この記事は2024年4月25日に「第一生命経済研究所」で公開された「「関税緊急対応パッケージ」のポイント」を一部編集し、転載したものです。


関税
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目次

  1. 関税対応パッケージ決定、追加予算措置は講じず

関税対応パッケージ決定、追加予算措置は講じず

25日、政府は「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」を決定した。トランプ関税を巡る一連の動きを受けた対策である。当初は家計向け給付金などを含む補正予算による措置も検討されたが、最終的に追加の予算措置は行われない形にまとまった。

公表された政策リストには多様な政策が並ぶが、大半は2024年度補正予算や2025年度本予算で既に措置されている内容である(年収の壁是正に伴う所得減税や産業政策など)。その中でも具体的な財政措置が伴うのは、①ガソリン等の価格引き下げと②夏場の電気・ガス代の引き下げである。ガソリン価格引き下げは現在の補助金の仕組み(現在の基準値185円/lを超過した部分を補助する仕組み)を改め、補助金額を10円/lで固定するものだ(7月にかけて段階的に補助金額を拡大)。政府の支出を伴う内容であるのだが、市場価格の低下(原油価格低下や円高)に伴って、既に措置している補助金予算の余った分が活用されるイメージになる。このため、追加の補正予算や予備費の活用は伴わない形が想定されている。また、電気・ガス料金の補助は夏場(7・8・9月)の実施が明記された。具体的な内容は5月中に決定する方針である。この財源には本予算の予備費が念頭に置かれているようだ。

関税対策と銘打ってはいるが、既往の物価高対策の色彩が強い内容にも思われる。また、今回のパッケージは今後編成される本格的な経済政策に向けての頭出し、のような性格であろう。コロナ禍時にも似たプロセスを踏んでいる。交渉の行方にもよるが、関税を通じて、実際に自動車輸出の減少などを通じた生産調整圧力が強まることは十分に想定されることであり、今回「必要に応じて措置」とされた雇用調整助成金の要件緩和や、コロナ禍時にも行われた納税猶予などは今後実施される可能性が相応にあるものだろう。7月の参院選も意識されつつ、補正予算編成の議論が高まっていくことが予想される。

第一生命経済研究所
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第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 星野 卓也