
総括
FX「円独歩高でリラが安い。トルコの外貨預金比率は34.25%」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価16位)
予想レンジ トルコリラ/円3.8-4.3
*円独歩高でリラ安。スワップ益がまだリラ下落についていけず
*トルコの外貨預金比率は34.25%
*政策金利は2.5%引き下げ
*中銀への外貨売却率低下
*トルコの工業生産は3年連続で拡大
*リセッション抜け出す、2024年のGDP成長率は3.2%
*2025年は3%成長予想、EBRD
*ビジネス界が政府を批判し拘束される
*財務相は正統派経済を貫くが、国民はまだリラを全面的に信頼せず
*企業と消費者の信頼感は改善
*中銀総裁が警告=金融政策は自動操縦ではない
*中銀、インフレ予想を21%から24%に上方修正
*さらなる利下げを宣言、エルドアン大統領
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
(円独歩高でリラが大きく引き離されている)
再び年初来安値圏で推移している。年初来9.05%安。現在スワップ金利は年率約30%、1か月単位では2.5%なので、2か月のスワップ5.0%では下落幅9.05%を賄えない。これは今年は過去4年と異なり円が強すぎるということにある。
対ドルでは年初来2.96%安。
(株価、長期金利)
株価指数(イスタンブール100指数)は年初来で6.02%高、一時マイナス圏に陥っていたが、欧州株価指数の急騰に連れ、また悪くはない経済指標もあり回復してきた。
10年国債利回りは25.94%(年初の27.15%からは低下)
(トルコの外貨預金比率は34.25%)
トルコの居住者の個人と企業の預金は18.1兆リラ、うちリラ預金は11.9兆リラ、外貨預金は6.2兆リラ。外貨預金比率は34.25%、2025年2月末。ちなみに日本の外貨預金比率は0.7%程度。
経済は正統派政策で改善しているが、国民の外貨選好は変わっていないことがリラ安の要因だ。
(政策金利は2.5%引き下げ)
トルコ中銀は3月6日、政策金利を2.5%引き下げ、42.5%とした。直近の2月のインフレ率が鈍化したことが要因。下げ幅は予想通り。利下げは3会合連続となり、下げ幅はいずれも2.5%。
2月のインフレ率は前年同月比で39.5%。75%を超えてピークを記録した昨年5月と比べると伸び率は大幅に縮小しており、中銀は今後数年のうちに目標5%に向けて持続的に縮小するとの見解を示している。
(外貨売却率低下)
トルコ中銀は、輸出業者が銀行に売却しなければならない外貨収入の割合を30%から25%に引き下げたと明らかにした。
中銀としては、それほどリラ相場を高め誘導しようとは考えていないようだ。
(トルコの工業生産は3年連続で拡大)
1月の工業生産は前年比で3月連続の増加を記録したが、前月に比べると減少したと発表した。1月の工業生産指数は前年比1.2%増加した。
シムシェキ財務大臣は、年間ベースで工業生産にプラスの貢献をしている部門の数が増加しており、経済活動の緩やかな回復が全体に広がっていると述べた。
エネルギー指数は6.3%上昇し、製造業指数は1.2%増加し、電気・ガス・蒸気・空調供給指数は5%上昇した。
一方、鉱業・採石業指数は前年比0.7%下落、非耐久消費財指数は前年比1.4%下落、中高度技術指数は前年比3.8%下落した。
トルコの製造業は、高金利の重圧にもかかわらず、一部地域の需要の強さと生産動向により、昨年はかなり安定していた。最新データによると、2024年4QGDPは前年比3%増加し、通年では予想を上回り3.2%の成長となった。