この記事は2025年6月13日に「CAR and DRIVER」で公開された「【ポルシェの実力】タイカンはポルシェが考える「リアルスポーツセダン&ワゴン」。最新モデルは2ボディ/全11グレードのワイドな構成」を一部編集し、転載したものです。

ダイナミックな造形と走り。ポルシェの本気が味わえる
ポルシェの、というかハイエンドEVスポーツカーとして知られるタイカン。2019年に発表されてからこれまで15万台が生産されてきた。パフォーマンスや販売台数を含め、EVスポーツカーの先駆者として他を圧倒してきたといえる。「ポルシェがBEVを作るとこうなるんだ」、という感想だ。
そのタイカンがアップグレードされた。2024年2月から各ディーラーで予約注文が開始され、順次納車が行われている。
ボディタイプはスタンダードとクロスツーリスモで、それぞれ8モデルと3モデル用意される。紹介するとタイカン、タイカン4、タイカン4S、タイカンGTS、タイカンターボ、タイカンターボS、タイカンターボGT、タイカンターボGT with Weissach packageと、タイカン4クロスツーリスモ、タイカン4Sクロスツーリスモ、タイカンターボクロスツーリスモといった顔ぶれだ。ハンドル位置はすべて右のみとなる。


見た目は新しいヘッドライトのフロントエンドとリアエンドが目をひく。ヘッドライトには高解像度HDマトリクステクノロジーが採用され、夜間にシグネチャーライトとなる4灯のグラフィックを放つ。もはやこれはポルシェ全体のアイコンといったところだろう。
インテリアではインターフェイスがアップグレードされた。室内の各種機能向上は業界全体のトレンドで、クルマの中でできることがどんどん増えている。
助手席側ディスプレイの機能拡張も見逃せない。とくに高級車カテゴリーのモデルはそこに注力しているように見える。新型タイカンは助手席側ディスプレイでビデオストリーミングを可能にした。


では目玉はというと、やはりパフォーマンスの向上に他ならない。0→100km/h加速を例にとると、ベーシックモデルのタイカンは4.8秒、タイカンターボSは2.4秒となる。これは従来比でそれぞれ0.6秒、0.4秒短縮されたことを意味する。要因はシステム出力の増加によるもの。タイカンで60kW、タイカンターボSは140kWのローンチコントロールが追加された。
同時に航続距離が延長されている。グレードにもよるが平均で35%以上増えているというからすごい。最長で175km伸びて最大678kmも走るのだ。それにともない充電回数が減ったばかりでなく、充電速度も速くなっている。
こうしてEVスポーツカーのネガティブ要素を塗りつぶしていくのだから、ポルシェの技術力の高さは相当だ。高効率の面では回生性能を30%向上させている。
その他では標準装備を充実させているのがグッドポイント。ベーシックモデルでもアダプティブエアサスペンションとアルミ製ドアエントリーガードが標準装備される。リアルに購入を考えた場合、そこはポジティブ要素。それでいて車両重量を減らしているのだから、あっぱれである。




(提供:CAR and DRIVER)