非通信事業のサービス拡大に力

ドコモはマネックス証券に続き、2024年3月にオリックス傘下でカードローン事業を手がけるオリックス・クレジット(25年4月にドコモ・ファイナンスに社名変更)を約792億円で買収した。ドコモは個人向け無担保ローンとして「dスマホローン」を提供してきたが、その業容拡大を狙いとした。

保険については日本生命保険グループや東京海上グループと連携し、医療保険や自動車保険、賃貸火災保険などの各種生損保商品を提供。保険料の支払いでdポイントがたまる。

携帯各社は契約者の頭打ちなど国内市場の飽和を受け、金融以外でも非通信事業のサービス拡大に力を入れている。

KDDIは昨年8月、コンビニ大手のローソンに50%を出資。5000億円規模のTOBを行い、元々の親会社だった三菱商事との折半出資による共同経営に乗り出した。携帯大手でコンビニを持つのは初のケースで、「au経済圏」の間口と奥行きを広げるのが狙いだ。

ドコモ自身も2023年、市場調査最大手のインテージホールディングスを子会社化した。インテージが持つデータ集計・分析や可視化のノウハウと、ドコモの顧客基盤から得られる行動データを組み合わせ、新サービスの提供を目指す。

SBIホールディングス、NTTと資本業務提携

一方、住信SBIネット銀行の経営に対する関与がなくなるSBIHDは今回、ドコモ親会社のNTTとの資本業務提携を決めた。

NTTはSBIHDが実施する第三者割当増資を引き受け、約1108億円を出資して同社株式の8.18%を取得する運びだ。新たな金融サービスやシステムの開発などで協力を進める。

M&A Online
(画像=NTTとSBIホールディングスが資本業務提携、「M&A Online」より引用)

SBIHDは傘下にネット証券最大手のSBI証券、SBI新生銀行(旧日本長期信用銀行)、保険持ち株会社のSBIインシュアランスグループなどを抱える。SBIHDはSBI新生銀行に残る公的資金(約2300億円)の返済を懸案事項としており、NTTとの資本提携や住信SBIネット銀の売却で得られる資金を充当するとみられる。

◎NTTドコモをめぐるM&A関連の主な動き(カッコ内は買収額)

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

文:M&A Online