人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「対米以外で積極外交展開、問題は不透明な司法」人民元見通し

(通貨10位、株価13位=上海、香港ハンセンは3位)

予想レンジ 人民元/円 19.8-20.3

(ポイント)
*対米関税問題を避けるため積極外交を展開している
*開かれた国にするのは司法の透明性が必要だ
*今年の人民元は弱いが、ドルと連動
*小売売上好調、鉱工業生産、対米輸出は大きく落ち込む
*5月輸出は3カ月ぶり低水準、関税巡り逆風 輸入も予想上回る減少
*今週はLPR
*EU、中央アジア、アフリカと積極外交を展開
*米国は何故貿易協議を急いだのか サマリウムに他ならない
*米中貿易合意の詳細はまだ発表されず。習首席の発言もない
*5月PMIはやや弱い
*格付け見通し「ネガティブ」維持
*5月消費者物価は4か月連続で低下、前年比で0.1%低下

(今年の人民元は弱いが、ドルと連動)
人民元は年初来10位、11位のドルと共に歩む。上海総合指数は年初来1.11%高、香港ハンセン指数は18.2%高。上昇を小休止。10年国債利回りは1.64%。

(小売売上好調、鉱工業生産、対米輸出は大きく落ち込む)
5月鉱工業生産は前年比5.8%増と4月の6.1%増から鈍化。予想の5.9%増も下回り、昨年11月以来の低い伸びとなった。
小売売上高は6.4%増、4月の5.1%増、予想の5.0%増を上回った。
1-5月の固定資産投資は前年比3.7%増で、1-4月の4.0%増、予想の3.9%増を下回った

5月の対米輸出は前年比34.5%減と、20年2月以来の大幅な落ち込みとなったが、5月の小売売上高は、労働節の休暇中の旺盛な消費や政府の消費財下取り制度が追い風となり、底堅さを示した。

(今週はLPR)
 6月20日は最優遇貸出金利(LPR)の発表。1年物は3.0%、5年物は3.5%で据え置かれる見通し。5月にそれぞれ0.1%引き下げたばかりで様子見か。

(積極外交その1 EU)
 李強首相は、ラガルドECB総裁と会談、国際通貨システムの改革を含むECBとの協力を強化する用意があると表明した。 李首相は「グローバリゼーションへの抵抗が高まる中、協力のみが相互利益をもたらす」とした。
ラガルド総裁は、トランプ米大統領が多くの貿易相手国・地域に対する大規模な関税措置を発表し、中国とEUが共に米国との通商問題に直面する中、中国を訪問。威圧的な貿易政策で財政の不均衡を解消することはできず、全ての当事者が緊張解消に向けた政策の調整を検討しなくてはならないとの認識を示した。

(積極外交その2、アフリカ53カ国の関税撤廃へ)
 中国外務省は、同国が外交関係を結んでいるアフリカ53カ国への関税撤廃を盛り込んだ新たな経済協定の署名に向けて交渉すると表明した。
中国は現在、多くのアフリカ諸国を含む後発開発途上国(LDC)に対して輸入関税と輸入枠なしの市場アクセスを提供しているが、新たな協定では中所得国にも同じ条件を提供する。
南アなどの中所得国にも市場を全面開放すれば、恩恵を受けると指摘している。