貿易黒字は6か月連続の黒字
*企業景況感が改善
*小売売上も好調
*雇用を除く経済指標は強い
*債券市場に海外資金が流入
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続くが、ガザ問題で関係悪化も

(南アランドは年間首位を奪回も、上昇を続ける円には迫られている)
 先週、南アランドは年間首位を奪回も、上昇を続ける円には迫られている。株価指数は年初来6.61%高、10年国債利回りは9%を割り込み8.92%。

(連立政権期待のユーフォリアが覚めてきた)
ランド高の主要因は国民統一政府(GNU)の成立であり、市場は改革を期待しこれを好意的に受け止めてきた。ただ重要なのは、現在の改善された電力事情が維持できるかどうか、トランスネットなどの物流問題が解決できるかどうか、そしてさらなる改革によってビジネスに優しい環境を作り、成長と雇用を刺激できるかどうかだが、まだ結果は出ていない。

(南ア中銀は策金利を引き下げか)
 南ア中銀は今週、金利を引き下げると広く予想されている。
 インフレ率は最近下降傾向にあり、7月の5.1%から7月には4.6%に低下した。これは目標をわずか0.1%上回る水準だ。7月のコアインフレ率はさらに低かった。
 7月の消費者物価が将来の予想に基づく金利決定に影響を与えることはないと強調するだろうが、予想ではインフレ率は2024年に4.3%に達する可能性があるとしている。
 さらに、ランドはここ数カ月で大幅に上昇していることも利下げが許容される要因だ。

(格付けを「BB-」に据え置き、見通しは「安定」)
フィッチは、南アフリカの長期外貨建て債券発行体デフォルト格付けを「BB-」に据え置き、見通しは「安定」とした。
 格付けは、債務構造の改善、強固な財政制度、信頼できる金融政策の枠組みによって支えられているとした。
 しかし、これらの要因は、実質GDP成長率の低さ、貧困と不平等の高水準、政府債務対GDP比率の高さと引きあっている。
 フィッチは、昨年の0.7%に続き、今年の実質GDP成長率は0.9%になると予想していると述べた。実質GDPは2025年に1.5%、2026年に1.3%の成長を示すと予測されている。

「成長は、物流部門の苦戦、根深い構造的要因、特に高いレベルの不平等、貧困、失業、そして弱い投資によって妨げられている」と述べた。「2022年と2023年の成長の足かせとなった電力不足は緩和すると予想されるが、散発的な停電は依然として発生する可能性がある」とした。
 総合インフレ率は7月に4.6%に緩和したものの、食品と原油価格の下落が続く中、フィッチは年末までに4.5%、2025年と2026年には4%に低下すると予想している。