
総括
FX「米国関税の一部免税でペソは安定、株価上昇。景気減速、利下げは注意」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.1-7.6
(通貨5位、株価5位)
(ポイント)
*関税発動、政策金利引き下げもペソは安定、株価は上昇
*輸出自動車の米国製部品使用は関税を免除
*メキシコ政府の対応は
*メキシコ中銀 2回連続で0.5%の利下げ
*指標は引き続き弱いが小売売上が9か月ぶり増加
*自動車輸入は安全保障の脅威か。米国の追加関税は1962年の法律に基づく
*OECDの成長見通しは大幅下方修正
*USMCA同時リセッションもあるが、関税でライバル国の結びつきが強化される意見もあり
*サプライチェーンの変更は困難、追加関税を待つメキシコの日本企業
*24年の米国への貿易黒字は過去最高を記録
*S&Pがメキシコの財政運営を評価
*ペソ安に介入不要、メキシコ中銀ロドリゲス総裁
*司法制度の混乱続く、最高裁判事8名が同時に上院に辞表
(関税発動、政策金利引き下げもペソは安定、株価は上昇)
ペソは年初来5位。関税発動、政策金利引き下げもペソは安定、株価は上昇。年初来では対円1.33%安。対ドルは年初来2.65%高。ボルサ株価指数も年初来8.01%高。10年国債利回りは9.81%。
(輸出自動車の米国製部品使用は関税を免除)
トランプ大統領は「米国産以外の全ての自動車」に25%の関税を課す」と発表したが、メキシコで組み立てられた自動車の米国製部品は関税を免除され、メキシコ製自動車の実質的な関税は引き下げられる。
この関税は特定の自動車部品に適用され、来週の木曜日4月3日に発効する予定だが、
米国・メキシコ・カナダ貿易協定(USMCA)に準拠するメキシコの部品には直ちに課税されないようだ。
(メキシコ政府の対応)
エブラルド経済相は、メキシコで製造される自動車部品を米国の関税から保護し、優遇措置を模索するため、米当局者と協議していると明らかにした。
また、メキシコのシェインバウム大統領は、米国が新たな相互関税を発表する4月2日以降に、包括的な対応策を公表する考えを示した。
(メキシコ中銀 2回連続で0.5%の利下げ)
メキシコ中銀は3月27日、政策金利を0.5%引き下げ、9.0%とした。決定は全会一致で、予想通り。貿易を巡る不確実性が高まり、国内経済が弱体化する中、2回連続で0.5%の幅での利下げに踏み切った。中銀は今後の会合でも0.5%の利下げを検討する可能性があるとした。
インフレは、3月前半の総合インフレ率は3.67%と、前月の3.74%から低下。インフレターゲット(3%の上下1%内)に収まっている。市場は年末の政策金利予想は7.75%を予想している。
ただ中銀は「米国新政権による経済政策の変更により、予測の不確実性が高まっている」とも警告しており、まずはトランプ政権が4月2日まで多くを猶予しているメキシコ製品に対する25%関税の最終判断が注目される。
(指標は引き続き弱いが小売売上が9か月ぶり増加)
米国同様に景気減速が気になる。2月消費者信頼感指数は46.3、前回は46.6。1月鉱工業生産は前年比で2.9%減、前回は2.7%減。ただ1月小売売上は前年同月比は2.7%増で前月の0.2%減を大きく上回った。9か月ぶりの増加はネット商取引が支えた。