総括
FX「7.1-7.6、ペソ再び急落、トランプ大統領のメキシコへの関税賦課発言で」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.1-7.6
(ポイント)
*ペソ急落、再びトランプ大統領、メキシコからの輸入品に25%の関税を課すと発言
*米次期商務長官やシェインバウム墨大統領は関税賦課なしも示唆していた
*トランプ発言後の為替相場は?
*コロンビア騒動でペソも下落
*4Q・GDPは失速
*2月は0.25%利下げか、0.5%論もあり
*シェインバウム大統領、外国投資誘致のため「ニアショアリング令」に署名
*1月のインフレ率は4%を下回ると予想、中銀副総裁
*メキシコ、中国からの輸入でSHEINとTEMUに関税を課す
*2030年までにGDPトップ10入りが目標、大統領
*弱かった年始の経済指標
*2024年の米国への貿易黒字は過去最高を記録
*S&Pがメキシコの財政運営を評価
*メキシコ大統領 フェンタニル“過去最多押収” 取締りアピール
*ペソ安に介入不要、メキシコ中銀ロドリゲス総裁
*司法制度の混乱続く、最高裁判事8名が同時に上院に辞表
*IMF成長見通し下方修正。メキシコ中銀、OECD、世銀に続く
(ペソ急落、再びトランプ大統領、メキシコからの輸入品に25%の関税を課すと発言)
トランプ大統領は就任演説で貿易制度の見直しやフェンタニル抑制のために輸入品に関税を課すと強調していた。一時政府高官やメキシコ大統領から「関税は課さないのではないか」という発言もあったが、昨日、トランプ大統領は再び2月1日からメキシコやカナダからの輸入品に25%の関税を課すと明らかにした。ペソは7.55から7.42まで急落。
(トランプ発言後の為替相場)
1月30日のトランプ関税発言の相場。やはり関税引き上げのターゲットがメキシコとカナダであったので両国の通貨が以下のように急落した。ペソが対円で1.46%安、カナダドルが1.17%安。
株価指数は好調で5.12%高、10年国債利回りは10.37%で昨年末の10.83%から低下している。
(コロンビア騒動でペソも下落)
トランプ大統領が1月27日コロンビアが米国から強制送還された不法移民を乗せた軍用機2機の着陸を拒否したことを受け、25%の関税や制裁などの報復措置を取ると表明したことで、メキシコへもその影響が波及するとの連想でペソが7.65円から7.43まで売られた。コロンビアは一転、着陸を許可しペソは7.57まで回復していたが、昨日のトランプ大統領のメキシコへの関税賦課発言で再びペソは下げた。
(1月前半の消費者物価)
「消費者物価が4%を割り込んでいく」としたヒース中銀副総裁の示唆通り、1月前半の消費者物価は総合が3.69%で前回の4.44%から低下した。コアは3.72%、前回は3.62%。次回政策決定会合は2月6日。最新の議事要旨は「ディスインフレの進展を踏まえ、慎重な姿勢は維持しつつも、一部の会合ではより大幅な金利の下方調整が検討される可能性がある」と利下げを示唆している。
(2024年4QのGDPは予想外に大きく減速)
2024年4QのGDPは前年比で0.6%増。予想の1.2%増、3Qの1.6%増から大きく減速した。
農畜産業などの第1次産業が8.9%減と大きく落ち込んだ。トランプ大統領による新たな関税など厳しい政策が、輸出に依存するメキシコ経済をさらに下押しする圧力となる可能性がある。
12月失業率は2.4%、日本よりも低く世界で一番低い失業率だ。前回は2.6%。
既に発表された12月貿易収支は25.67億ドルの黒字、予想の15億ドルの黒字。前月の1.3億ドルの赤字を上回った。米国の関税引き上げを懸念して前倒しの輸出が増加した。
(米次期商務長官のラトニック氏の発言は)
トランプ米政権の商務長官に指名された実業家のラトニック氏は1月29日、米連邦議会上院の指名公聴会で、カナダとメキシコが合成麻薬フェンタニルの密輸対策を強化すれば関税を回避できると述べていたが、昨日のトランプ大統領の関税賦課発言が再び出た。