ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「不確実性拡大。ドルと米株が不安も一時的なドル高は米へのリパトリと6月のクセ」

ドル円=142-147、ユーロ円=164-169、ユーロドル=1.13-1.18

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨4位(4位)、株価18位(18位)、「資産所得倍増政策」の次は「GDP1000兆円」の公約」
(岸田首相の未達の「資産所得倍増政策」の次は「GDP1000兆円」の公約」
 「資産所得倍増政策」も「GDP1000兆円」の公約も達成して欲しいが具体策が見えてこない。石破首相は、夏の参院選で2040年に名目GDP1000兆円の経済を目指すとともに、平均所得を現在から5割以上上昇させることを1番目の公約に掲げるよう党幹部に指示したと明らかにした。

(円4位、株は弱い)
 円は先週も年初来4位で終わる。株価は相変わらず弱く5.16%安。10年国債利回りは1.402%(5月末は1.505%

(今週は日銀金融政策決定会合、実績はどうなのか)
 日銀が今週の金融政策決定会合で議論する2026年4月以降の国債買い入れについて、現行計画の毎四半期4000億円の減額幅をほぼ半減させる可能性があるとの見方が強い
 日銀は16、17日の会合で、昨年7月に決めた26年1-3月までの国債買い入れ減額計画の中間評価と4月以降の買い入れ方針を議論する。現行計画では月間買い入れ額を昨年7月の5.7兆円程度から毎四半期4000億円程度減らし、来年1-3月に2.9兆円程度とする。市場では来年4月以降の新計画の減額ペースと期間に注目している。(ただ1Qはマイナス成長、先週の景気予測調査も悪化している。日銀も.効果のない政策より
 景気浮揚策を出さなければならない)。

(貿易、外貨投信需給)
 ドル円の需給では依然、貿易黒字にはなっていないが赤字が縮小する傾向が続いている。中東緊張で原油価格が80ドルを越えれば赤字縮小のペースは落ちるだろう。
 外貨投信の残高減少も円高要因となっている。今週は5月貿易統計の発表がある。

(新日鉄のUSスチールへ投資は)
 米国政府が日本製鉄によるUSスチールへの投資計画を承認した。2028年までに約110億ドルを投資する。円資金で投資すれば為替は起きるが、ドル融資を受ければ為替は起きない。

(関税交渉)
 石破首相は、現在進められている日米交渉について「早期に合意することを優先するあまり、日本の国益を損なうことはない」と述べた。(ここは踏ん張りどころだ)

*米ドル「通貨11位(11位)、不確実性拡大。ドルと米株が不安も一時的なドル高は米へのリパトリと6月のクセ」
(ドル弱く、株は冴えず)
 相変わらずドルは弱く11位、米株価指数も冴えない。10年国債利回りも不安定だ。
 有事のドル買いでドルは一時的にリパトリ的に戻すが、資金繰りであって米経済への信頼ではない。「不況の円高株安」のように米国にも「ドル高株安」の不安が起きる可能性もあり。

(不確実性の拡大、G7も動けない)
 米国の関税の引き上げが主な不確実性であり、その関税の数値が決定する迄、市場の混乱は続くと思っていたがさらに不確実要素が増えている。関税自体多くの国の抵抗にあっている。
 またイスラエルのイラン攻撃で米国がイスラエルを支援するのかどうか、中東緊張での原油価格の上昇、強硬な移民排除政策で反対派の反発が強い、
 財政問題も不確実性で景気回復が遅れれば赤字が拡大し政府機能が混乱する。

 G7サミットが開催されるが、G7一丸で困難に対処する以前のような空気はトランプ氏の政策、性格でないのだろう。

(FOMC)
 今週のFOMC会合では、4会合連続で政策金利が据え置かれる見通し。トランプ政権の政策とその経済的影響が一段と明確になるまで様子見姿勢を維持する方針を示している。
 トランプ政権の政策による米経済への影響を明確に把握できるまでには数カ月を要する見通しで、9月までに政策金利の変更を検討する可能性は低いと見込まれている。
 現時点で関税の影響は限定的だ。5月のインフレ率は予想を下回り、失業率は4.2%で横ばいだった。ただ、企業側は、少なくとも関税コストの一部を消費者に転嫁する意向を示している。外国人労働者の急減により雇用市場の需給が引き締まり、失業率の上昇抑制に寄与している可能性もある。

(GDPナウ、CPIナウ、GSCPIは)
*アトランタ2QのGDPナウは3.8%で前回の3.8%と同値。。
*クリーブランド6月CPIナウは2.61%、コアは2.95%。5月はそれぞれ2.4%、2.8%
*サプライチェーンインデックス(GSCPI)は0.19で前回のマイナス0.29から上昇

*ユーロ「通貨2位(2位)、株価4位(2位)DAX)、米国の不確実性は続き欧州が買われる」
(ユーロ堅調)
 ユーロは先週は2位、月間でも年間でもここまで2位と堅調だ。ただ株価は先週は上げ幅を縮小した。独DAXは年初来18.12%高、先週の22.08%高からの伸び幅を縮小した。
 イスラエルによるイランへの大規模攻撃を受け、中東情勢緊迫化への懸念から売り注文が優勢だった。また米欧貿易協議が進展しないことも上昇を抑えた。
 独10年国債利回りは2.54%。

(経済指標入り中銀総裁発言が多い週)
 今週はユーロ圏の1Qの賃金動向、ユーロ圏のZEW景況感調査に注目したいが、経済指標よりユーロ圏各中銀総裁の発言が多い週だ。

(ECB政策金利は適切な水準)
 シュナーベルECB専務理事は、現行の金利水準は「適切な位置にある」との認識を示した。インフレ率は鈍化が予想されるものの、中期的には目標の2%%に戻る可能性が高いとの見解を示した。 タカ派の同理事は、インフレが目標を上回って何年も続いた後にインフレ期待が目標の2%より下方に振れても特に懸念はないと指摘。
 「これは総合インフレ率が目標から一時的に乖離したとしても無視できる非常に明確な例だ。インフレ期待が安定している状況では、目標からの緩やかな乖離は無視あるいは容認できると考えている」と述べた

(米ブラックストーン、欧州に今後10年で5000億ドル投資)
 ブラックストーンは、今後10年間にわたり欧州に最大5000億ドルを投資する計画を明らかにした。
 ブラックストーンにとって、欧州は「大きなチャンス」となると指摘。欧州は投資アプローチを変え始めており、「これが成長率の上昇につながると考えている。これはわれわれにとって驚くほど良い結果をもたらしている」と述べた。トランプ米大統領が各国との同盟関係や貿易政策を大きく転換する中、欧州は防衛産業への投資拡大を図るなど、これまで民間投資家から見過ごされてきた分野の活性化に動いている。

(ドイツの成長率予測を上方修正)
 ドイツの主要シンクタンク、2025年と26年のドイツの成長率予測を上方修正し、今年は2年続いたマイナス成長からプラス成長に転換すると予想した。
 キール世界経済研究所は、1Qのプラス成長を受け、25年の成長率予測を横ばいからプラス0.3%に引き上げた。IFO経済研究所は今年の成長率を0.2%から0.3%に、26年は0.8%から1.5%に上方修正した。
 短期的には貿易政策の不確実性が重しになるが、年後半には緩やかに回復すると予想した。メルツ政権に景気支援の公約実行を求めた。

*ポンド「通貨5位(5位)、株価8位(8位)、景気やや悪化も政策金利は据え置きか」
(ポンド、株価ともに、まずまずな動き)
 ポンドは5位で対円0.59%安、FT株価指数は8位で8.29%高、10年国債利回りは4.56%。

(今週は政策金利を据え置きか、景気指標は弱い)
 今週の会合で政策金利を4.25%に据え置いた後、8月と4Qにそれぞれ0.25%の利下げに動き、年末の政策金利は3.75%になるという見方が多い。
 低調な雇用と賃金上昇率の鈍化が示されたことで、8月利下げの確率が高まったと指摘した。

 英国の今年の経済成長率は1%と昨年(1.1%)並みにとどまりそうだ。英中銀は年内にあと2回利下げすると予想されている。今年1Q成長率は0.7%と予想を超えた。ただ2Qは0.1%、3Qは0.2%、4Qは0.3%と低調な伸びになる見通し。

(4月GDP予想を下回る)
 4月のGDPは、前月比0.3%減と予想を大きく下回り、2023年10月以来の大幅な落ち込みとなった。トランプ米政権の高関税政策の逆風のほか、国内の税優遇措置終了も下押しした。
 予想は0.1%減。

(賃金・雇用が悪化)
 2-4月の賃金は前年同期比5.2%上昇した。予想の5.3%を下回り、24年3Q以来の低水準となった。2-4月の失業率は4.6%と、1-3月の4.5%から上昇し、21年5-7月以来の高水準となった。

(今週は重要指標多い)
 今週は上述の政策金利の他、英中銀議事要旨、5月消費者物価、小売売上の発表がある。

*豪ドル「通貨9位(9位)、株価11位(12位)、今週は雇用統計。不確実の米ドルよりは強いが伸びは緩やか」
(4月から豪ドルドルや豪ドル円はじり高推移)
 4月から豪ドルドルや豪ドル円はじり高推移している。米関税問題で当初の米国の強気姿勢が緩和していることがあり若干のリスク選好が続いていた。ただイスラエル・イラン戦争が始まったこともあり、また不透明感が漂う。年初来で豪ドルは9位で対円3.9%安、対ドルは4.83%高。豪全普通株指数は11位の4.16%高。10年国債利回りは4.18%で米の4.40%より低い。

(今週は5月雇用統計の発表)
 今週は5月雇用統計の発表。失業率は4月同様に4.1%の予想。雇用者数は2万人の増加で4月の8.9万人増加を下回る。4月はフルタイム雇用が5.95万人増、パートが2.95万人増であったが、今回の予想はそれぞれ。
 2.5万人増と5千人減の予想。

(次回政策金利決定は7月8日)
 5月の会合では世界的な貿易摩擦への「保険」として、0.5%の利下げが検討されていた。またOECDは2025年は1.8%成長で、3月の見通しの1.9%から下方修正した。
 7月8日の会合まで、5月雇用統計、6月製造業・サービス業PMI、5月CPI、小売売上など材料は多い。

(G7サミットに参加)
 アルバネーゼ首相はカナダG7サミットに招待されており、トランプ大統領と会談する予定だ。豪ドルの行方は国内情勢だけでなく、資源価格を揺るがす中東情勢、
 最大の貿易相手国中国の景気を揺るがす米中貿易交渉も影響する。

*NZドル「通貨6位(6位)、株価17位(17位)、焦点はGDP。製造業弱い」
(通貨まずまず、株価は弱い)
 NZドルは年初来6位、対円で1.4%安、対ドルで7.54%高。NZ50株価指数は17位で4.25%安。10年国債利回りは4.57%で先進国では一番高い。

(今週は1Q・GDP)
 6月19日に1Q・GDPが発表される。予想は前期比で0.7%増、前年比で0.8%減。前期はそれぞれ0.7%増に1.1%減少。前期でリセッションを抜け出したが強いわけでもない

(5月の製造業活動は47.5に急落)
 5月製造業業績指数(PMI)は4月に6.4ポイント低下して47.5となり、今年の上昇分がすべて反転した。
 製造業の回復は行き詰まりを見せているが、その原因は米国の関税をめぐる不確実性だけではない。国内のさまざまな指標を見ると、今年の第1四半期はかなり好調に見えたものの、明らかに景気が冷え込んでいる兆候が見られる。雇用サブ指数は指数史上最も急激な1か月間の反転を記録し、新規受注、生産、出荷は昨年末以来の最低水準まで大幅に落ち込んだ。
 消費者信頼感、電子カードの支出、求人充足率、建築許可など他の指標も2Qは弱まっているとみられ、短期的な成長見通しにとって明らかにマイナスだと述べた。

 政策金利をさらに引き下げられるが、問題はいつ引き下げるかだ

(中国頼み)
 ラクソン首相は近日中に訪中し、両国民により一層の利益をもたらすために協力を強化する姿勢を示した。
 報道官は、「今回の訪問は、ラクソン首相の就任後初の訪中となる。中国はNZと共に、戦略的な意思疎通を強化し、政治的相互信頼を深め、実務協力を推進し、伝統的な友好関係を一層強化したい。互いに尊重し、寛容で、協力に焦点を当てた共通の発展を目指す全面的な戦略パートナーシップの構築を進めることで、両国民により一層の幸福をもたらしたい」と強調した。