主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年11月1日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼31日(木)の為替相場
(1):豪小売売上高は予想を下回る
(2):日銀 予想通り金利据え置き
(3):日銀総裁会見受けて円買い優勢
(4):ユーロ圏HICP 予想を上回る
(5):米PCEは予想を上回る
▼31日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:ドル売りを誘発するイベントにはなりにくい/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
31日(木)の為替相場
期間:31日(木)午前6時10分~1日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪小売売上高は予想を下回る
豪9月小売売上高は前月比+0.1%と市場予想(+0.3%)を下回った。8月の大幅増の反動もあったと見られるが、政府の減税措置が消費の急拡大にはつながっていないことが浮き彫りになった。
(2):日銀 予想通り金利据え置き
日銀は予想通りに政策金利を0.25%で据え置いた。同時に発表した展望リポートでは2024年度の生鮮食品を除いた消費者物価指数(コアCPI)の見通しを+2.5%で据え置いた一方、25年度については+2.1%から+1.9%に下方修正。しかし、25年度の見通しについては「上振れリスクのほうが大きい」とも明記した。市場は日銀のスタンスについて消化不良気味で、長期金利が低下したにもかかわらず円は上昇し、株価は下落した。
(3):日銀総裁会見受けて円買い優勢
日銀の植田総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、8月以降度々使用している「(政策判断に)時間的な余裕がある」との表現について、(市場の混乱や米経済の不確実性など)リスク度合いは低下しており、『時間的余裕』という表現は不要になると考えて今日も使っていない」と説明。追加利上げへの距離感を示す言葉として市場が認識していた「時間的な余裕」を植田総裁が使わなかったことで、次回12月会合での利上げの可能性もゼロではないとの見方から円買いが優勢となった。
(4):ユーロ圏HICP 予想を上回る
ユーロ圏10月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.0%と前月(+1.7%)から加速。市場予想(+1.9%)を上回った。エネルギーや食品などを除いたコアHICPは前年比+2.7%で前月から横ばいだった(予想+2.6%)。
(5):米PCEは予想を上回る
米9月個人消費支出(PCE)は前月比+0.5%と予想(+0.4%)を上回る伸びとなった。PCE物価指数(デフレーター)は前年比+2.1%と予想通りに前月(+2.3%)から鈍化した一方、食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは前年比+2.7%と高止まりした(予想+2.6%、前月+2.7%)。同時に発表された米新規失業保険申請は21.6万件と市場予想(23.0万件)より少なく、5月以来の低水準となった。