トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「11月8日に中銀がインフレ報告。格付け引き上げ、リラは小動き」トルコリラ見通し

(通貨最下位、株価4位)
予想レンジ トルコリラ/円4.2-4.7

*リラ円10月は月間2位、11月は小反落でスタート
*11月8日にインフレ報告、15日に予算実績、21日に政策金利
*3Q・GDPは11月29日
*10月インフレは予想ほど鈍化せず
*トルコ長期ソブリン格付けを「BB-」に引き上げ
*トルコの外貨準備、金保有は
*10月製造業PMIは改善も7カ月連続50割れ
*10年ぶりに下落幅はここまで一桁%である
*リラの持続的急騰はないだろう 急騰時にはリラ売り介入あり
*IMFの成長見通しは3.0%、2024年
*BRICS加盟に意欲、中国との経済関係を強めている
*エルドアン大統領、第三次世界大戦に警鐘を鳴らす

(リラ円10月は月間2位、11月は小反落でスタート)
 リラ円はボリバン2σ上限から反落。10月は月間2位と健闘、年間では現在7.14%安で依然10年ぶりの一桁%安を維持している。トルコ株価指数(イスタンブール100)は昨日は銀行株が下落を主導2.49%安、年間では15.98%高で推移している。

(10月インフレは予想ほど鈍化せず)
 トルコの10月のインフレ率は予想よりやや小幅な鈍化にとどまった。エコノミストの間で年内の利下げは検討されないとの見方が強まる可能性が高い。
 10月の消費者物価は前年同月比48.6%上昇。9月は49.4%上昇。予想は48.3%上昇。
 前月比では2.88%上昇と、9月の2.97%から伸びが鈍化した。

 トルコ中銀はディスインフレのペースに懸念を表明しており、予想より悪い9月の数値を受けてタカ派姿勢を強めざるを得なかった。物価抑制が遅々として進まないことから、アナリストは年内の利下げ予測を後退させている。中銀は3月以来、政策金利を50%に据え置いている。

(インフレについて硬直性、シムシェキ財務大臣)
基本財の年間価格上昇率は 28.5% であり、慣性の高いサービスの年間価格上昇率は 69.8%。毎年の値上げにより、特に家賃や教育のグループでは、過去を見据えた価格設定行動が顕著であり、インフレの低下が抑制されている。
 硬直性を解消するには時間がかかるが、この点での進展は前向きだ。 10月に12カ月インフレ期待が全セクターで過去2年半の最低水準に低下したという事実は、サービスインフレの慣性を打破する上で重要である。

(トルコ長期ソブリン格付けを「BB-」に引き上げ インフレ抑制評価)
 S&Pは11月1日、トルコの長期ソブリン債の格付けを「B+」から「BB-」に引き上げた。格上げは今年2回目。中銀の金融引き締めによるインフレ抑制と外貨準備の積み上げを評価した。格付け見通しは「ポジティブ」から「安定的」に変更した。
S&Pは声明で「トルコ当局はリラを安定させ、インフレを抑え、準備金を再構築し、金融システムの脱ドル化を実現できた」、また「トルコは2028年まで国政選挙が予定されておらず、当局は段階的な財政と歳入の緊縮化を通じ、需要とインフレを抑える政策を実施する余地がある」との見解を示した。

(トルコの外貨準備、金保有)
 トルコ中銀のデータによると、10月25日時点でトルコ中銀の外貨準備総額は935.1億ドルで、1週間前は937.9億ドルだった。
 金準備額は前年比659億ドル。(日本の9月外貨準備は1.25兆ドル、金準備は715.3億ドル)

(10月製造業PMIは改善も7カ月連続50割れ)
 10月の製造業PMIは45.8と、好不況の分かれ目となる50を7カ月連続で下回った。
ただ、9月の44.3からは上昇。生産、新規受注、購買活動、雇用の縮小ペースが緩和した。
厳しい市場環境が続く中、新規受注と輸出が低迷。生産が7カ月連続で減少した。需要低迷で雇用と購買活動も縮小した。
S&Pは「トルコの製造業は厳しい需要環境下で引き続き圧力に見舞われている」とした上で、インフレ圧力が再び低下したことはプラス要因だ」と述べた。