メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「米墨関税協議は冷静。ペソ年間3位、月間4位。株も通貨も米国より強い」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.1-7.6

(通貨3位、株価5位)

 (ポイント)
*米墨関税協議は意外と冷静に推移、ヒステリックにもならない
*ペソ年間3位、月間4位。株も通貨も米国より強い
*USMCA同時リセッションもあるが、関税でライバル国の結びつきが強化される意見もあり
*2月CPIは前年比+3.77%に加速 0.5%追加利下げか
*指標は引き続き弱い
*次回政策金利決定は3月27日
*トランプ大統領、メキシコからの輸入品関税 4月2日まで猶予
*サプライチェーンの変更は困難、追加関税を待つメキシコの日本企業
*24年の米国への貿易黒字は過去最高を記録
*S&Pがメキシコの財政運営を評価
*ペソ安に介入不要、メキシコ中銀ロドリゲス総裁
*司法制度の混乱続く、最高裁判事8名が同時に上院に辞表
*IMF成長見通し下方修正。メキシコ中銀、OECD、世銀に続く

(ペソ年間3位、3月月間4位。株も通貨も米国より強い)
 引き続きペソは対円では弱く、対ドルでは強い。年初来で対円2.52%安、対ドル3.59%高。頻繁に打ち出され、また変更されるトランプ関税政策でもペソは急落もせず耐えている。 株価(ボルサ指数)は米株より強く年初来4.77%高、10年国債利回りは9.88%(年初は10.83%)。

(米墨関税協議はヒステリックにもならない)
 シェインバウム大統領は、米国の関税の猶予を達成するために対話と尊重が有効だったとし、メキシコの主権が常に最優先だと語った。
 メキシコが米国経済にもたらす経済的貢献を強調。その上で「われわれは主権を放棄することはできないし、外国の政府や覇権国家の決定によって国民が左右されることもない。その場合にはわれわれはいつでも即座に行動する」と演説した。
 「両国の共通の歴史は多くの敵対的なエピソードに彩られているが、多くの協力と理解のエピソードにも彩られている」とも述べた。
 米政権は3月4日、メキシコからの輸入品に25%の新たな関税を賦課。シェインバウム大統領は報復関税を含む対応の詳細を発表するとしていた。
 しかし、トランプ米大統領は6日、シェインバウム氏との協議を経て、25%関税について「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」対象の製品に関しては4月2日まで関税を免除すると表明。

(2月CPIは前年比+3.77%に加速 0.5%追加利下げか)
 2月の消費者物価は前年同月比3.77%上昇した。伸びは前月の3.59%から加速したが、2-4%の中銀目標範囲内に収まった。予想と一致し、27日の次回金融政策決定会合での0.5%利下げの余地が残された。
 中銀はインフレ改善と経済活動の減速を背景に金融緩和サイクルを推進。先月には、昨年の5回にわたる0.25%の利下げに続き、政策金利を0.5%引き下げて9.5%としたほか、今後も同様の調整を検討する可能性があるとの見通しを示した。
 変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比3.65%上昇、予想は3.62%上昇だった。
 2月の総合インフレ率の上昇は完全に非コアインフレによるもので、中銀にとって大きな懸念事項にはならないだろう。実際、中銀は経済の弱さから0.5%の追加利下げを行う公算が大きいとみられている

(指標は引き続き弱い)
 弱い指標が続いている。2月消費者信頼感指数は46.3、前回は46.6。1月鉱工業生産は前年比で2.9%減、前回は2.7%減。米国同様に景気減速が気になる。

(USMCA同時リセッション?)
 メキシコ経済は、トランプ米大統領の関税政策がもたらす混乱が響き、景気後退に突入しつつあるもようだ。
 昨年4QGDP前期比0.6%減。今年1Qも減少しそうで、景気後退となる。
 トランプ氏の大統領就任前からメキシコ経済は、干ばつなどの影響で悪化していた。そこに関税の脅しが加わり、経済活動が一段と萎縮している。
 USMCAの先行き不透明感を踏まえると、メキシコと米国、カナダはいずれも景気後退入りのリスクが高まっているとの見方が示されている。