2024年の日経平均株価は3万9894円で取引を終えた。年末の終値としては1989年のバブル期を上回り、35年ぶりに史上最高値を更新した。1年を締めくくる12月中、アクティビスト(物言う株主)はどう動いたのか。

アクティビストによる5%超の新規保有銘柄として最も注目されたのが花王だ。香港投資ファンドのオアシス・マネジメントが12月10日、花王の株式を5.23%保有したとする大量保有報告書を関東財務局に提出した。保有目的は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」。株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがあるとしている。

オアシスはアクティビストとして日本での活動が最も活発な海外ファンドの一つ。昨年4月に花王の株式3%以上保有していることを明らかにし、主力ブランドへの集中、グローバル展開、マーケティング強化を柱とする経営改革を求めた。12月には、花王が今年3月に開く株主総会に向け、会社側に対抗する形で社外取締役の候補5人を推薦する提案を行うなど、火花を散らしている。

11月に続きTOB銘柄を新規保有

オアシスはマーケティング調査大手のマクロミルにも触手を伸ばした。12月17日に提出された大量保有報告書で7.12%の新規保有が判明した。保有目的は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」。

マクロミルでは英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが1株1150円でのTOB(株式公開買い付け)が11月半ばから進行しているが、オアシスの登場でマクロミル株は1200円を超える高値圏で推移。CVCは買付期間を年明け1月17日まで延長した。

オアシスはNECが親子上場の解消を目的にTOB実施中(1月10日まで)のNECネッツエスアイの株式についても、11月に5%超の新規保有が判明後、買い増しを続けて13%超まで保有割合を高めた。NECはこれまで買付期間を2度延長し、買付価格も引き上げた。

さらに、オアシスは紅こうじサプリメントによる健康被害問題を抱える小林製薬の株を追加取得し、10.1%まで保有割合を引き上げた。同社株の新規保有(5.2%)は7月に明らかになっていた。

米エリオット取得の東京ガス株は?

東京ガスをめぐっては11月、世界最大級のアクティビストとして知られる米エリオット・インベストメント・マネジメントによる5.03%の新規保有が耳目を集めたが、12月中、保有割合の変更などの動きは見られなかった。

“強面”とされるシンガポール投資ファンドの3Dインベストメント・パートナーズも新規保有や追加取得にかかわる大量保有報告書の提出はなかった。