ワンルームマンション投資の相場や価格推移|購入すべき物件とは?
(画像=garage38/stock.adobe.com)
丸山 優太郎
丸山 優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している。

ワンルームマンションは、ローンを活用することで少ない手持ち資金で不動産投資を始めることができる投資物件です。一方で、マンション価格の高騰が連日話題となり、価格の動向が気になっている方は多いのではないでしょうか。本記事では、ワンルームマンションを含む区分マンション価格の相場や価格推移を紹介します。

目次

  1. 1.投資用マンションの価格相場と傾向
    1. 1-1.不動産価格指数
    2. 1-2.区分マンションの価格と利回りの推移
  2. 2.区分(ワンルーム)マンション投資の価格相場
    1. 2-1.新築区分(ワンルーム)マンション
    2. 2-2.中古区分(ワンルーム)マンション
  3. 3.物件価格以外でかかる費用にも要注意
    1. 3-1.仲介手数料
    2. 3-2.登録免許税
    3. 3-3.司法書士への報酬
    4. 3-4.印紙税
    5. 3-5.固定資産税・都市計画税
    6. 3-6.不動産取得税
    7. 3-7.ローンの事務手数料
    8. 3-8.ローン保証料
    9. 3-9.火災保険料・地震保険料
    10. 3-10.修繕積立金
  4. 4.中古物件の価格決定で重視される収益還元法
    1. 4-1.利回りとは
    2. 4-2.収益還元法での物件価格計算方法
  5. 5.マンション経営は物件選びと不動産会社の選択が重要

1.投資用マンションの価格相場と傾向

ワンルームマンション投資の相場や価格推移|購入すべき物件とは?
(画像=William W. Potter/stock.adobe.com)

はじめに、投資用マンションの価格相場の傾向を確認します。マンションの価格動向を知るには、不動産価格指数が参考になります。また、マンション価格の相場については各種不動産サイトの調査データで確認することができます。

1-1.不動産価格指数

不動産価格指数は、ある年の不動産価格を100とし、現在の価格と比較して全国の不動産価格の動向を月単位で表す指標です。最新の数値は、毎月公表される国土交通省のプレスリリースで確認することができます。また、「不動産価格指数」のページで、2018(平成30)年以降の数値を調べることも可能です。

▽物件タイプ別不動産価格指数(2024年9月分) 2010年平均=100

住宅総合 住宅地 戸建住宅 マンション(区分所有) マンション・アパート(一棟)
141.3 117.6 118.9 207.1 167.8

2024(令和6)年9月分の物件タイプ別の不動産価格指数は、2010年平均を100とした数値で、住宅総合が141.3、住宅地が117.6、戸建住宅が118.9、マンション(区分所有)が207.1となっています。

2010年と比べて住宅地と戸建住宅が約1.2倍、住宅総合が約1.4倍になったのに対し、マンション(区分所有)は2倍を超える高い伸びを示しています。一方、マンション・アパート(一棟)の指数は167.8に止まっているので、指数面ではマンション(区分所有)が優位に立っています。

1-2.区分マンションの価格と利回りの推移

不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家(けんびや)」が公表している「収益物件市場動向マンスリーレポート2024年12月期」によると、区分マンションの価格と利回りは、以下のように推移しています。

▽区分マンションの利回りと価格の推移(全国平均)

2023年12月
利回り 6.79%
価格 1,833万円
2024年1月 2024年2月 2024年3月 2024年4月 2024年5月 2024年6月
利回り 6.71% 6.83% 6.94% 6.87% 6.93% 6.74%
価格 1,936万円 1,935万円 1,837万円 1,940万円 2,030万円 2,030万円
2024年7月 2024年8月 2024年9月 2024年10月 2024年11月 2024年12月
利回り 6.53% 6.58% 6.65% 6.72% 6.57% 6.63%
価格 2,118万円 2,329万円 2,186万円 2,119万円 2,232万円 2,238万円

区分マンションの価格は、2024年に飛躍的に上昇し、2024年12月と前年同期を比較すると、22.1%も値上がりしました。半面、利回りは-0.16%で微減の傾向となっています。

▽物件タイプ別利回りと価格の年間推移

2023年12月 2024年12月 伸び率
区分マンション 利回り 6.79% 6.63% -0.16%
価格 1,833万円 2,238万円 +22.1%
一棟アパート 利回り 8.06% 8.18% +0.14%
価格 7,857万円 7,794万円 -0.80%
一棟マンション 利回り 7.64% 7.87% +0.23%
価格 1億8,025万円 1億7,651万円 -2.12%

物件タイプ別に1年前の数値と比較すると、区分と一棟では異なる傾向が見えます。区分マンションは価格が上がった分利回りは低下し、一棟物件は価格が下がった分利回りは向上しました。

2.区分(ワンルーム)マンション投資の価格相場

ワンルームマンション投資の相場や価格推移|購入すべき物件とは?
(画像=Andrii Yalanskyi/stock.adobe.com)

ワンルームマンションを含む区分マンションの価格相場を新築と中古に分けて見てみましょう。区分マンションは価格が上昇している一方で、利回りは微減の傾向にあります。

2-1.新築区分(ワンルーム)マンション

株式会社不動産経済研究所が公表している「全国新築分譲マンション市場動向2023年」によると、主要都府県の2019~2023年の新築区分マンション価格は、以下のように推移しています。新築ワンルームマンションもほぼ連動した動きになっているものと予測できます。

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
東京23区 7,286万円 7,712万円 8,293万円 8,236万円 1億1,483万円
東京都下 5,487万円 5,460万円 5,061万円 5,233万円 5,411万円
神奈川県 6,069万円 5,411万円 5,270万円 5,436万円 5,295万円
埼玉県 4,513万円 4,565万円 4,801万円 5,267万円 4,870万円
千葉県 4,399万円 4,377万円 4,314万円 4,603万円 4,786万円
大阪府 3,820万円 4,250万円 4,757万円 4,683万円 4,435万円
兵庫県 4,121万円 4,300万円 4,533万円 4,456万円 5,139万円
京都府 3,521万円 3,706万円 3,960万円 4,927万円 5,488万円
奈良県 3,837万円 4,042万円 4,292万円 4,304万円 4,558万円
滋賀県 3,819万円 3,838万円 4,017万円 4,315万円 4,159万円
和歌山県 4,325万円 3,662万円 3,662万円 3,655万円 4,237万円

新築マンション価格で注目すべきは、コロナの影響が社会に広がった2020年以降も、物件価格は一貫して上昇を続けていることです。オフィスビルやテナントビルはコロナの影響で空室が増えたことを思うと、居住用不動産の優位性が改めて浮き彫りになりました。

特に新築ワンルームマンションは、入居者を確保しやすいことから、不動産投資を始めたい初心者に適した物件タイプとして注目されています。

2-2.中古区分(ワンルーム)マンション

前出した健美家が公表している「収益物件市場動向四半期レポート2023年7~9月期」「同2024年7~9月期」によると、主要都市の中古区分マンションの価格は、以下のとおりとなっています。

2023年7~9月 利回り 2024年7~9月 利回り
札幌市 746万円 11.73% 1,184万円 11.10%
仙台市 1,945万円 11.18% 2,183万円 10.72%
東京23区 2,531万円 5.57% 2,928万円 5.33%
東京市部 1,482万円 8.05% 2,029万円 6.91%
川崎市 1,748万円 6.62% 1,935万円 6.75%
横浜市 1,499万円 7.42% 1,734万円 7.18%
埼玉主要市 1,727万円 7.05% 1,871万円 6.87%
千葉主要市 1,359万円 8.37% 1,833万円 7.61%
名古屋市 1,784万円 7.47% 2,321万円 7.01%
京都市 1,268万円 6.85% 1,562万円 6.36%
大阪市 1,405万円 6.34% 2,005万円 5.92%
神戸市 1,088万円 8.31% 1,340万円 7.79%
広島市 636万円 10.77% 1,193万円 9.83%
福岡市 1,064万円 7.61% 1,327万円 6.98%

中古区分マンションは利回りが高いですが、それは表示されている利回りが諸経費を含まない表面利回りのためです。新築区分マンションに比べて価格が安いため利回りは高めに出ますが、空室リスクが高い点は注意が必要です。表示されている利回りが諸経費を含まない表面利回りのため、実際の利回りはもう少し低くなる可能性があることは留意しておきましょう。

中古ワンルームマンションは、想定よりも入居者が集まらない事態が発生しやすく、修繕も発生しやすいので、不動産投資初心者は特に慎重な見極めが必要です。

3.物件価格以外でかかる費用にも要注意

ワンルームマンション投資の相場や価格推移|購入すべき物件とは?
(画像=78art/stock.adobe.com)

ワンルームマンションを購入するには、物件価格以外にもさまざまな諸経費がかかります。代表的な費用として以下の項目を把握しておく必要があります。

3-1.仲介手数料

不動産会社の仲介で物件を購入した場合は、下記の速算表を使って計算した仲介手数料を支払います。ただし、新築マンションの場合はデベロッパーを兼ねた不動産会社が直接販売するので、原則として仲介手数料はかかりません。

仲介手数料=売買価格×3%+6万円+消費税(売買価格が400万円超の場合)

3-2.登録免許税

登録免許税は、不動産を登記する際に法務局に支払う税金です。マンションを購入した場合、登録免許税の税率は以下のとおりとなります。

・所有権保存登記(新築マンションを購入した場合)
法務局の認定価格×0.4%

法務局認定価格は鉄筋コンクリート造の場合、1平方メートル単価が16万6,000円です。

・所有権移転登記(中古マンションを購入した場合)
固定資産税評価額×2.0%

・抵当権設定登記(ローンを組む場合)
借入額(債権額)×0.4%

3-3.司法書士への報酬

不動産登記を司法書士に依頼した場合は、司法書士報酬を支払う必要があります。報酬の相場は、日本司法書士連合会が司法書士に行ったアンケート調査によると、物件価格1,000万円の場合で所有権保存登記が平均2万9,060円、同じく所有権移転登記が5万6,678円、抵当権設定登記が平均4万2,699円となっています。

3-4.印紙税

売買契約書に売買価格ごとに定められた額の印紙を貼付することで印紙税を納税します。売買価格の区分ごとの印紙税額は下表のとおりです。

2027年3月31日までは、不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるものは、印紙税の税額が軽減されます。一例として、物件価格3,000万円の場合の印紙税額は1万円です。

▽印紙税税額表(不動産)

記載された契約金額 本則税額 軽減後の税額
1万円未満 非課税 非課税※
10万円以下 200円 200円※
10万円を超え50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え100万円以下のもの 1,000円 500円
100万円を超え500万円以下のもの 2,000円 1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの 1万円 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円
契約金額の記載のないもの 200円 対象外

3-5.固定資産税・都市計画税

固定資産税都・都市計画税はその年の1月1日時点で不動産等の固定資産を所有している人にかかる税金です。購入した年の固定資産税・都市計画税は中古と新築で以下のように対応が分かれます。

・中古マンションを購入した場合
引き渡し日以降の固定資産税・都市計画税を買主が負担することになっているため、日割りで固定資産税・都市計画税を精算します。

・新築マンションを購入した場合
年度途中の購入の場合、初年度の固定資産税・都市計画税は原則としてかかりません。

3-6.不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物等の不動産を取得したときにかかる税金です。不動産取得税の税率は以下のとおりです。軽減税率は2027年3月31日までの期間限定で適用されます。

本則税率 軽減税率
宅地 固定資産税評価額×4.0% 固定資産税評価額×1/2×3.0%
住宅 固定資産税評価額×4.0% 固定資産税評価額×3.0%

3-7.ローンの事務手数料

不動産投資ローンを組む場合、金融機関に事務手数料を支払う必要があります。事務手数料には、決まった率で支払う「定率型」と金額が決まっている「定額型」の2種類があります。相場は定率型が融資額の1~3%程度、定額型が30万円程度です。

3-8.ローン保証料

不動産投資ローンを組んで返済できなくなった場合に、保証会社が金融機関にローン残額を支払う契約を結ぶために必要な費用がローン保証料です。相場は一括前払いの場合が融資総額の2%程度、金利に上乗せする場合が年率0.2~0.3%程度です。

3-9.火災保険料・地震保険料

不動産投資ローンの融資を受ける際は、火災保険への加入が条件になるのが一般的です。地震保険とセットで加入しておくと安心です。保険料(地震保険付き)は5年契約一括払いで1年当たり平均1万5,000円程度(保険金額:建物1,000万円、家財800万円)が相場となっています。

3-10.修繕積立金

分譲マンションを購入した場合は、管理組合に修繕積立金を納める必要があります。修繕積立金は、大規模修繕工事や共用設備、各住戸の共用部分、機械式駐車場、エレベーターなどのメンテナンス費用に使われます。国土交通省が行った「令和5年度マンション総合調査」によると、1戸当たりの修繕積立金の月額は1万3,054円です。

4.中古物件の価格決定で重視される収益還元法

ワンルームマンション投資の相場や価格推移|購入すべき物件とは?
(画像=sommart/stock.adobe.com)

中古物件で価格を決定する際に重視されるのが収益還元法です。不動産投資における利回りの種類と、収益還元法での物件価格の計算方法を確認しておきましょう。

4-1.利回りとは

不動産投資の利回りにはいくつかの種類があります。代表的な利回りが以下の3つです。

4-1-1.表面利回り

表面利回りは、諸経費を含ます物件購入価格に対する年間家賃収入の割合を示す指標です。計算式は、「表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格×100」です。

4-1-2.実質利回り

実質利回りは、表面利回りに購入時諸費用や年間諸経費を加味して計算する指標です。計算式は、「実質利回り=(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件購入価格+購入時諸費用)×100」です。

4-1-3.想定利回り

想定利回りは、アパートなど複数の部屋を所有している場合、満室を想定した年間家賃収入を物件価格で割って計算する指標です。計算式は、「想定利回り=満室時の年間家賃収入÷物件購入価格×100」です。

区分ワンルームマンションで想定利回りを使うことはありませんが、物件広告では想定利回りが表示されている場合もあるので注意が必要です。

4-2.収益還元法での物件価格計算方法

収益還元法は、その物件が将来生み出す収益力を基準にして不動産価格を決定する方法です。計算式は、「不動産価格=年間純利益÷還元利回り」です。

最もわかりやすい「直接還元法」で算出した不動産価格の例は以下のとおりとなります。

【設定条件】
年間家賃収入120万円、年間諸経費24万円、還元利回り5%
年間純利益96万円を還元利回り5%で割って計算。
96万円÷5%=1,920万円

直接還元法で算出されたこの物件の価格は1,920万円が妥当と判断できます。

5.マンション経営は物件選びと不動産会社の選択が重要

ワンルームマンション投資の相場や価格推移|購入すべき物件とは?
(画像=David/stock.adobe.com)

ワンルームマンション投資では2つの大事な選択局面があります。

1つは物件選びです。ワンルームマンションの入居者は単身会社員や学生がメインになるので、駅から近いことが物件選びの必須条件になります。具体的には「大都市圏の駅徒歩10分以内」にある物件です。東京23区、横浜、名古屋などの大都市圏は交通の便が良いため、単身者の需要が見込めます。ワンルームマンション投資は、家賃や価格が下落しづらい物件を選ぶことが重要です。

2つめが不動産会社の選択です。不動産投資は長期的視点に立って行うものであり、パートナーとなる不動産会社が安定したマンション経営を行うために大きな役割を果たします。不動産会社を選択するポイントは、ワンルームマンションの販売実績が豊富で、販売から管理までワンストップで行う総合不動産会社であることです。販売だけを行う不動産会社は「売って終わり」になる可能性が高いので避けたほうが無難でしょう。

良い不動産会社を選択できれば、最適な物件を紹介してくれることが期待できます。信頼と実績のある不動産会社をパートナーにして、マンション経営に取り組みましょう。

※本記事は2025年1月14日現在の情報を基に作成しています。記事中で紹介した各種データは変化しますので、参考程度にご覧ください。

(提供:Dear Reicious Online



【オススメ記事 Dear Reicious Online】
40代からの将来設計。早いほどおトクなマンション経営
マンション経営の物件選び!初心者がまず知っておきたい必須のポイント
少子高齢化社会が不動産の可能性に与える影響
「働く」だけが収入源じゃない 欧米では当たり前の考え方とは
実は相性がいい!?不動産×ドローンの可能性