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高金利3通貨(メキシコペソ、南アフリカランド、トルコリラ)についての解説要約:
メキシコ:不安定な立場が続く
メキシコは現在、トランプ政権との関税問題で緊張状態にあります。メキシコの大統領は理科系出身の指導者であり、理論的かつ論理的な交渉アプローチで一定の成果を上げています。
具体的には、トランプ政権が当初2月に予定していた追加関税の発動を3月へ、さらに4月2日へと延期させることに成功しました。しかし、これは根本的な解決ではなく、さらなる延期や条件変更の可能性も残されており、不安定な状況が続いています。
メキシコとアメリカは経済的に深く結びついており、メキシコはアメリカにとって重要な農産物の供給源である一方、アメリカから鉄鋼やアルミを輸入しています。このような相互依存関係があるため、トランプ氏も一方的に関税措置を推し進めることが難しい状況です。
経済指標面では、メキシコの景気にはやや陰りが見え始めており、インフレ率は目標の2〜4%の範囲内で3%程度で推移しています。この状況を受けて、次回の金融政策では0.25%の利下げが予想されています。市場は不安定ながらも、ドルよりも強い通貨を維持し、株価もアメリカより堅調に推移している点が注目されます。
南アフリカ:収用法問題とマスク氏の影響
南アフリカは収用法をめぐってトランプ政権と対立しています。この法律は表面的には、白人が所有する土地を公共目的のために取り上げるものと見られていますが、実際には現在使用されていない土地や所有者不明の土地を整理することが主な目的です。南アフリカの白人は国土の80%以上を所有しているという背景があり、この法律が即座に白人居住者に大きな影響を与えるものではありません。
しかし、南アフリカ出身のイーロン・マスク氏がトランプ大統領に南アフリカに関する否定的な情報を伝えている可能性があります。マスク氏は南アフリカのアパルトヘイト後の政策に不満を持っていると見られています。特に「スターリング」と呼ばれる南アフリカの黒人経済振興政策(会社設立には黒人資本が必要、取締役会に黒人メンバーを入れる必要があるなど)に対して反発しており、これがマスク氏の南アフリカに対する批判的姿勢につながっています。
南アフリカは現在、財政政策の問題も抱えています。投資適格級への格上げを目指して財政赤字削減のための増税を検討していますが、連立内閣内の反対派がこれに抵抗しており、政治的な混乱が長期化する可能性があります。わずかな明るい材料としては、これまで続いていた停電問題が最近になって解消されつつあることが挙げられます。
トルコ:高金利と外貨依存の構造的問題
トルコ経済は多くの良好な指標を示しています。GDPはプラス成長に転じてリセッションから脱し、工業生産やPMI(購買担当者景気指数)などの経済指標も堅調です。しかし、トルコリラは依然として弱い状態にあり、これは構造的な問題に起因しています。
最も注目すべき点は、トルコ国民の約34%が外貨預金を保有しているという事実です。これは日本の0.7%と比較して極めて高い比率です。この状況はトルコにおけるインフレの「悪のスパイラル」を示しています:リラの弱体化が物価上昇を引き起こし、これがさらにリラの弱体化を招くという悪循環です。
過去にリラは1ドル=3リラから36リラへと約10倍も減価しました。これを日本に当てはめると、75円から750円または1,000円近くになるような変動です。このような通貨不安から、トルコ国民は自国通貨への信頼を失い、外貨保有に走っています。
トルコへの外国人観光客(主にロシアとドイツから)は増加していますが、得られた外貨がリラに換金されずにユーロのまま保有される傾向があります。トルコ中央銀行は以前、輸出企業に対して受け取った外貨の30%をリラに換金するよう義務付けていましたが、最近この比率を25%に引き下げており、リラ高を積極的に目指す姿勢は弱まっています。
現在のトルコは武器輸出(特にドローン)が伸びており、一部の企業からはリラ安が輸出競争力を高めるという意見も出ています。しかし、高インフレと通貨不安という根本的な問題が解決されない限り、トルコ経済の安定は難しい状況が続くでしょう。


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