ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「6月ドル高継続、米国の不穏造成(関税とイラン)が終らない」

ドル円=144-149、ユーロ円=165-170、ユーロドル=1.12-1.17

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨4位(4位)、株価16位(18位)、6月ドル高継続。去年の介入・利上げ作戦の結果は」
「「米国のイラン核施設攻撃を受け、今朝はドルと原油が上昇でスタート」」

(6月は円安が進んでいるが、年歩来では円高株安の景気低迷型が続く)
 6月は期末要因や中東緊張や原油高でドル高円安が進んでいるが、年初来では円は12通貨中4位でやや円高推移。首位グループとの差も大きくない。
日経平均はマイナス圏で低迷。利上げや円高志向の政策、また株価浮揚策も現実化しないことで株が世界と比べると安い。10年国債利回りは1.403%。

(1年前にインフレ抑制のために介入・利上げ大作戦が実施されたが結果は)
 表、参照願度。

 目標のインフレは抑制出来ず。円高株安となり景気減速、運用利回り低迷、おそらく税収の減収などに繋がっている。
「おれは株を持っていないから関係がない」という人もいるが、年金、預金、保険は株で運用しているので影響はある。まして景気減速・税収減となれば被害甚大。
 インフレ抑制は金利と円買い介入という単純志向は誤り。シンジロー氏のコメ政策、かつての不動産総量規制、原油問題を参考にしてもらいたい。

ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

(トヨタのドル買いは)
 報道によればトヨタのUSスチールにかかわる払い込みは終了したとのこと。.そういうドル買いも出ていた。6月の5年連続月足陽線というのも期末要因があるのではないか。
7月のドル下げはその剥げ落ちで5年連続月足陰線。ただデイトレのボラティリティーで稼ぐデイトレーダーには関係がないのでその点は理解賜りたし。
 トヨタの他に、三菱商事、第一生命の円売り案件もあり。

(日銀、経済下押しの程度を注視。利上げで景気下押しでは目も当てられず)
 日銀の植田総裁は、基調的物価上昇率が加速感をもって上がっている状況にないとして、利上げ判断の前に米関税の影響が表れるハードデータを確認する考えを示した。データが出てくるのは7月以降となるが、日銀は経済下押しの程度に加え、足元で上振れ気味に推移する物価が基調物価にどう反映されるかも注視している。米関税をめぐる不確実性の後退や、賃金と物価の好循環が維持できると判断できれば、年内の利上げも排除されないとみる向きもある。

 また政府が国債利回り上昇を懸念する意見を発っしていることもあり、日銀はそれなりに配慮するだろう。米関税交渉も進んでいないし、関税の悪影響はまだまだ出ていない。

*米ドル「通貨11位(11位)、株価(NYダウ)15位(14位)、進まない関税交渉や中東・ウクライナ紛争で米国不安は続く。ただ期末のドル円上昇あり」
(ドルは12通貨中11位。株価は冴えず、強いアメリカのイメージなし)
 先週のドルは米国自らが関与するイスラエル・イラン戦争で有事のドル買いとなったが、月間では9位、年初来では11位と冴えない。米株価3指数も日経平均よりは強いがなかなかプラス圏に定着しない。ただ週末は米国がイラン核施設を攻撃したためドル高、原油高で今朝はスタート。

米10年国債利回りは4.39%。ただドル円でここ5年続いている四半期末の6月のドル円の強さがドルを支えている部分はある。日本製鉄のドル買いなど。.
 
(経済指標は強くない)
 先週の経済指標は強くはない。
・6月フィラデルフィア製造業指数-4.0(前回-4.0)・5月CB景気先行指数-0.1%(-1.4%)・失業保険申請者24.5万(25万)・5月住宅着工-9.8%(2.7%)・5月建設許可-2%(-4%)・5月小売売上3.3%増(5%増)・6月NY連銀製造業指数-16.0(-9.2)

(FRB金融政策報告書=関税の影響はまだ出ていない)
 FRBは金融政策報告書で、トランプ大統領が表明した関税の影響はまだ出始めたばかりとし、行動を起こす前に状況の明確化を待つことができるとした。米国のインフレ率はやや上昇しており、労働市場は堅調であるとも指摘した。

(関税交渉は進んでいない)
 米国と多くの国との貿易交渉が依然として継続中であること。60カ国に高関税を課すという「解放記念日」の脅しはほぼ延期され、関税の実質的な影響は大幅に弱まっている。トランプ政権が複数の国に対して発表した関税のうち、即時発効したのは中国製品に対するものだけである。複数回の交渉を経て、現在、中国製品は米国から30%~55%の関税(10%の基本関税、20%のフェンタニル関連関税、および一部の301条関税を含む)に直面している。一方、他の国に対する関税は概ね10%の基本関税にとどまっており、多くの製品が関税免除を受けている。例えば、カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の対象外の品目にのみ適用されるが、両国から米国への輸出品の80%以上がUSMCAの基準を満たしているため、免除されている。さらに、他の国々に対する相互関税(11%~50%)は7月9日まで一時停止され、スマートフォンやコンピューターなどの主要品目は免除されている。

*ユーロ「通貨首位(2位)、株価4位(4位)DAX)、ユーロ首位に立つ」
(ユーロが年間首位に立つ)
 ついにユーロがスイスを抜き年間首位に立った。IMFまでユーロの強さを強調。まだ主因は米国の不確実性だが。これに欧州の経済指標がついていくかどうか。
独DAXは年初来17.29%高、独10年国債利回りは2.52%。

(IMF専務理事のユーロ重視)
ゲオルギエワIMF専務理事は19日、ユーロの国際的役割を向上させる好機が訪れているとの認識を示した。「ユーロが国際的により大きな役割を果たす絶好の機会が存在する。質の高い安全資産を探そうとすれば、この種の資産の提供には現時点で制限がある」と語った。

(ドル回避・ユーロ転換が為替オプション市場を席巻)
 予測困難な米国政策と世界的な貿易戦争がもたらすリスクに直面し、トレーダーは米ドルを回避し、ユーロが世界の為替オプション市場においてより重要な役割を果たすようになった。米国預託信託決済機構(DTCC)の今年の最初の5ヶ月と2024年の最後の5ヶ月のデータを比較すると、主要通貨に対する米ドルペッグ契約の約15%~30%がユーロに転換していることがわかった。さらに、ユーロが安全資産(伝統的に米ドルが担ってきた役割)として、また大きな変動に賭ける手段として利用されている兆候が見られる。

(ブラックストーン、欧州に今後10年で5000億ドル投資)
 ブラックストーンは、今後10年間にわたり欧州に最大5000億ドルを投資する計画だ。ブラックストーンにとって、欧州は「大きなチャンス」となると指摘。「欧州は投資アプローチを変え始めており、「これが成長率の上昇につながると考えている。これはわれわれにとって驚くほど良い結果をもたらしている」と述べた。

(経済が通貨高についていけるか)
 上述の3つの記事でもユーロ買いが盛り上がっている。問題はユーロ圏経済がついていけるかかどうか。
前回触れたように、ドイツ主要機関は成長率予測を上方修正、また先週発表されたユーロ圏、独のZEW景況感調査は改善している。

*ポンド「通貨5位(5位)、株価8位(8位)、弱い経済指標で8月は利下げか」
(6月は弱いポンド)
 前週触れた賃金・雇用の悪化と弱い小売売上で、ポンドも弱含み推移。週間では8位、月間では10位。ただ年間では5位を維持した。FT株価指数は先週は0.86%安、年間では7.36%高。10年国債利回りは10.54%。

(政策金利は予想通り4.25%で据え置き)
 英中銀は、6月19日、政策金利を予想通り4.25%に据え置いた。中東での紛争が激化するなか、労働市場の低迷やエネルギー価格上昇のリスクを指摘した。
委員達は6対3で据え置きを決定。ラムスデン副総裁がディングラ委員、テイラー委員とともに0.25%の利下げを支持した。3人は高い失業率と賃金の伸びの鈍化を取り上げた。
  ベイリー総裁は、「金利は引き続き緩やかな低下基調にある」と指摘。「世界は非常に予測しにくい。英国では労働市場に軟化の兆しが見られる。これらの兆候が消費者物価の上昇に波及するかを注意深く見ていく」と述べた。
 トレーダーらは英中銀が8月に利下げを行う確率が80%であるとの見方を強めている。

(弱い5月小売売上高)
5月の小売売上高は前月比2.7%減少し、2023年12月以来最も大幅な落ち込みを記録した予想の0.5%減も下回った。好天が寄与し前月に消費が好調だった反動とみられる。
前年同月比では1.3%減と、24年4月以来最大のマイナスとなった。予想は1.7%増。
英経済は2025年1Qは予想を上回る前期比0.7%の成長だったが、4月には不動産税減税の終了と米国の関税による打撃により縮小した。

(CBIが成長率予測引き下げ)
 英産業連盟(CBI)は、給与税引き上げと米関税による逆風のため、今年の成長率はを1.2%に昨年12月時点の1.6%から引き下げた。

(消費者物価は予想と一致も、原油高と景気減速で綱引きか)
5月の消費者物価は前年比3.4%上昇し、予想と一致。 中東情勢の緊迫化で原油価格の動向に注目が集まっている。原油高はインフレ期待を高めるが、国内の雇用低迷がインフレ圧力を緩和する要因になり得る。

*豪ドル「通貨9位(9位)、株価11位(11位)、7月は利下げか。雇用統計をどう見るか」
(今月はやや健闘の豪ドル)
 豪ドルは今月は5位で健闘(対円1.73%高)している。年初来では9位(同3.11%安)。豪全普通株指数は11位の3.6%高。10年国債利回りは4.21%で米の4.39%より低い。

(5月雇用統計の見方)
 5月の就業者数は予想に反して0.25万人減少した。ただ、フルタイム雇用が3.87万人増加、パートタイムが4.12万人が減少で悲観的でもない。4月は8.76万人の増加(フルが5.86万増、パートが2.9万人増)。
失業率は4.1%で横ばいとなり、堅調な労働市場が続いていることを示した。
雇用の減少は労働市場が突然反転したことを示すものではない。今回の減少の一部は、4月の異例の急増後の正常化を反映している。同様に、労働時間の増加、不完全雇用の減少、フルタイム労働者の増加は、企業が引き続き労働力を求めていることを示している。
労働市場は底堅いものの、消費は依然低迷しており、経済成長が抑制されている。米国の関税や地政学的な緊張が経済見通しに影を落としている。
スワップ市場が予想する7月の0.25%利下げの確率は65%で、統計発表前とほぼ変わらず。

(政策金利、主要金融機関の見通しは分かれている)
 主要金融機関の見通しは分かれている。コモンウェルスは年末までにさらに2回の利下げを予想している。NABはより積極的な姿勢を示し、年末までにさらに4回の利下げを予想している。ANZは予測において引き続き慎重な姿勢を維持しており、年内の利下げはあと1回のみと予想している。

(今週はPMIとCPI))
今週は6月製造業・非製造業PMIの発表。製造業、サービス業、総合といずれも小幅悪化の予想(予想はそれぞれ50.5、50.1、50.2。5月は51,50.6,50.5)。
5月消費者物価は2.45の予想、4月も2.4%。

*NZドル「通貨6位(6位)、株価17位(17位)、GDP改善。7月の政策金利は据え置きか」
(NZドルは強からず弱からず)
 NZドルは年初来6位が続いている。不安なドルよりは強いが、欧州のように投資資金が流入する状況にはない。対円で0.89%安、対ドルで6.67%高。NZ50株価指数は4.13%安。10年国債利回りは4.61%で先進国では一番高い。

(GDPは小幅改善。政策金利は)
 1Q・GDPは、前期比で0.8%増加した。予想の0.7%増を上回った。前年比では0.7%減。予想は0.8%減。
サービス業と製造業が成長を牽引し、建設業は1年間の縮小の後、安定した。経済は前期比2四半期連続で拡大したが、生産は依然として潜在成長率を下回っている。

 NZ中銀は7月は政策金利を3.25%に据え置き、8月には3.0%に利下げを実施すると見られている。インフレは現在2.5%でインフレターゲットの1-3%に収まっているが、政学的な緊張により原油価格は5月の会合以降大幅に上昇しており、インフレ再燃のリスクが高まっている。

(2Q消費者信頼感指数は改善も100に届かず)
 2Q消費者信頼感指数は2ポイント上昇して91.2となったが、悲観的な見方を示す100を依然として下回っている。国内経済は依然として混沌としている。同時に、世界的な緊張の高まりとそれに伴う金融市場の変動が、見通しに長い影を落としている。
調査では、自身の財務状況が悪化したと報告する世帯が増加したが、将来的に改善すると期待する世帯も増加した。
世帯は依然として生活費の高騰に苦しんでおり、金利低下の恩恵をまだ受けていないとされている。