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高金利3通貨(メキシコペソ、南アフリカランド、トルコリラ)についての解説要約:

メキシコペソ:対米交渉で存在感を示す

メキシコペソは好調な推移を継続しており、最近では4ヶ月ぶりに1ドル20ペソを割り込む水準まで強くなっています。この強さの背景には、アメリカとの関税引き上げ交渉において、シェインバウム大統領(ノーベル賞受賞者)の交渉力が際立っていることが挙げられます。
当初2月に予定されていた関税引き上げは、3月、そして4月へと延期されており、メキシコ側の時間稼ぎ戦略が功を奏しています。メキシコはアメリカにとって欠かせない貿易相手国であり、関税が引き上げられれば自動車価格が1万ドル程度高騰する可能性も指摘されています。
政策金利面では、3月27日に0.5%の利下げが予想されています。インフレ率は3.77%と目標範囲内(2〜4%)にあり、経済減速も相まって利下げの環境が整いつつあります。一方で景気面では、OECDが成長見通しを前回から2.5%下方修正して-1.3%としており、インフレ見通しは4.4%に上方修正されています。

南アフリカランド:米国との摩擦にも関わらず堅調

南アフリカランドも好調を維持しており、年間ベースでは通貨ランキング4位の強さを示しています。株価も5%高と好調です。政策金利は7.5%で据え置きが予想されており、近年はインフレのリバウンド傾向がみられることから、利下げは見送られる見通しです。
アメリカとの関係は非常に良くない状況が続いています。主な原因はイスラエルを「大虐殺者」と批判したことに始まり、その後も南アフリカの収容法や南アフリカ大使によるトランプ政権批判などで関係がさらに悪化しています。
しかし、経済面ではOECDが成長見通しを1.6%(0.1%上方修正)、インフレ見通しを4.0%(0.1%上方修正)としており、比較的良好な見通しとなっています。南アフリカは重要な資源国であることから、中国やEUが南アフリカとの経済関係強化に動いている点も、ランドの買い材料となっています。

トルコリラ:経済成長と為替のねじれ現象

トルコの経済成長は驚異的で、2024年第4四半期のGDP成長率はG20諸国で最も高い1.7%を記録しました(G20平均は0.9%)。OECDは今年の成長率を3.1%(0.5%上方修正)と予想しています。
この経済成長の強さを背景に株価は好調ですが、不思議なことに通貨リラだけが弱い状態が続いています。中央銀行は「現在の金融政策でリラは自然に上昇し、外貨預金よりもリラ預金が選好されるようになっている」と主張していますが、依然として約30%という非常に高い外貨預金比率がリラ高の足を引っ張っている状況です。
トルコに関しては、長期保有できれば良いリターンが期待できるものの、時間がかかる点が高金利通貨の特性として指摘されています。

外為マーケットビュー
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)
野村雅道
野村雅道氏
FX湘南投資グループ代表 1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。 87年米系銀行へ転出。外資系銀行を経て欧州系銀行外国為替部市場部長。外国為替トレーディング業務ヴァイスプレジデントチーフディーラーとして活躍。 財務省、日銀および日銀政策委員会などの金融当局との関係が深く、テレビ・ラジオ・新聞などの国際経済のコメンテイターとして活躍中。為替を中心とした国際経済、日本経済の実践的な捉え方の講演会を全国的に行っている。現在、FX湘南投資グループ代表。

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